見出し画像

#016: 車が人の気分を理解し、「パートナー」となる未来

自動車業界でのイノベーションというと、真っ先に思いつくのが自動運転でしょう。もう少し範囲を広げるとCASEという言葉もよく聞くようになりました。
こういったニュースは定期的に発信されているのですが、実はそれ以外にも様々なイノベーションの研究が進められています。本日はその一つである「車による感情理解」についてご紹介をいたします。

自動運転とCASE

自動運転については最近は楽観的な予想がだいぶ少なくなり、Level4 (システムがほぼ全てを操作し、緊急の場合には人間が対応する)の実現にはかなりの時間がかかるようになると言われるようになりました。それでも依然として世界中で、様々なプレーヤーが研究開発を進めています。

CASEはConnected(コネクティッド/繋がる車)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service (ライドシェア & シェアリングサービス)、Electric(電動自動車)の4つの頭文字をとったものです。

いずれも自動車業界を大きく変えると言われている変化ですが、技術的な視点で見れば、やはり一番難しいのは自動運転です。

[CASEで想定される技術的なチャレンジ]
(1) Connected: 技術的には研究実証フェーズから商用フェーズに移行中。現在の課題は、魅力的な利用方法がまだ見つからないこと。

(2) Autonomous: 技術的な課題が山積み。実装レベルは国ごとによってバラツキがあると想定されているが、自動車会社は世界的に活動しているので、最先端に向けて研究活動を継続中。

(3) Shared & Service: すでに商用サービスが稼働中。技術的には、今後物流領域でより広範囲にカバーするサービスが出て来た場合の計画(Planning)やセキュリティをどのように保つのかという点が興味深い。

(4) Electric(電動自動車): すでに商用サービスが稼働中。技術的には電池の大容量化は業界構造を大きく変えてしまうと言われており「確実にくる未来」であることは間違いない。影響を大きく受けるのは、完成車メーカーよりも部品メーカー。

画像1

ドライバーや同乗者の感情の推定

車がいつでも繋がった(Connected)な状態となり、人間が運転に集中する必要が亡くなった時(Autonomous driving)、車の中での人間の活動はこれまでとは大きく異なったものとなると想定されています。

そして、そのような未来が実現した時には、車は今よりもずっとユーザーに近しい関係になると想像されています。
ちょうど、普及しつつあるホームスピーカーが人間の状況や文脈(コンテクスト)を理解しようとするのと同じように、車も中にいる人間の状況をよりよく理解する必要があるでしょう。

トヨタ自動車はまさにそういった未来が来ることを予想し、そういった未来を積極的に作り出すために、新しいコンセプトカーを開発しました。


SRIはこのコンセプトカーにおいて、車(Yui)が人間の感情を理解するための機能を開発しています。
具体的にはVision Technologyと呼ばれる領域、画像認識や動画解析、の技術を用いて、人の目の動きや瞬きのパターン、頭の動かし方といった様々なデータを元に、人間の感情を推定しています。

機械が人間と対等の関係で生活をする・・・というのが完全に実現するのはもう少し先のことになりそうですが、ある特定の用途、ある特定の状況において人間のことを機械がより正確に理解する未来は、もうそんなに遠い話ではなくなってきているのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?