見出し画像

ザ・キラーがつまらないと感じる人へ

5秒でわかるザ・キラー

監督がつけたかったタイトルはドア窓に書かれた「we work」つまり仕事の話。
発言は全部言い訳。
つまらないのは自分の話だから。

働く私たち

淡々と仕事をこなす様や、マイケル・ファスペンダーの寡黙さはかっこいい。でもつまらないって人もいる。派手さがないって意見が多かった。
ド派手なものを期待していた人にはかわいそうだけど、そもそも派手にはなりえない。暗殺だし。何より、僕ら「大勢のうちの一人」の話だから。
殺し屋が潜伏してる部屋の扉には「wework」と書いてる。反転してて分かり難いけど。これがこの映画のタイトルのように感じる。
「僕らは働く」「働く私たち」
監督が付けたかったタイトルはこんな感じだったかもしれない。ダサいからしないけど。
殺し屋はマクドで簡単に食事を済ませて、上司のふわっとした指示を聞く。
やたらと仕事の哲学を語るけど、ミスる。で、家にまで仕事の余波が来る。八つ当たりを始める。
現実でも似た光景を見る。イラついて店員にオラついてる人たちだ。
俳優と演出でカッコよく見えるのが違い。

「だってしょうがないじゃないか」

恋人が襲われたから、仕返しに行く。無駄を省くなら復讐なんてしないほうがいい。でもする。したいから。
「汝なすべきことをなせ」
これは20世紀初頭の変わった宗教家のセリフ。
監督は知ってるくせに殺し屋に「誰のセリフだったか」と言わせて、本来の意味とは違う使い方をさせる。
僕が調べた限り「天職にうちこめ」くらいの意味だと思う。
でも殺し屋は、どうせカルマ(因果応報)なんてないし、あの世もないから「やりたいようにやる」くらいでとらえてる。
そのままだとカッコ悪いから、「めっちゃ人口多くて、毎秒めっちゃ死んでて、めちゃくちゃ生まれてるから俺が何しても関係ない」と言い訳しておく。でも冷笑主義じゃないらしい。そうなん?そうなんでしょうね。
殺し屋に誘った張本人のホッジスに会う。
「誤解がある」「なんで来た?」「なぜ家に帰った?」
殺されそうになってる奴がよく言いそうなセリフだけど、何を誤解してるのか?
「憤るクライアントをなだめなきゃならない」「ミスの影響は避けられない」
そもそもミスったのは殺し屋。そのミスの対応をする身としては、
「とりあえず、ミスったやつ、追います。なんか罰与えときます。すんません」
こうせざるを得ない。死んだら仕方ないけど、逃げたなら仕方ない。くらいの気持ちなんだと思う。
ミスの後処理はホッジスの「仕事」だから、やりたいわけでもないけど、「これはやるべきことなんだ」とホッジスは言い聞かせたのかもしれない。
で、で仕返しして、情報吐かせるつもりが吐かせれなくて、ドロレスの提案を受け、アドリブを始める。計画通りと言い聞かせる。
そうなん?これも想定内なん?そーなんや。

綿棒女、図星を突く。

無駄を省くと言っておきながらリスクを冒して目の前に現れる。綿棒女は小話をする。
「復讐(狩り)が目的じゃないな。殺し(アナルセックス、快楽)が目的だろ?」
図星を突かれたので、呑んで余裕をアピールしたのかもしれない。
「あなたはずっと私の会話を覚えてる。あなたの最後は私が支配する」
なんか芸能人のアンチが「好きだったのに嫌いになりました!!」っていうのと似てる。好きでもなかっただろうし、興味もなかっただろう。
とにかくダメージ与えたい。ムカつくし。

ワーカーホリックフォーエバー

彼女が襲われたことを言い訳にしてミスした自分と、イキって来た奴殺した。でも本当の富裕層には勝てないのか。初めて自分のリスク管理に従ったのか。オラついて帰る。
世の中は弱肉強食だと言ったり、あの世なんてない。といいながら自分のやることに言い訳してる。
でも、やりたいようにやるとは言うけど、そんなにやりたい放題はできてない。みんなそうやって生きてる。
達成感を感じながら、また哲学を語る。
「俺は多数のうちの一人だ。」
つまり僕達の一般市民と一緒って事だ。
これを悲しいと取るか、仕方ないと取るか。僕はまだその答えを持ってない。

備忘録:the killer 曲、考察、解説。

ほとんどのチャプター開始前後で[the smiths]の曲が流れて、これ人物心境やこれから起こる事の皮肉を語る。
the smithsは労働者の家に生まれたんだって。ミュージシャンってそういう人多そうだけど、この映画にピッタリ。
隠れ家に行くときは「もう二度と会えないかと思った」っていうのは襲われた彼女の言葉。I'll probably never see you again.
ホッジスを殺し行くときは「冗談だよ。おまえはこん棒で殴られて当然だなんて」冗談ではなく、殴りたいほどイラついてる。
ドロレスを見つめながらDo you really think She'll pull through?
ドロレスがうまくやり切れると思う?逃げ切れると思う?みたいな?

哲学ぶった後に恥かくやつ

ギャグ映画だっていう人もいた。
ですが、笑っている人。思い出してください。あなたは今までカッコつけ事がないですか?
「バイト、俺がいねぇと回らない」
「あたしもやめたいけど、あたしが辞めたらみんな困る」
この辺僕が学生の頃よく聞きました。就職してからも似たような発言聞きました。おっさんとおばさんから。
実際あいつがいなくてもバイトは回ります。
あの子が辞めても困りません。
ぼくが、おっさんが、おばさんが、あなたが、どうなっても大丈夫です。
僕達はその他大勢の一人なので。
でもそう言って自分を鼓舞して仕事に打ち込むしかないんじゃないすかね?
もし違うならさぞ恵まれてるんでしょう。うらやましいです。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?