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サステナビリティから組織開発まで〜「行動変容」をデザインするワークショップを開催

持続可能な社会・ライフスタイルへの「行動変容」をテーマにしたスライドを公開してから2ヶ月弱。自分としても初めての、企業を対象にした「行動変容ワークショップ」が実現しました。

そもそもが複雑で難しい課題だからこそ必要な行動変容とそのデザイン。ワークショップの内容もそれなりに難しく心配していましたが、自分たちの想定を超える盛り上がりやフィードバックをいただきました。

複雑な課題に取り組む少しでも多くの皆さんにこの可能性を知ってもらえるよう、自分の目線からのレポートをお届けします。

ワークショップの背景

今回、ワークショップの実施に手を挙げていただいたのが、八千代エンジニヤリング株式会社さんです。

事業開発の植田さんに、東京大学で開かれたClimate Tech Day 2023でお声掛けいただいたのがきっかけで、行動変容について相談し合う関係に。スライド公開直後に行った勉強会にもご参加いただき、そこから約1ヶ月でのスピーディーなワークショップ開催へと繋がりました。

ワークショップ実現までの流れ

当日は八千代エンジニヤリングで様々なプロジェクトに取り組む5人×4チームほどの皆さんが参加されたのですが、事前にスライドも共有・読み込んでいただいたようで、非常に熱量の高い(そして期待値も高い!)場となりました。

ワークショップの様子

各チームは、いま取り組んでいることや感じている課題を元に、事前にテーマを決めています。今回は以下の4つのテーマ設定となりました。

  • 持続可能な水産物の購入促進

  • 道路のポイ捨て抑制

  • SaaSの顧客拡大

  • 組織文化の変革

ご覧の通り、サステナビリティから組織開発まで、かなり幅広い領域でのテーマ設定です。この幅の広さに、共通のフレームワーク・進行で対応できるのかも今回のチャレンジのひとつでした。

行動変容を目指す4つのテーマ

今回用いた行動変容を設計するフレームワークがこちらです。全体を5つのステップに分けて、「行動を変える施策」と「それを持続できるシステムへの移行」を考えていく構成となっています。

  1. Define 定義
    どんな行動をどんな行動に変えたいか?を定義

  2. Observe 観察
    現状の「理想の行動が起きづらい」状況を、動機&コストのシーソーモデルで描く

  3. Reverse 逆転
    ワンアクション起こしてもらうために、変化させる要素と、施策を考える

  4. Structure 構造化
    新しい行動が持続するように、構造として成り立つ方法を考える

  5. Transition 移行
    新しい構造にスムーズに移行するための、戦略やプロセス、推進力・抵抗力を考える

行動変容を考えるフレームワーク

以下、各ステップの流れを簡単に紹介します。

Step.1 Define 定義

誰の、どんな行動を、どんな行動に変えたいかをできるだけ具体的に決めることからスタートします。おおよそ揃っていたはずのテーマでも、具体的に言葉にしようとすると意外と認識が異なっていることもあり、早速議論が盛り上がります。

今回は、より深く早い議論を促す工夫として、①リーダー(迷ったときに決める役)、②ターゲットの代弁者、という2つの役割も決めてもらいました。

Step.2 Observe 観察

施策を考える前に重要なのが、現状の「理想の行動が起きづらい」理由やボトルネックをよく観察して解き明かすことです。
行動に影響する要素を、ポジティブな動機とネガティブなコストに分けて書き出し、それらがどのように絡み合っているかをシステム思考で用いる「ループ図」にして捉えます。

実はこのシステム思考は、初見ではなかなか難しいとされ(システム思考自体の研修があるほど!)、運営チームとしても少し懸念していたパートでした。しかし、皆さん驚くほど早く要点を掴み、初期的なループ図を書き上げていきます。

「この要素とこの要素が繋がっているんじゃないか」「ここにマイナスのループがあるよね」という会話がワークショップの後半にかけて自然に行われていき、それだけでも自分は感動のポイントでした。

Step.3 Reverse 逆転

前のステップで整理したループ図を見ながら、新しい行動を起こしてもらうための施策を考えます。

いきなりアイディア出しをするのではなく、ループ図のなかで重要な位置にある動機要素(加えたいもの)、コスト要素(減らしたい・取り除きたいもの)を整理します。その後、ゲーミフィケーション、ナッジなどの行動変容テクニックリストや、ポジティブデビアンスなどの考え方をヒントに施策を複数案出していき、最も有効そうな案(2〜3施策の組み合わせ)に絞り込んでいきました。

Step.4 Structure 構造化

ここでもStep.2で整理したループ図を見直して、企画した施策と行動を持続するために重要なピースを加えていきます。

基本的に、行動変容を持続させることは簡単ではありません。インセンティブ(ポイント付与など)を用いるのであれば、その原資を確保できるような収益モデルが必要になります。元の習慣に戻ってしまうことを防ぐために、やればやるほど続けたくなるような仕掛けや環境設計も重要です。

別のビジネスモデルを組み合わせる、別のステークホルダーを組み入れる、投資回収の時間軸を長く捉え直すなど、「フレームを広げる」ことを意識して組み立てていきます。

Step.5 Transition 移行

最後のステップが、現状の構造から「新しい行動が起きる理想的な構造」へと、組織や業界、社会を移行させていくプラン作りです。

数ヶ年かかるトランジションの全体を設計するにはとても時間がかかります。今回は変化が加速し始めるポイントを見定め、そこを最初のマイルストーンとして設定することにフォーカスしました。

ここまでのアウトプットを振り返り、さらに考察や検証が必要な点はどこか等を議論し、ファーストアクションを確認し合ってこの日のワークショップは終了です。

参加者の声

ご参加いただいた皆さんからは、
八方塞がりのように感じていたものの打開策があることを感じた。」
「行動変容は意識していたが、具体的なフレームワークに落とし込み、構造化するステップを踏めたことは、良い経験になった。」
などの感想が挙がりました。

参加者の皆さんの声

ワークショップを通じて感じた効果としては、

  • 行動変容の考え方や向き合い方が身に付いた

が最も多く、次点として

  • 具体的な行動変容施策やそのヒントが思い付いた

  • 今やっている取り組みの解像度・理解度が高まった

という結果となりました。

ワークショップを通じて感じた効果(複数回答)

初めての企業向け「行動変容ワークショップ」でしたが、素晴らしい参加者の皆さんと共に、大きな可能性を感じられる場になったと思います。

サステナビリティなどの社会課題から、組織開発・マーケティングなどの社内課題まで取り組む意味があることも大きな手応えでした。

今後は、内容を磨き込みつつ、「行動変容の考え方が活かせる人を各業界・企業に増やすこと」「行動や社会変容が必要なプロジェクトに入って支援すること」に取り組んでいきたいと考えています。

ご関心のある方はぜひご連絡ください。


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