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近所の空き地がアスファルトで埋められて

おうちの横に空き地があった。

虫が大好きな息子と、何度も何度も虫取りをした。トンボ、バッタ、テントウムシ、セミ、コオロギ、アリ、ダンゴムシ…。たくさんの虫を捕まえた。たくさんの想い出があった。

そこは私有地だった。廃墟となった建物が佇んでいて、廃材もたくさん転がっていた。廃材の下にはダンゴムシがたくさん隠れていた。息子と大量のダンゴムシに発狂したし、トンボを捕まえるためにたくさん走り回った。

そこが駐車場になるらしい。私有地であるし、経済原理で考えたら当然なのだけど、悲しいのも事実。もっとそこで遊びたいと思っていたので遊べなくなるのは本当に悲しい。

そういう話を息子にしてみた。「パパ、この場所がアスファルトで埋められて、虫捕まえられなくなるのがすごい悲しんだ」。その上で聞いてみた。「Hくん(息子の名前)はどう思う?」。

ここで、「えー、虫捕まえられなくなるの、嫌だー」と言われるかと思っていたら全然違った。「Hくんね、カッコいいと思う!」、えっと思い、「どうして?」と聞いたら、「だって、黒いのカッコいいもん(アスファルトの色)、Hくん、カッコいいの好き」と言われた。

あぁ、そうだよなぁと思った。勝手に悲しんでいたし、実際悲しいけれど、息子の意見は違った。虫は森にいけばいるし、黒はかっこいいから。一緒に遊んだ思い出なくなって悲しいと思いこんでいたら、これは僕の思い込みだったんだと気付いた。

空き地がなくなっても想い出は存在するし、虫を捕まえることは他の森で出来る、これが事実だ。悲しいは悲しいけれど、新しい思い出を息子とつくっていけばいいんだな、と思った朝だった。

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芸術のげの字も知らなかった素人が、芸術家として生きることを決めてから過ごす日々。詩を書いたり、創作プロセスについての気付きを書いたり、生々…

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