【雑文】ノベライズ版『メタルギアソリッド ガンズオブザパトリオット』感想/伊藤計劃読解

原作を知らない立場から率直に書いてるので、思い入れある人はたぶん回避推奨。

・なぜこう書くのかというと、遠からず「知らない状態」ではなくなる予定なので、印象が変わる可能性もあるからですね。

・んでは、何回目か読んでみての感想です。

   ・

・純粋な事実として、作家の作品としてこのノベライズが語られることは(『虐殺器官』『ハーモニー』の二作品と比較したならば)少ない。

・なぜか。第一に考えられるのは、固有名詞の問題である。

・『MGS4』時点での総集編的ノベライズと想定され、ゆえに次々とシリーズ独自の=未プレイ者には初耳の固有名詞が続出する。

・たとえば、以下の文章はどうだろう。

 彼の名前はデイビッド。
 アウターヘブンを設立した伝説の傭兵──ビッグボスの息子。
 戦いの闇の歴史ではソリッド・スネークとして知られる、伝説の男だ。

・文章構造それ自体は明瞭である。固有名詞をすべて知っていたなら、盛り上がるだろう書き方になってもいる。

・問題は、「固有名詞をすべて知っていたなら」との前提がそれなりに高いハードルであること。

・未プレイ者むけに説明されてはいるものの、なまじシリーズとして厚みがあるためか、語らなければならない背景が多すぎる。恐らくはかなり省略されているとの推測はつくが……。

・諸々を考えつつ、両方(ノベライズと刊行当時までの『メタルギア』作品)を押さえている友人にこの辺りのネックを聞いてみたところ、「難点はあるがまとめとしては本当によく出来ている」とのこと。

・てな訳で、いまの感想は「思い入れが強かったので、思い切った取捨選択は厳しかったのでは」くらいですね……この感想がどう変わるのか。恐くもあり、楽しみでもあり……。 (了)

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