デカすぎる愛

1997 / 京都市立芸術大学 構想設計

デカすぎる愛

1997 / 京都市立芸術大学 構想設計

最近の記事

「ブス女ほど性欲が強い(笑)」

 第4波のSNSフェミニズムが台頭してから、"男のミソジニー"について議論(もはやただの恨みの発散と化しているが)される土壌はできあがったけれど、"女のミソジニー"について語られる土壌はまだまだ未熟である。  "男のミソジニー"と"女のミソジニー"は構造がまったくちがうとわたしは考えている。  "男のミソジニー"は、家父長制やホモソーシャルによつて「女は抑圧されるべき生き物だ」という価値観が男性間に共有されることで植えつけられてきたところが大きい。  一方で、"女のミソジニ

    • まともな親のもとに生まれていれば

       親との関係性について、明確に悩むようになってから丸8年ほどが経った。  自分が教育虐待を受けていて、自分の気質がいわゆるアダルトチルドレン(ヒーロー)と呼ばれるものに該当することに気づいたのが、高校3年生の夏。大学受験の進路で親とぶつかって、積もり積もってきたメンタルヘルスの異常がついに確実なものになった。  小・中学生ぐらいの頃から、授業参観や三者面談に来る自分の母が、なんだか他の子の親とは違って異質な気がする、とは薄々感じてはいたけれど、その感覚が間違いではなかったこ

      • クリエイティブ職に就かなかったサブカル系の人々のその後の人生

         こういうツイートを観測して、少し考えてみようと思った。   (なぜか元ツイが全然見つからなくて探し回っていたが、どうやらツイ主にブロックされているようだった。ブロックされているのに言及するというのは気が引けるが、わたしをブロックしている当人にはこのnoteも届かないだろうから、まあよしとする。)  サブカル系の人々は、サブカル系であるがゆえにクリエイティブ職に就きたがるけれど、個人的な感覚として、サブカル系であるがゆえにクリエイティブ職に就けないのだろうな、と思う。

        • インターネット上だけでは輝いていたい

           デカ愛ちゃんというキャラクターが生きているインターネットがドシドシデカくなっており、まあ正直なところ承認欲求は満たされるが、同時におもしろ発狂ができなくなったり、考察に有益だったりするツイートを求められることにプレッシャーを感じたりもしている。  そもそもデカ愛ちゃんの原点はリア垢だった。大学生活においてまだ社交性があった頃、普段からウケるツイートをしていればアカウントが周知され、作品に注目してくれる人が増えるだろうといういわばマーケティング戦略みたいな動機でネタツイをし

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        「ブス女ほど性欲が強い(笑)」

          絵を描くことの政治性

           わたしは芸大生とはいえ、絵画の畑の人間ではないので、絵について大口を叩くことは憚られるが、このようなマシュマロが届いたので、絵画の畑ではない人間なりに絵を描くことについて考えてみる。(イラストやドローイングは描くことがあるので、主にその経験から考えたことについて述べることになる。)  このマシュマロに直球に答えるならば、絵を描く上での興味に「対象を描くことへの興味」と「線を引くこと・色を塗ることへの興味」があるとするならば、わたしの場合は前者が30%、後者が70%だという

          絵を描くことの政治性

          京都という街で過ごしたモラトリアム

           二月末日で京都市内のアパートを退去する。  肉体的な拠点はもうすでに大阪にあるのだが、服や本や楽器などの荷物の大半は京都に置き去りにしていて、必要になれば阪急電車に乗って取りに帰るという生活を送っている。  わたしの京都生活はちょうど5年で閉幕する。  元はと言えば、毒親から逃げるための一人暮らしだったが、今となってはわたしの人生を語る上では欠かせないものとなっている。  5年前の1月、毒親から逃げるために(実家から大学が片道2時間半かかることを口実に)週7の居酒屋バ

          京都という街で過ごしたモラトリアム

          ナンパ師のレイプ犯が不起訴になった

           都会の街を歩いているときに、男性に声をかけられた経験のある女性は決して少なくないのではないでしょうか。街中では、ホストのキャッチ、風俗のスカウト、ナンパ師、さまざまな男性が女性を狙っています。  わたしは2021年11月12日、大阪市内中心部の某駅でナンパしてきた男性に連れ去られ、男性の自宅でレイプの被害を受けました。どうしても許せなかったわたしは、後日警察に話を持っていき、刑事告訴をすることにしました。その一部始終をレポとして記しておきたいと思います。  加害者とはい

          ナンパ師のレイプ犯が不起訴になった

          理解のある彼女ちゃんになれなかった

           Twitterでたびたび発生する「発達障害/精神障害の女には理解のある彼くんがいるが、発達障害/精神障害の男には理解のある彼女ちゃんがいない」という論。  先日もこんなツイートが流れてきた。  精神科医が自身の患者を「弱者男性」「弱者女性」と呼んでいるのにも驚くし、バイアスにまみれたインターネットの男女論に加担しているのにも驚いたが、わたしは発達障害/精神障害の当事者、いわゆる「弱者女性」と彼にラベリングされるであろう立場から、個人的に思うことがあった。  わたしはAD

          理解のある彼女ちゃんになれなかった

          性を持つすべての人へ

           昨年の11月、大阪市内の某駅で見知らぬ大学生にナンパされ、そのまま腕を引っ張られて相手の自宅まで連れて行かれ、そこでレイプされた。  それをレイプだと認識するのに数日かかった。わたしにはかつてマッチングアプリに依存していた時期があり、同意のない性行為に慣れてしまっていたのだ。友人に指摘され、それが性加害であったことを初めて認識した。  相手の自宅のエリアの警察に電話をかけて事件について説明した。しかし、いくら腕を引っ張られていたと言えども、「自分の足で歩いて相手の自宅に

          性を持つすべての人へ

          中学受験は子の人生を狂わせる

           Twitterでは時折”中学受験ツイート”なるものがバズる。子の中学受験に重課金して(S◯PIXなど)必死になる親、中学受験を経験したエリートたちの学歴主義、中学受験に対応可能な家庭の教育資本vs中間層・貧困層、etc.  わたし自身も中学受験がトラウマになるほど経験した身なので、他人事のようには思えずにいつも見ている。  わたしは、確かに中学受験をトラウマになるほど経験した。しかし、大人になった今、全くのエリートではない。エリートどころか、24歳になってもまだ大学5年生

          中学受験は子の人生を狂わせる

          大学5年生なりの新生活

           明日、3年とちょっと住んだ家を出ます。そして、入居日と退居日を一日ずらすことでゆっくりと引っ越し作業ができるという発明をしたわたしは、この文章を新居で書いています。  実質、今、家がふたつある状態です。帰る場所がいくつもあるなんて、ぜいたくですね。  新居とともにはじまる新生活。京都市立芸術大学の5年生になりました。  3月半ばに不動産屋に飛び込んだので、まるで内定がギリギリで出た春から新卒かのような勢いでしたが、全く卒業していません。  大学入学当初は大阪の実家から通

          大学5年生なりの新生活

          まけない

           小さい頃、母に言われた「家庭料理でいちばん難しいんは、卵焼きなんやで」という言葉をずっと覚えている。   卵焼きの作り方は、料理の経験の乏しい人にでもだいたいわかる。溶き卵を長方形のフライパンに流し込み、奥から手前に巻いていく。巻けたものを奥に寄せて、手前の空いたところに残りの卵液を流し込み、同じように巻く。  「卵焼きは甘い派?しょっぱい派?」というよくあるアンケートのように、家庭によって調味料の違いがあるところまでは、誰しも想像がつくだろう。わたしだっ