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オランダとIT

前々回、Kubernetesの事例としてオランダからの事例が4つあることに目を引かれると書きました。

オランダの人口は、大体ですが、大阪・京都・兵庫を足したぐらいです。
面積は大体九州くらいだそうです。とはいえ、日本の可住地比率はわずか27.3%ですので、オランダの可住地面積30,080 (国土の約73%が人の住めるような平地)と同じくらいなのは、兵庫県淡路島をもう一つくっつけたときの可住地面積くらいでしょうか。

オランダの会社といえば、次のような有名どころがWikipedia(英語)に載っています。
 ロイヤル・ダッチ・シェル(石油メジャー)
 ユニリーバ
 ハイネケン
 フィリップス
 DSM(化学工業)
 ランドスタッド(人材サービス)
アムステルダム証券取引所(現ユーロネクスト・アムステルダム)もオランダです。

ITでオランダでといえば、個人的には、The Zen of Python(Pythonの考え方)の
Although that way may not be obvious at first unless you're Dutch.
が思い浮かびます。
「明らかに為すべきな方法は一つであるべき(ていうか、一つしかない)」のあとに「オランダ人でないなら、最初はその方法は明白ではないかもしれないが。」とあります。このオランダ人というのは、プログラム言語Pythonの生みの親、引退を宣言されましたがPython開発を先導したBDFL「優しい終身の独裁者」として知られるオランダ出身のグイド・ヴァンロッサム氏のことといわれているようです。

オランダでITというと、寡聞のためそれくらいしか知らなかったので、少し調べてみました。

オランダの経済省企業誘致局のサイトにある紹介文書
Information Technology the Netherlands(オランダのIT)
には、表紙でまず3つ挙げられています。
・世界でも最も接続されている国
・EUで一番IcTが使われている国
・世界最大級インターネットの接続ポイントAMS-IX

1個目と2個目については別の文書、
Facts and Figures,2018 The Netherlands Compared
(オランダを比較する -その姿と事実 2018年 とでも訳しましょうか)
の中で、もうすこし詳細が紹介されています。

・オランダでは、98%の家庭が何らかの形でインターネット接続している
・ほぼすべての家庭に、DSLかケーブルによる接続が提供されている
・2016年の統計によると、オランダ企業のほぼ100%がインターネットを使用して仕事をしている。98%はブロードバンド接続である
•16〜74歳のオランダ人の91%がアクティブなインターネットユーザーである
•16〜74歳のオランダ人の75%が基本的なICTスキルを持っている

また、こうもあります。
・WIPO(世界知的所有権機関)のGlobal Innovation Index 2018では、スイスの次にイノベーティブな国と考えられているとある
・2020年には、GDPの2.5%(前回のGDPの数字で計算すると、約230億ドル)を研究に費やすことを目指している
・Financial Timesでも、ヨーロッパの急成長中スタートアップランキングに加わっている。
・ヨーロッパのスタートアップのハブとして発展している。
・オランダは「現代のラボ」とみなされるほど新しいコンセプトに対して門戸を開いている


そのFinancial TimesのFT1000「FT1000欧州急成長企業ランキング」
The FT 1000: The complete list of Europe’s fastest growing companies
では、オランダから22社エントリーされています。
以下は、オランダからランキングされた会社の上から5社です。
%は2013年から2016年にかけての収益成長率です。

Rank 20. Bynder  (Technology) 3,712%
                          デジタル資産管理プラットフォームを提供
Rank 48. Catawiki (Technology) 2,094%
                          コレクター向けオンラインオークションハウス
Rank 52. Engagement Factory (Sales & Marketing)
                          マーケティング コンサルタント 2,034%
                          2013年は12ヶ月分ではないです
Rank 98. Scribbr (Education) 1,152% 教育コンサルタント
Rank 128. Mint Tower Capital Manegiment B.V. (Financial Services) 937% 
                          投資会社

Bynder社は、オランダ第2の急成長企業としてAWSの導入事例で紹介されています。


【雑感】
上記のオランダ紹介について、個人的には、インターネットの活用率やICTスキルの保有率に一番注目しています。ですがその前にまず、国土の73%が平野で人が住めるところだという、日本の感覚とはずいぶん違うのが非常に印象的でした。面積を例えた九州にしても兵庫県にしても、山地や海がしっかりあり、それを越えるためには、どうしても線での連携になります。
オランダにはアムステルダム、ロッテルダム、ハーグのようなメガロポリスがありますが、「都市の経済圏」「地域間の連携」といったときに、日本のように都市や経済圏の間を山や海の間を線で結ぶ感覚で理解してよいものか、というと、違う気がしてきます。
平地同士で対比できるようなまとまった広さがと規模のある経済圏といえば、Kubernetes事例にあったYahoo!Japanの本社がある関東地方ぐらいでしょうか。
関東平野は日本2位の石狩平野の4倍以上、17,000㎢です。
オランダはその2倍よりは(埼玉県の面積くらい)少ないくらいです。
では、関東平野の面積が倍だったらとイメージしてみると…

人口密度が違いすぎませんかこれ。人口は、関東平野で4000万人でオランダは1700万人です。オランダのほうが倍とまでは言わないにしても広い。

日本:オランダのGDPは名目で約5.4:1、実質で約6.6:1。
関東地方のGDPが日本の約4割、人口で約3割。
強引な計算ですが、関東平野:オランダのGDPとみたら、名目で約2.1:1、実質で約2.6:1。人口比は関東平野:オランダで約2.4:1。

気が付けば、雑感で書くにしては、数字がと中身が多くなってしまいました。

【小ネタ】
・オランダには日本からもスタートアップが進出しているようです
・日本のスタートアップはというと、「FT1000アジア太平洋地域 高成長企業ランキング」FT1000 High-Growth Companies Asia-Pacificには、日本から200社近く載っています。 一方で、Statiscaには「日本のスタートアップのエコシステムはまだ発生期だ」とあります。

 
今回はここまで。
(2019/12/12)


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