#11/お名前を知らないあなたへのありがとう
ありがとうパレードへようこそ(はい?という方はこちら)!
電飾と音楽に包まれ、ねずみさん他、きらめくスターたちが踊ってくれるエレクトリカルパレードは、現在コロナのためお休みです( ;∀;)
「はーい、ぼくミッキー」に代わり、「はーい、わたしパン屋の娘」です。
こちらにて、電飾も音楽も、一切の演出がないアコースティックパレードを展開中です。私自身は踊りませんが、私の心が確かに躍ったパン屋録を書いています。
常連さんはあだ名でお呼びしています
パン屋に来てくださる常連さんには、本当に感謝している。
パンを買ってくれることへの感謝ではない。
お店や両親を愛してくださることへの感謝だ。
ただ残念ながら、多くの方は、お名前を存じ上げない。
予約を頂かない限り、伺う機会がないからだ。
だから私たち家族は、あだ名をつけてお呼びしている。
「ママさん」へのありがとう
ママさんがご懐妊されたとき、悪阻がひどく、食べ物を受けつけなかったそうだ。
それでも何か食べなくてはとパン屋に来て、
「ここのパンなら食べられそうな気がして」
と言ってくれたことを、両親はとても喜んでいた。
この言葉は、私、娘にとっても特別な言葉でした。
私は、昔から自分のことを、あまり人に相談しない。
自分で一定に考えてから、「なんか抜けている視点ある?」と助言を求めることはあるが、人に判断を委ねることは少ない。
自立心が強いんじゃなく、単に相談力が低いのだ。
悩みを的確に言語化できる自信もないし、人がくれる意見を正しく汲み取れる自信はもっとない。
それでも、悩むなーと心がむずむずするときは、迷い立ったが吉日(?)。
実家に帰省し、「おかあさーん、お味噌汁作ってー」とせがむ。
パン屋の両親は忙しいと、毎日ここに書いてるじゃないか(;'∀')
我ながら迷惑な娘だ…でもお味噌汁って、なんか染みるじゃん?
ママさんの「ここのパンなら食べられそう」という言葉は、
まさにそういう日の私の気持ちを代弁してくれた。
私まで母の料理を食べた後のように、ほっこりと心が軽くなった。
数か月後、赤ちゃんを連れてパン屋に来てくれたことは、両親を一層喜ばせた。
両親のことを「地域を支える存在」として尊敬した、初めての経験だった。
先日、赤ちゃんは5歳のお誕生日を迎えた(時が経つのは早い)。
あまりケーキが得意でないようで、メロンパンにろうそくを立てて、お祝いするという。可愛すぎかっ💛
「図書館さん」へのありがとう
我が家全員の趣味は読書だ。
私が小さいころから、階段や玄関など、家のいたるところに本があった(散らかっていたが正しい笑)。
誰かが買ってきた本は、全員で回し読みする。
ほら、その辺に散らかってると、なんとなく手に取ってしまうというアレです。
両親は、パン屋を始めてから、読書をする時間が極端に減った。
すなわち、親子の共通の話題も減った。
図書館さんは、その名の通り、図書館にお勤めだ。
本当に本がお好きなのだろう。
さまざまな著者の本を読み、またその内容をよく記憶されている。
最近話題の本や、「その作家ならこの作品も面白いですよ」など関連情報も教えてくれる。
自然摂取しにくい栄養素はサプリメントを飲んで健康を「保つ」ように、
図書館さんは、私たち家族が「変わらずにいる」ための情報をくれる。
いくら忙しいからといって、いや、忙しいからこそ、
家族の話題がパン屋オンリーになっては、バランスを欠いただろう。
守破離の「破」は、お名前を知らない方々の温かさに触れる時間だった。
Thank you!!
(ステイホームのランチをお助けできればと、
お惣菜パンを増やしています)
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