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2022年1月後半読書の記録

1/16㈰ Netflixでアニメ「平家物語」第一話。キャラクター原案が高野文子でオープニングは羊文学。わたし完全にターゲット層だ。確定申告、自分の作業分はだいたい終了。
同じくNetflixで十年以上ぶりに「下妻物語」も。記憶の中以上に素晴らしくよくて、興奮してなかなか眠れず。

1/17㈪ 遠出。泊まったホテルに大浴場があり、露天風呂があったので震えながら入ってみると他に誰もいないのでひとりで何往復も泳ぐ。寒くて暗くて気持ちいい楽しい。月が遠くて小さいなと思ったら、ほんとに小さい満月だったらしい。いい夜。最高だ。

1/18㈫ 旅のおともは栗原康『村に火をつけ、白痴になれ』。お正月に見た100分で名著から。岩波現代文庫、解説はブレイディみかこ。面白くて一気に読了。伊藤野枝、最高。栗原康も、圧巻。

“ほめられることが生きがいのあることでないということを忘れないでください。”

マインドが奴隷になってはいけない。アナキズム、無支配主義。
同じく伊藤野枝がモデルの村山由佳『風よあらしよ』は吉高由里子でドラマ化らしい。

帰りに乗った京都市バス、運転手さんが素敵なおばあさんで車内放送も心地よく、なんだか革新的な印象がありとてもよかった。

1/19㈬ 突如、出口見えぬ子育ての難関にぶつかり中。いや、たぶん突如ではなかったんだろうなあ。
原稿書こうと候補本の『詩人になりたいわたしX』を読む。全編が詩。思春期のモヤモヤに、出会った言葉が寄り添ってくれることってあると思う。

自分のモヤモヤの出所を(思春期じゃなくてもモヤモヤはする)、正直に正直に辿ってみたら自分の余計なプライドゆえ、ということがあった。思い悩む前にすぐ気がついてよかった。誰も悪くない。それが分かればもうすっきり。ちょうど注文していた佐藤英之工人の初挽こけしが届く。今年は胴模様が鷽なので、自分に嘘をつかずに正直になれたのも鷽のこけしのご利益かも……なんて。すごくかわいい。

年末にもお伺いした方のところへ出張買取。今回も良書ばかりで感謝。その後店に戻り、吉備津の玩具やリトグラフなどお持ち込みいただき買取。こちらも本当にすばらしく、感謝しかない。

1/20㈭ オミクロンの勢いが凄すぎる上に今日明日は雪なので、一年以上手つかずになっていたオンラインショップの更新を。学校休んでるはなさんを店に連れ出し商品写真の撮影と入力のバイトをしてもらう。iPadとパソコンの二台を使い、手分けして入力。マジでさくさく進む。関西も来週からまん防。マヤルカのささやかなコロナ禍応援策として、ウェブショップの送料を一律半額に。雪の中来てくれたお客さん、よい方ばかりだった。
お風呂で「平家物語」第二話。白拍子でいたらアップダウンあるからと出家して嵯峨野の尼寺で穏やかに暮らした祇王。ある意味少し前からのマヤルカも方向転換中。消極的、後向き、またはマイナスな理由ではない。人気商売ではないところに古本屋の奥深さと面白さと希望を見ているのだ。

1/21㈮ 梯久美子さん『愛の顚末 恋と死と文学と』読了。原民喜の章、迫るものがあった。取り上げられているのも好きな作家ばかり。全集の月報から引かれた文章が多く、古本屋的に全集そのもの以上に揃いであることが重要な月報はやはり大事と改めて。。

“ひしめきて位置を争ふ東京にわが足立つる空地はなきか”中城ふみ子

わたしも東京で働いてたときに同じことを思っていた。会社員時代の常に限界ぎりぎりな精神状態を思うと今は平和である。あの頃はお金も余裕も何もなく上司も罰ゲームのようにキツかった。でも近くに友だちがたくさんいて、しがらみなく貴重でいい二十代だった。今思えば時間もあった。三十代は全振りの自由と面倒なしがらみがとんとんである。
昨日以上に大雪のためバスで店へ。オープン前に雪かき。楽しい。昨日に引き続き、今日もしっかり棚を見てくれるお客さんばかりでうれしい。

『イエスの意味はイエス、それから…』カロリン・エムケ(みすず書房)より。
“そんな場所に、男性が女性を呼び出す。男性に比べて守られていない女性を。彼女が守られていないのは、男性より稼ぎが少ないから、または男性より有名でないから、または男性よりコネが少ないからだ。”

1/22㈯ 子育てに悩みすぎたせいか悪い夢を見て明け方目が覚める。御所の近くで交通事故があり現場一帯が水浸し&道路が陥没していて、そこでまだ小さかった頃のはなさんがぴょんぴょん走り回り行方不明に、という夢。悪夢だけど、小さかった頃のはなさんと再会できたのはちょっとうれしい。。
石井ゆかりさんの週報、どんなに距離が近くても、どんなに結びつきが深くても、「他者」なのです、とある。身内ではなく、別の人生を生きている人間と捉え直す。ハッとする。

おすすめしてもらって聞いてるポッドキャスト、コクヨ野外学習センターの新・雑貨論、わたしが以前のようなギャラリー運営から離れようとした理由がぜんぶ言葉になっている……。そうなのそうなの、わたしもほんとは大好きなの〜〜!という気持ち。面白い。ギャラリーの機能も、以前よりも狭いかたち(物理的にも意味的にも)で残したい。

1/23㈰ 朝から出張買取。内容はもちろん状態もよく、査定額にも満足してもらえた。帰りに「いい仕事を見せてもらいました」というようなことを言ってもらいうれしい。古本屋心の師匠にだいぶ鍛えられ、とても美しくしっかりしてきた紐の縛りだと思う。心の師匠は去年もトラック2台、内容もものすごかった買取に作業要員として連れて行ってくれた。女性のわたしはそういう(ハードな力仕事)現場になかなか呼ばれにくいし、何から何まで勉強になり感謝しかなかった。大口買取もお気軽にご相談くださいね。
昼過ぎまで店番を頼んでいるので買取後に大丸の堀内誠一展へ。チケットはお客さんにいただいた。雪山の絵本を描くために瀬田貞二さんと行ったという長野旅行のスナップ写真がすごくかわいくて、出来上がった宮沢賢治『雪わたり』に描かれた雪山と子どもの絵は色合いから何からスナップ写真そのままだった。そのシーンのポストカードを購入。
午後、店頭お持ち込みの本の中にこうの史代『さんさん録』があり、買取後に思わず全2巻を何度目かの読了、のち棚出し。この漫画ほんとに好きで、入ってくるたび熟読してしまう。はあ、やっぱりすばらしくいい。。

1/24㈪ 訳あって、朝から一時間くらい歩き本読みながらコーヒー飲んで帰る。運動大事、今日は昼間よく動けた。朝のうちに雨が上がり久しぶりにちゃんと晴れて、買取&お買い物ともによい一日だった。朝イチでカムイ伝全巻旅立つ。おみやげにふたばの豆餅と桜餅いただく。悩みは未だ出口が見えず。

1/25㈫ 今朝も歩く。途中またコーヒー飲みながら本を読み、天神さんの骨董市ぶらぶら。コロナのせいかとても空いていた。かわいいガラスのカード立てひとつ購入。100円。子どもの頃、家族旅行に行くたびにこういうガラス細工集めてたなあ。人の好みって怖いくらいに変わらない……ほんとに怖い。
大市の出品荷物を組合に運び、その後出張買取一件。子どもの悩みに悩みに悩んでるこのときに、タイミングいいのか悪いのか塾の面談。しかし意外にもこちらは希望ある内容だった。あんまり追い詰めずにサポートしたい。が、つい力が入ってしまうのなんでだろ、と考えてたらまあ子どもの将来のことだからなんだけど、わたしが高校大学行って初めて自分のことも分かったような気がしていて、ずっと先生とうまく行かなかったのに大学では尊敬する先生に会えて(著書にわたしの論文も載せてくれた)、友だちにしても経験にしてもほんとによかった救われたなと思ってるから、はなさんにもあの景色を見せてあげたいんだなあと思い至り、え?あの景色を見せてあげたいってわたしISSA(DA PUMP)?と一人面白くなってしまいトーンダウン。

1/26㈬ 訳あってだけど、朝一時間くらい歩くのがほんとにいい。安達茉莉子さんの『私の生活改善運動』というZINEがとてもいいんだけど(内容のみならずタイトル好きすぎる)、まさに新たなルーティンになりつつある朝のこの時間も私の生活改善運動という感じがする。途中で本読みながらコーヒー飲む時間も含めて(静かで眩しいくらいに日の当たる、広めのマックカフェ。バリスタが淹れてくれる?カフェラテ250円)。
店頭で安達さんのZINEを買ってくれた方が、誰かの奮闘記を読むのが好き、というようなことを言っていてなるほどそんな選び方もあるのかと目からウロコだった。目からウロコの選び方してくれる方も取りこぼさない紹介にもなっていたことも覚えておきたい。たぶん、しすぎなさの模索。
アメリカ文学専攻の学生さんが、年末にマヤルカが参加していた阪神百貨店の古本市に出してた三冊組の本まだありますか?と買いに来てくれた。合わせて洋書も数冊。洋書は即売会での販売が中心だけど去年からがんばってるジャンル。うれしい。その後もびっくり!なうれしいご来店。おみやげにコロッケもらう。

1/27㈭ 朝のウォーキングなし。悩みの出口は見えず。一回の人生で、だいたいの経験が出来そうな気がするわたしの毎日。しかしわたしにしては珍しく、たまらず助けを求めてみたら思いもよらなかったびっくりするほどの身近で手を差し伸べてもらえて救われる。どうなるんだろう。

“どこまでも指を滑り込ませる温い腹の柔毛(にこげ)中略 こんなに可愛い、不思議な、艶めかしい猫の有様を私はまだ見たことがなかった。”
梶井基次郎『交尾』

先日、宇野千代と梶井基次郎の秘密の関係についての文章を読んだので梶井基次郎を手に取る。なんてかわいい文章なの……。宇野千代は昔から好きで、家の引っ越しをしたり店の移転をしたり新たな物件に出会うたびに心の中のお千代が奮起する(宇野千代は生涯で何軒もの家を持った)。
新年初来店という常連さん、買取、通販などなど店は今日も平和でよい一日だった。

1/28㈮ 今朝もウォーキングなし。発送作業終え、昼過ぎに店番代わってもらって大市下見へ。ばたばたと様々な用事を済ませて次の即売会に向けて洋書の山を仕分けする。ドキドキしながら初めて行った子の病院の先生がものすごくよくそれだけで気分が軽くなった。今年受験生のはなさんも生活改善運動、ということで子ども部屋のカーテンや椅子など新調。新刊本の注文で電話をくれた常連さんとそのまま少しだけ話してとても元気をもらう。

“この本の主題は、主としてクジラだが、生き物としてのクジラというよりは、むしろ隠喩としてのクジラだと言いたい。“
タブッキ。まだ最初だけ。

1/29㈯ 大市入札後、子の大事な用があり伏見へ。なんて良い街。街の“抜け感”のようなものに癒され、たまたま見つけたかわいい老舗パン屋さんでパンを買ったり黄桜の酒造でビールを飲んだりのんびりする。すれ違う人たちもみんなのんびりしている。電車で香山哲さんの『ベルリンうわの空 最終章ランゲシュランゲ』を読んでいたので尚更沁みた。ベルリンうわの空、まるで救いのような最高のシリーズ。夕方BALのDRESSTERIORですてきな服を買い、地下の丸善でシルビナ・オカンポなど八千円ほど購入。丸善大好き。来月(2/25〜3/5)はここで古本市。
アニメ「平家物語」第三話。かの有名な重盛「忠ならんと欲すれば孝ならず〜」の回。

1/30㈰ なかなかにレアで良質の絵本をまとめてお持ち込みいただき、ちょっと感動しながら査定額をお伝えすると「けっこういい本持ってるでしょ」とお客さんがニヤリとされる。思わず「ほんとに!すごくセンスがいいです〜」と言うと「うれしい、まだまだあるから近くだし持ってくるわ。わたしはもうたくさん勉強させてもらったから次の人にね」と言ってくれる。
その後もラテンアメリカ文学、レコードなどお持ち込み。数日前にも来てくれたお客さんが自分の分も買ったから、と差し入れにほかほかのできたて阿闍梨餅を持ってきてくださる。阿闍梨餅、百万遍の本店で買うとほかほかって知ってました?オミクロン急増してから昨日までの約二週間、平日はあまり変化がないのが救いだけど土日の暇さがすごかった。たくさんのご来店の日曜日に感謝です。

閉店後、すごく元気が出ると紹介してもらった有料の個人電話占い50分。占い師さんがサバサバであったかくてほんとによかった。濃密すぎる。自分についてはああ、そうそうそうなんです〜、、という感じでお恥ずかしながら、だったけど、はなさんについてすごく安心できてよかった。ああ楽しかった。わたしがやるべきこともどっしり構えてたらいいこともクリアになった。ときどき予約しよう。

Netflixで新作の韓国ゾンビドラマ。相変わらずすごく面白いんだけど(韓国ドラマもゾンビものも大好き)、最初のイジメと性暴力シーンがしんどすぎて今のところゾンビについては特に何も思えない。。制作陣はカン・ファギル『別の人』読んでないのかな。日本ではエトセトラブックスから出ていて、すごくすごくいいのでマヤルカでも売ってます。去年読んだ中でも印象深い本トップ10に入ると思う。

1/31㈪ 久々に朝ウォーキング。コーヒー休憩は100分で名著パンデミック特集ですばらしかった小川公代さんの『ケアの倫理とエンパワメント』、一章のウルフ読了。専門用語と言い回しが難しいので少しずつ読んでる。このなんともとりとめのない、読んでくれる方が楽しいのかどうか謎のnoteもカイロス的流れの記録と思えば何か意味があるかもしれないしないかもしれない。。でも意味のないものがなくなったらほんとに意味がないよね。

引き続きNetflixでゾンビドラマ「今、私たちの学校は」も。自分も数秒後にああなるのか、という恐怖は全員に平等な死への恐怖と重なる。ゾンビものでは当然の流れなんだけど、その不条理な恐怖にここまでゾッとしたのは初めてかもしれない。。すごい。。普段本を読んでると、その不条理さは昇華され何らかの答えや意味づけが描かれていることが多いので。人間の醜さ冷酷さも徹底していて、ここまで見てきたら最初にあんなふうに直接的な暴力をなんの優しさも救いも視聴者への配慮も一切なくそのまま描いた理由も分かるんだけどやっぱりなあ、あれはしんどいと思う。でも面白い。キングダムの新シリーズはまだかな。

オミクロンの足音が身近にまでひたひたと。みなさまお体気をつけてお過ごしください。

1月最終日のBGMは(突然の)、桃井かおり「嫌なこと言われたの」。いい声。
ではまた半月後、よかったら!

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