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骨折入院⑫ 車椅子・歩行器・リハビリ

車椅子

すっかり車椅子の扱いに慣れた私は、コロナ明けの院内を颯爽と風を切ってゆく。両腕で必至にこいでいる男性を、後ろから煽ったり(!)したこともある。いや、結果的に煽ったようになったが、トイレに行きたかっただけです。「交通事故だけは避けてくださいね」とご注意を受けることも。

左手に歯磨きセットを持ち、右手はホイールをこぐ。痛めている右足は高々と前方に突き出し、左足でぐいぐいと地面を後ろに蹴って進む。これで歩くスピードと同じくらいまでになるのだから、自分の脚力はすごいのではないか、と思う。

車椅子の推進力は主に、左足のこぐ力である。右手でホイールを回すのは補助。私の脚力が素晴らしいのは、思うに、普段85㎏の体重を支え続けているから、鍛えられているのではないだろうか。だから、体重がかからないウェイト・トレーニングなら、平均的な男性よりも重いウェイトがこなせる。女子には負けたことがない。

車椅子用のトイレのドアは大きく開く引き戸だ。ぐいっと開いて、さっと入れば、あとは自動で閉まる。その間にドアの手すりにぶら下がっている「空いています」と書かれたプレートを裏返して「使用中です」にしなくてはならない。

何かあったときに介助の人が入れなくなるので、中から鍵を掛けるのは禁止だ。「使用中です」にしておかなければ、他の人が入ってくる恐れがあるので、必ず裏返す。

これが、慣れてくると実にスムーズにできるようになるのが、驚きだ。出るときも方向転換などする必要はない。そのままバックですり抜けるのだ。そして、プレートを返す。

エレベーターで1階まで下りて、売店へ行くのもちょっとしたお楽しみだ。焼きたてパンが入荷すると店中がいい匂いに包まれる。そして、コーヒーの自販機はカフェ並みのクオリティを抽出している。

パンの袋を下げ、コーヒーの紙カップを片手に、車椅子を飛ばして帰ってくる。ろくに運動しないのだから、毎日パンを食べていてはいけないのはわかっているのだが…。

歩行器

そんなある日、「今日から歩行器を使ってください」という指令が来た。リハビリの先生が、この人は歩行器に移行しても大丈夫と考えたのだ。車椅子→歩行器→杖、という順番で回復していくのだから、嬉しいことなのだが、車椅子のテクニックを磨いた私には残念なことでもあった。

とりあえずは、車椅子と歩行器を併用してもよいとのことなので、一安心。売店など長距離を移動する場合は、車椅子を使ってよいことになった。

足首が90度まで曲がらないので、歩行は大変困難です。リハビリを続けてなんとか、歩けるところまで漕ぎつけなくてはならない。

明日以降のストレッチと歩行練習が大事。リハビリ頑張る!


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