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がんで悩むかたへ「マギーズ東京」のすすめ #0263/1000

はじめに

昨日、年末調整で来てくださっている派遣社員さんから、来週お休みをとりたいという申し出がありました。

聞けば、お母様ががんで、手術を予定しており、手術前の検査をしていたところ血栓がみつかったとのこと。

その血栓についてまた精密検査があるそうです。

そこで、「ほんとうに手術がいいのかどうか、迷っているが、どこに相談したらいいかわからない」というつぶやきがありました。

幸い、私には人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)で関わりのある頼りになるメンバーがいるのでアドバイスを仰いだところ、出てきたのが「マギーズ東京」でした。

私自身、かつて行ったことがあるのにすっかり頭から抜けていました。

これを機に、かつて自分が残した記録を見返してみて、あらためて、がんで正解のない問題に悩むひとには、「マギーズ東京」がひとつの道しるべになるなと思います。

明日は父の一周忌に母の七回忌。これもご縁かもしれません。

マギーズ東京とは

マギーズ東京は、がん患者と、その関係者のための集いの家です。

イギリスでは20箇所もあるマギーズハウスは、
・執務室から全てを見渡せること
・陽当たりがよいこと
・個室にできるコーナーがあること
などなどの細かな基準を満た全て必要があり、イギリスのそれは黒川紀章さんを始め著名な建築家さんの作品だとか。

東京のマギーズハウスも、とても居心地のよいところです。

わたしたちが得られたこと

マギーズ東京は、医療法人ではないので、治療をしてくれるとか、より効果的な治療方法を決めてくれるとか、そういう「はっきりした答え」を求めるところではありません。

むしろ、そういった「かならず正解があるはず」という思考から離れ、
「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」
「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」
である「ネガティブ・ケイパビリティ」※を助けてくれる場所だと思っています。

※もとは詩人ジョン・キーツの言葉。
帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』参照。

「がんを治そう」「がんをなくそう」と思って動くと、どうしてもより正解に近い答えを探してしまいます。

ですが、病気の治療に「正解」というものはありません。

むしろ「どうやってうまくつきあっていくか」「自分が望む在り方でいるためにはどうすればよいか」に焦点をあてれば、「今」を満たすことができます。

私が父と2017年にマギーズ東京をおとずれたのは、わたしにとっては母である配偶者をがんで亡くし、かつ自分も肝臓がん患者である父にとって、少しでも楽しい時間になればと思ってのことでした。

おしゃべり好きな父は、看護師さんや心理士さんとたくさんいろんな話をして、とても楽しそうでした。
表情もとても穏やかで、リラックスできているのがわかりました。
その日、父の話を「傾聴」してくださったボランティアさんに、いまでも深く感謝しています。

自分も、もしがんになって悩むことがあったら、ただひとつの正解を追い求めずに、マギーズ東京のような場所を訪れたいと思います。

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