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人手不足感は高くてもターニングポイントを迎えている?〜帝国データバンク調査 note776日目

正社員・非正社員の人手不足感について、2024年4月の調査結果が帝国データバンクから公表されました。

結果、人手不足感は正社員で50%超え、非正社員で30%超えと引き続き高いものの、特に高かった業界、情報サービスやホテル・旅館では前年比で低下しており、ターニングポイントを迎えているようです。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240501.pdf


1.調査全体をみるとひと山越えた感がある?

帝国データバンクは毎月雇用の過不足感について調査しており、2024年4月の調査対象は全国2万7,052社、有効回答企業数は1万1,222社(回答率41.5%)とのこと。

全体の人手不足感推移は、このように、コロナ禍があけた2023年から高止まりしています。

ですが、業種別にみると以下の通りで、人手不足感が強い業種ほど、前年比で人手不足割合は低下しています。

非正社員では飲食店や旅館・ホテル、正社員では情報サービスや旅館・ホテルが該当しますが、特に非正社員については10%前後の低下です。

業種別の企業数が明らかにされていないので、その10%が実際に何社くらいかはわかりませんが、大きな変化です。

2.人手不足感が低下した理由を考えてみる

人手不足感が低下しているというなら、その理由はどちらかです。
1.労働者が増えた
2.企業数が減った

1については、厚生労働省から2024/5/8現在公表された毎月勤労統計2024年3月分によると、2020年(令和2年)を100とした場合、正社員等の一般労働者は3%ほど増えていますが、パートタイム労働者は3%ほど減っています。

2020年の労働者数と、人手不足感とを比べても、パートタイム労働者が減っているのに、人手不足感も非正社員が減っている、という感じで、労働者が増えた!という感じはここからはあまり見えないようです。

では、「企業数が減った」はどうでしょうか?

同じく帝国データバンクが毎月公表している「倒産集計一覧」をみてみましょう。

倒産は870件、過去10年で最多となっています。

https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/2403.html

続く分析には、業種別には以下の順番で倒産件数が多いようです。
『サービス業』(前年同月197件→202件、2.5%増)
『小売業』(同164件→193件、17.7%増)
『建設業』(同155件→175件、12.9%増)

また、倒産の原因別としては、「販売不振」が688件(前年同月617件、11.5%増)で最多、全体の79.1%(対前年同月2.0ポイント増)を占めたとのこと。

業種別には、やはり上と同じような業種です。
「小売業」(前年同月140件→169件)
「サービス業」(同144件→154件)
「建設業」(同115件→138件)

業種的にも、人手不足割合がひと山越えた、「サービス業」である、飲食店や旅館・ホテル、情報サービスなどに合致しています。

原料費高騰などによる販売不振等で、あまり体力のない会社が倒産してしまったら、その分の人手も労働市場に流れます。
人手不足感が一段落している理由の一つには、そういった企業の淘汰が始まっていることもありそうです。

人手不足もいつまで続くわけではなく、企業数の減少によるターニングポイントを迎えているのかもしれません。

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