見出し画像

家系の因縁をあらわす小惑星のおはなし②

今回はケンタウロス族の中でも小惑星キロンについて語りたいと思います。

先日、占いに依存する人の心理状態についてとあるコミュニティで意見交換する機会がありました。
その中でとても刺さる意見があり、考え込んでしまいました。

曰く、何かに依存してしまう人は元々、
「自分は他者に理解されにくい」という心の素地があり、
その上で占い師に理解されるという体験が、特に響いてしまうのではないか。

ということでした。

心当たりがあり、納得してしまいました。
誰にも理解して貰えないというのは孤独です。

鑑定をしていても、相談の切り口は十人十色だというのに、蓋を開けてみれば「他者からの無理解に対する苦悩と傷」であることがほとんどなのです。

占って欲しいわけじゃない。 理解して欲しい。
この苦しみと傷の両方を。

占いというのは不思議なもので、その他者から理解されにくい傷にピンポイントに触れてしまうことが多々あります。
触っていいか、痛くはないか、少しずつ確認して、そのタイミングが今ではないならさっと引く。
けれど、もし触れていいのなら、理解してもいいのなら、そっとそっとその傷口をひらいて、教えて欲しいとも思うのです。

今記事のテーマである小惑星キロンは、「傷ついたヒーラー」という象意が一番有名です。
(他に、教師や占星術、精神世界、先進医療という意味もあります)

しかし、今、わたしがもっとも気になるのは「異端者」という象意。

出生図でキロンが目立つ方は、魂に深く刻まれるような大きな傷を負っていると言われています。
そしてそれは他者から理解されにくい傷であり、ゆえにキロンには「異端者」の意味があるのです。

どこに居ても独りぼっちーー

キロンの痛みは、人の理解の外にあります。
そこで、キロンの名前の元になったギリシャ神話のケンタウロス(半人半馬の種族)の一人、ケイローンについて調べてみました。


異端者ケイローン


ケイローンはケンタウロスですが、実はケンタウロス族の出身ではありません。
ケイローンの父は農耕の神クロノス。
母親は下級女神(精霊に近い)のピリュラー。

農耕の神クロノスが妻の目を盗んで浮気するために、妻にバレないよう馬に姿を変えて下級神と交わったことから、半人半馬のケイローンは生まれました。

このクロノスはサトゥルヌス(我が子を喰らうサトゥルヌスの絵で有名なあの神です)であり、土星の化身です。
ゼウスの父でもあります。

ケイローンは上半身が人、下半身が馬なのですが、半分が神で、半分が精霊でもあり、半分が高貴な身分で、半分が卑しい身分という、三重の意味での「異端者」なのです。

更に言えば、ケンタウロス族ですらありません。
このような出自のため、ケイローンは生まれてすぐに、母親から捨てられてしまいました。

神々の中にもケンタウロス族の中にも居場所のなかったケイローンに、
さまざまな技(音楽、医学、占星術、予言、弓術)を教えたのは
太陽(アポロン)と月(アルテミス)の双子神でした。

誰よりも孤独を知り、他者の痛みを知るケイローンは、
一人山の洞穴に住み、誰からも見捨てられた病人たちを助けながら暮らします。
心優しく、賢く、穏やかなケイローンの元には、いつしか多くの英雄たちが教えを乞いに集うようになり、孤独だったケイローンは「英雄たちの養育者」と呼ばれるようになりました。

そんなケイローンですが、前回お話したヘラクレスとケンタウロス族の争いに巻き込まれてしまいます。
ヘラクレスがケンタウロス族共有の酒を勝手に飲んでしまったことで始まった争いです。(前回記事参照

ヘラクレスの反撃に焦ったケンタウロスたちは、ケイローンを頼って逃げてきました。
ケイローンは英雄ヘラクレスの師でもあったからです。

しかしケイローンの背後に隠れるケンタウロスたちにヘラクレスは毒矢を放ちます。
その矢の一本が師であるケイローンの膝に刺さり、ケイローンは地獄の苦しみにのたうちまわりました。
ケイローンは土星神クロノスの息子で不死だったため、苦しみは長く続き、ついにはプロメテウスに不死性を譲って死を選びます。 異母兄弟であったゼウス(木星)は弟の死を嘆き、ケイローンを射手座にして天にあげて弔いました。

小惑星キロンも、軌道が不安定で彗星なのか小惑星なのかはっきりとせず、両方のリストに掲載されています。
星としても異端なのです。
しかし土星(意味は規範、伝統、孤独、試練)と天王星(変人、一歩先を行くので理解されにくいなどの意味がある)の間をつなぐ役割は、
このキロンにしか担えないでしょう。

家系の中で異端であることの痛みと孤独を知る者にしか、理解できない苦しみと、癒せない傷があるのです。


わたしにご縁のある方は、出生図にて小惑星キロンが目立つ方が多いのでキロンに関する補足を少し。


補足

キロンには、 【他者に理解されない傷や苦しみを乗り越えた経験から獲得する叡智】 という意味があります。

わたしの周りのキロンが目立つ方(太陽-キロン、ASC-キロン、MC-キロン)を見ているとそれが実感として非常によくわかります。

これはいつも語っている話なんですが、わたしが一番辛かったとき(家族の死)にわたしを癒してくれたのは、Aimerさんの歌でした。

占星術がわかるようになってからAimerさんの出生図を見たところ、
彼女は太陽-キロンが合のタイミングで生まれています。

Aimerさんは声帯に傷を負っていて、でもその傷を治さずに歌っている方です。 傷を負ったときの苦しみ、その苦しみから立ち上がったときの心情をも歌にしています。

その歌声と優しくも力強い歌詞に、わたしは、わたしだけではなくたくさんの人々が癒されているのです。

まさに叡智。
そして、出生図におけるキロンとのアスペクトの真価として、
「その叡智を獲得するまでの過程が解脱や悟りとなる」とのこと。

わたしとご縁のある、傷ついた癒し手の皆さまを応援したくて補足を書きました。

③へ続きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?