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正直であることを強要される

 30年前、「本当の相手」に出会ってから、私は自分に正直に生きることを「強要」されるようになってしまった。自分に正直に行動しないと辛くて死にそうになってしまうのである。

 それがどんなに怖いことでも、自分だけに関わることならなんとかなるが、他人を巻き込むことになると本当に厄介だった。訴えられて警察のお世話になったこともある。

「相手が嫌だと言うならやめるべきではないですか。
 やめないと職を失いますよ。」
「自分に正直に行動しないと死にそうに辛いのです。
 だからやめられません。」
「???」

 そんなわけで、どんなに脅されても決して屈することができず正直な自分を貫いたのだが、結局私が不利益を被ることはなかった。つまり相手は自分に嘘をついていたということだ。私の本音が彼の本音を刺激したために、嘘が暴かれる恐怖を感じて訴えたのである。

 世の中の人々は自分に嘘を付いているのに平気で日常を生きているように見えて、それが羨ましくはないが、恨めしくはあった。それから年月が経って、世の中の多くの人々も
自分に正直に生きることを「強要」されるようになってきたような気がする。

 すべての人は心の一番深いところで繋がっている。その部分を「神」と呼んでもいいかもしれない。すべての人は「神」の分身なのだ。自分の本当の本音は心の一番奥深く、
つまり「神」の場所からやってくる。だから、すべての人の本音は完全に調和している。本当の本音は誰とも競合しない。本当の本音を貫くことこそがすべての人と調和する唯一の道なのである。

 けれどもこれまでの世の中は嘘で固められた秩序でできていたために、この世で無難に生きていこうとすれば、正直な自分を押し殺して世の中に合わせるしかなかった。だから本音で生きることが正しいとは思えず、自分の本音が何かすらわからなくなってしまったのである。

 しかし今、嘘で固められた秩序が揺らいでいる。嘘はもうこれ以上自らを維持することができない。なぜなら嘘は誰も幸せにしないからである。今こそすべての人が本当の本音を出して自分に正直に生きるべきときである。だから正直であることを強要されるのは困ったことではなく素晴らしいことなのだ。

 一生懸命頑張っても辛くなるばかりだったり、ますます追い詰められるようだったら、それは自分に嘘を付いているサインであり、その辛さは他人や環境のせいではなく、「自己矛盾」によるものである。「本当の本音に気づけ!」という
天からのメッセージなのだ。

 自分の本音に気づいてそれを実行しさえすれば、自分も他人も幸せにできる時代が到来したのである。