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浜田省吾さんのファンの皆さまへ

私は複数の共通の知人を通してしか浜田省吾さんがどんな方なのかを存じ上げておりません。お会いしたこともありませんし、お会いしたいと思ってもいません。ただ私は浜田省吾さんの音楽を聴くようになり40年近くになります。その間、何度か聴かなかった時期もありますが、浜田さんの音楽に沢山の励ましや癒しをいただいてきました。私は浜田省吾さんの音楽のファンです。Twitterを始めて12年がたち、そこで多くの浜田さんの音楽のファンの方たちと繋がることが出来、それは私の人生を豊かなものにしてくれたひとつです。ただ一方で、彼のファンを自称される方々と意見の食い違いから罵詈雑言もいただきました。私はそもそものリテラシーが低い方や、特に人権意識のリテラシーの低い方が苦手、というか好みません。アメリカでの留学生活やまだアパルトヘイトの残る南アフリカへの旅、その他多くの国で経験したこと、さらにはフランスで仕事をした経験から、人権について深く考えさせられ、学んできました。日本では人権について深く学ぶ教育がなされていませんし、人権に関してリテラシーの低い方が多いのは仕方がないのかもしれません。ただ私にとっては人権というファクター、あるいは表現や言動の自由というものが何よりも重視される価値観のもとに私という人間は存在しています。人権についてリテラシーが低い方がどんな方かは私が説明するまでもありませんが、例えば飲食店で自分はお客様だと言わんばかりに従業員の方に偉そうな態度を取られる方、ネットにおいては突然上からものを言うように言葉の刃を向ける方。残念ながら日本はこうした方が特に多い国だと他国に行くたびに痛感させられます。話は戻りますが、私は浜田省吾さんの音楽のファンです。彼の人となりは聞き及んでいる程度しか存じ上げませんし、それ以上を知りたいとも思いません。ただ彼のアーティストとしての尊厳に対しては最大限の敬意を持っています。いま浜田省吾さんは70代に入られて初めてのアリーナツアーで全国を回られています。Twitter上では彼のファンの皆さまがLiveに向かわれる高揚感やドキドキを呟かれていて、私も一緒になってその楽しい感覚を共有させていただいています。一方で、目にしたくない内容もちらほら目に入ってきてしまいます。例えば、彼のLiveに行くことを「参戦」と表現されることについての異議。浜田さんが、ステージ上で音楽は戦争とは最も遠いところにあるものなので参戦という言葉は使ってほしくないという旨の発言は既に私も存じ上げています。戦争が始まって、まず一番初めに奪われるのは音楽です。彼の仰りたいことはよく理解できますし、私自身「参戦」という言葉を使ったことはありません。しかし、この国では表現の自由は保障されています。他者に危害を加えることでなければどのような表現も自由です。つまり参戦という言葉を使うことは保証されていますし、万が一彼がそれを禁止したとしたらそれには抗わなければなりません。何故なら表現の自由が私たちにはあるからです。勿論彼はそんなことをされないことは承知しておりますが。ただ彼の発言を受けて、Twitter上で言葉狩りをされているところを頻繁に目にするようになりました。それに対しては私は表現の自由を盾に猛烈に異議を唱えたいと思います。そして人権に絡めてもうひとつ。今回のツアーで一部のファンの方々が横断幕リレーなるものを始められました。とても良い企画だと思いますし、かつて浜田さんのOn The Road2001で行われていたギターリレーを思い出し、懐かしい気持ちになりました。私も来月の有明アリーナでのLiveにうかがう予定なので、そこで見かけて可能であれば感謝の言葉を記したいと思っています。ただ、大阪でのLiveの際に横断幕リレーをされている方々が長時間にわたってツアトラの前に陣取り、他の多くのファンの方々がツアトラの写真を撮ることの支障になったという話を聞きました。大勢でいると途端に傍若無人の振る舞いをするようになるのは古今東西変わりがないのかもしれません。赤信号もみんなで渡れば怖くない。多くの方々が不快に思われ視線を向けられていたことを横断幕リレーでツアトラ前で集合写真を撮られている方が認識しているにもかかわらず、その迷惑行為は行われました。それが人権と関係があるかというと、私は関係があると断言します。これは我が家の7歳の娘にもよく話すことです。「ちょっと待っては、ちょっと誰かの大切な人生の時間を泥棒していること」だからです。だから私はちょっと待ってという言葉が嫌いです。勿論時と場合によります。朝、急いで出社している時に目の前に歩みの遅いお年寄りがいたり、盲目の方が白い杖をついていらっしゃったら待ちますし、私の場合は躊躇なくその方の腕をとってゆっくり歩きます。しかしツアトラの写真を撮ろうとマナーを守って列に並んでいる方々を5分、10分待たせることは明らかに迷惑行為ですし、多くの方の大切な人生の時間を泥棒している行為でしかありません。そんな方々も「君が人生の時」を歌われるのだとしたら大いなる皮肉です。ツアトラの写真を撮られて25年という方とお話しできました。彼曰く「ファンはアーティストさんの鏡」だと。とても鋭い言葉です。彼から聞いた話だと、浜田さんの大阪のLiveではツアトラ前での無秩序が見かけられたようです。一方、矢沢さんのファンはLive前日に皆さんツアトラ前で記念撮影されたそうです。コブクロさんやミスチルさんの若いファンの皆さんはとてもマナーが良いそうです。しかしBzさんのファンの方々はツアトラ前で長居したり、中にはよじ登る方もいて、柵が出来たりツアトラが写真を撮りずらいところに移されたりしたそうです。さて、浜田さんの鏡であるファンの皆さんは、いったいどうでしょうか。今一度、ご自身の胸に手を当てて考えるきっかけになれたら幸いです。勿論私ももう一度考えたいと思います。

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