見出し画像

ファッションが食に“寄せて”きてる

平成最後から令和にかけては、刻一刻と

「おしゃれな人」の基準が変わっていく時代

になるんじゃないかと考えてます。

今でこそ私は、食をベースにしたライフスタイルの世界で生きていますが、
かつて在籍していたマダム雑誌の編集部では
ファッションのページを作っていました。
食や旅に関わりたいのになんでファッション(怒)、と、
命じられたらやらなきゃならないサラリーマン編集者の宿命に悶々とすることもありましたが
今思えばあの時代に見た景色が今、ものすごく役に立っている。
……というのも、この10年ほどで、
前述したようにおしゃれの基準が方向変換し、
たった数年でもファッションに関わった経験が
食の仕事に活きるシーンを、やたら目の当たりにするようになったからです。

当時感じていたある種の違和感。
それは、ページの中で表現する「おしゃれな人のイメージ」が
どう考えても現実とは逸脱してる
というものでした。

クライアントの意向を受けて、
モデルに着用していただく服は今季のルック。
それはまぁ、当然です。
しかし、
全身今季のルックでキメ!
全身同ブランドのアイテムでキメ!

というのも暗黙のルールでした。

そんな人、実際にいたらおしゃれでしょうか?

いやむしろ、その頑張ってる感は一般人が真似すると逆にイタいのでは……。
赤文字系のファッション誌ではすでに
実力あるスタイリストが、がんがんミックスコーデを提案していたので
なおさらハイブランドのページを作る時のこのルールが不思議でした。

今思えば私の考えは幼稚で、
複雑な大人事情や売り上げを出さなくてはならない出版社事情とブランド事情、
さまざまな「事情」のほうが
現実のおしゃれよりも重要だったのかもねと腑に落ちます。やはりビジネスですもん。

食はどうでしょうか?
ファッションと同様、
おしゃれの意識変革は始まっています。
全身高額な同ブランドで固める、というのは
「私、たっかいワインしか飲みません。ビール? なんですかそれ」と言ってるようなもの。
でも、おしゃれな人は恥ずかしくてそんな飲み方はできません。
シャンパンを飲む日もあれば、とびきり美味しいレモンサワーを自分で作ったりもする。
ガストロノミーを堪能する一方で
安くて美味しい街の中華をよく知っている。
……そんなバランス感覚を持つ人は、
ブランドだろうがノンブランドだろうが、ユニクロやDIYなんかも織り交ぜつつ、
自らのスタイルを楽しめる気がします。
赤ワインのグラスをひっきりなしにクルクル回すおじさん、
最後に見たのはいつだったでしょう。

面白いことがもうひとつあって、
当時お世話になったファッションブランドのプレスの方々が今、
続々とライフスタイルの世界に転進されているんですよ。
レストラン、フード、インテリア、旅、ホテルといった業界の発表会で、
「あれま、お久しぶり!!」
と挨拶を交わすことが本当に増えました。

これはおそらく、ライフスタイルの世界でも今

ブランディングという思想が欠かせなくなったから

ではないかと推察してます。
ファッションの世界でしのぎを削って生き抜いてきた彼らの力は、
今後、ライフスタイルはもちろん、
個人的にはローカルや農業の世界で生かされたらいいのになぁと、本気で思います。

そしてテックも必要不可欠なファクター!
令和のおしゃれさんは、雰囲気のいい服を着て健康的で好奇心満載の食生活を送り、
デジタルガジェットをちゃちゃちゃと使いこなしてる。
そんなふうに想像しています。

#フード #ファッション #令和 #デジタルガジェット

フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。