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料理の腕を決めるのは、技術かセンスか、想像力か〜スキすぎてごめんなさい vol.1〜

料理研究家のSHIORIさん、代々木上原「sio」のオーナーシェフ、鳥羽周作さん、その「sio」で料理人兼仕掛け人兼編集者として活動するオリタタクヤさん、そして私の4人で、春先より新たな試みを始めました。

#スキすぎてごめんなさい

という名のプロジェクト。何が“スキすぎ”かというと、食への愛です。いや、執着といって良いかもしない。
私など、一介のサラリーマン編集者を経て、現在はディレクター。決して料理のプロでもなんでもありません。
(朝のトーストにまつわる本を上梓しましたが、パンを焼いたこともなく)
しかし、それでも、食が好き。
私以外のメンバーは、みなさん食のプロフェッショナルです。そんな彼らの中に入って、ファシリテーターという立場を務めていいもんかどうか、よくわからないのですが、

やらぬ後悔よりやる後悔

というポリシーで、まずはclubhouseからスタートし、今後は情勢に従い
リアルイベントやワークショップなど、さまざまな形でやっていこうとメンバー同士でも話しています。

さて、今回は晴れて「volume.1」。初回のテーマとして事前にミーティングをしたのですが、

カルボナーラと料理愛について語るぞ!

という、鳥羽シェフとSHIORIさんからのお達しが。なんですか、それ?

聞けば、先日SHIORIさんが自ら主宰するオンラインレッスンでカルボナーラを作ったのがきっかけだとか。

そこに愛があったんすよ、本物の愛が。マジで最高すぎす。ヤバいす
(鳥羽シェフの話はおおむねこんな感じで、clubhouseでもテレビでも内輪でのミーティングでも変わりません。本当に熱い人です)

SHIORIさんがレッスンで教えたのは、ごくシンプルながらよーく考えられたレシピで、「時間が経っても美味しさが変わらないカルボナーラ」だったのだとか。

美味しさには寿命があって、作り立てのアツアツをあっという間に平らげてしまわないといけない。そして、カルボナーラというのは、あらゆる料理の中でもその美味しさは短命で、だからこそ余計に、作りたての美味しさは格別で貴重なものだ。

プロの料理人である鳥羽さんや、家で料理を作るのは自分や家人のためだけである私にとっては、上記こそ、カルボナーラに対する認識でした。逆に、作り立てを食べて欲しいと思う気持ちこそ愛。そうも思っていた。
しかし、SHIORIさんの視点は違っていました。

忙しい女性や子供がいるママにとって、出来立てのカルボナーラをその瞬間に食べられるかって、実はすごく難しいんですよ。

なるほど、確かに。その結果、SHIORIさんは

時間が経っても美味しいカルボナーラこそ求められている

という気づきを得ます。
(このレシピは、SHIORIさんがご自身のインスタグラムで展開しているオンラインレッスン会員になるとGETできます)
我々メンバーは、このメニューにはさらに深い料理の真理があると考えました。それは

料理に最も必要なのは、愛と想像力

ということ。逆に、これさえあれば独りよがりな料理考は姿を消し、料理がつらいという人を救い、食卓がつまらないという人に希望を与えるのではないかと思っています。

clubhouseの最後では、リスナーの方からの質疑応答時間も設けているのですが、何人か、SHIORIさんのオンライン教室の生徒さんがご登場になり、口々に
料理がつらくなくなり、逆に楽しいと思えるようになりました
教えてもらったレシピを何度も何度も家で作っています

とおっしゃるのが印象的でした。
「リピートされる」というのは、レストランでもそうですが、レシピの場合でも愛され力の証だと思います。

確かにねぇ……。この話を聞いて思い出すのは、予約が取れないレストランのシェフたちの顔です。鳥羽さんももちろん、そう。
私はここで、全世界の料理人が忙しい主婦向けメニューを考慮せよと言いたいのではありません。そうなったら、逆に料理の多様性は無くなります。
が、愛される理由とは、本当に相手の側に立っているかどうかで決まる。
その通りだと思うんです。

最初は鳴り物入りのオープンだったり、話題の料理家だったりで、注目されるでしょう。
けれど、その後もずっと、利用者の立場を常に想像できているかどうか。これがあって、はじめて、10年続く店だったりベストセラー1冊で終わらない料理家だったり、そういう存在になれるのではないでしょうか。

コロナ禍も1年以上が経過し、気がつけばいくつもの名店が姿を消しました。が、その一方で、いまだに人気店は予約を取るのも大変な状況が続いています。夜のコースが1回転のみになったため、前よりも予約困難という店もあります。
そういった店がどんなことをしているかといえば、前にも増して、リピーターの客を大事にしているような気がします。

私はこれを「ブランディング」だと思う

常に相手のことを想像し、
自分がやりたいからやる(もちろんこれも大事だけれど)という道を突っ走っているようで、実は求められる「らしさ」を裏切らないこと。
いろいろと時代に合わせて変化しているようでいて、筋道いっぽん通っていること。
人気店や料理研究家の意外な愛され理由、それが想像力なんだと、
「#スキすぎてごめんなさい vol.1」で得た大きな収穫でした。

メンバー全員が同じテーマについてノートを書くというのも、毎回の「宿題」です。ぜひご覧ください。
>SHIORIさん わたしのレシピの作り方
>鳥羽周作シェフ 信用と信頼について金八が振り返る
>オリタタクヤくん 過去と未来、信用と信頼

さて、「#スキすぎてごめんなさい」、次回のclubhouse配信は4月21日(水曜)20時30分からです。
>>>>ルームはここです!!
暑っ苦しいルームですが、遊びにいらしてくださいね。

#スキすぎてごめんなさい #料理 #食の仕事 #COMEMO

フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。