BtoCからBtoBに戦略転換した話

※前回までの話(創業第一話)はこちら
https://note.com/mayumi_sawada/n/na6ae356daa38

BtoH(医療機関)での浸透の難しさ

医療機関に対して利用を浸透させていく中では苦労の連続でした。

医療機関Aさん(電話に対応くださるだけでも感謝していたのですが):「医療通訳?なに、それ?」
私「外国人患者さんが来院された時に・・・」
Aさん「あーうち外国人は10年くらい前に一回来たことあるだけだから」

こんな感じで、まだまだ外国人患者受入れの大変さを実感している医療機関は少なかったんですね。課題を感じられているところにはすごく深く刺さるけれど、経験したことないところからすると、へ?という感じで、突然やってくる、万が一に備えた保険としての導入をイメージしてもらうことは簡単ではありませんでした。

BtoCの事業モデルに取り組み始めた

医療現場にプロダクトが浸透しないと話にならないので医療機関への地道な浸透は続けるつもりでしたが、それだけでは広まらないんじゃないか。試行錯誤を始めた結果、医療従事者側だけでなく、外国人患者さん側にも知ってもらえば使ってもらう機会が増えるのではないか。

訪日外国人が旅行中に病気になった時、ウェブから検索し、メディフォンのアプリをインストールして、使ってもらえるかもしれない。こんな自分たちに都合の良いことを考えたわけです。すぐにアプリ開発に着手!ToCとなるとUI/UXにもこだわらないと!と意気込み過ぎて、けっこうしっかり作り込み。

インストール数を増やすために、リスティングも無料Wifiとの連携出稿も色々とやりました。成田空港/羽田空港に降り立った外国人にPRだ!と、万が一旅行中に病気になったら相談できる場所として医療相談窓口を作って大量のチラシを配布。時は2015年、何十万枚とチラシを空港で配布しました。さて、問い合わせは何件きたでしょう?


正解は


0件ー!!!!!!!!!


そんなにうまくいくものとは思っていませんでしたが、ショックは隠せませんでした(-_-;)

BtoBに振り切ると決める

患者さんのために、ユーザーの役に立ちたい、困った時に寄り添いたい、こういう想いでやってると、早くエンドユーザーにリーチしたくて仕方ないんですよね。エンドユーザーに触りたくて仕方ない。早く早くと。

でも、こんな散々な結果を見て、このやり方では上手くいかない、と。お金も時間も想いも突っ込んだ後、本当に認めたくなかったけど、この施策は失敗なんだと。この事実を自分の中で受け入れ、そしてチームとして受け入れるのにはエネルギーを使いました。もちろんすぐにはBtoCで攻める方針を諦めたくない仲間もいたので日々議論してぶつかり合いました。戦略の方針が合意できず、どうやって前に進められるか24時間頭の中を支配され、一緒にやりたい仲間とすれ違い続けたことは精神的に非常に辛かったです。

どんな領域でもチームのために意思決定をするのは、最初とても勇気がいります。事業を立ち上げ、この戦略転換が自分にとってのはじめての経営的な意思決定であり、この時の失敗や仲間とのぶつかり合いがあったからこそ、BtoBの事業モデルで絶対立ち上げるんだ、という覚悟もできました。本気で自分とぶつかり合ってくれた仲間には本当に感謝しています。

正しい意思決定ができたのはメンターの存在が大きかったです。メンターがいなかったら正しい意思決定までの時間をかなりロスした可能性があると思っています。この経験から、今でもはじめて事業や組織を立ち上げる人はメンターを持つ、というのは正しい意思決定のためにとても重要だと私は考えています。

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