シナリオ『失言園(シツゲンエン) Langue Lost』

〈作品のキャッチコピー〉「わかりあうことに意味があるなら、失われた言葉は、いつか取り戻せる。」


〈キャラクター〉
〇アント(Ant)―〈学校〉の元教師。大柄な男。アバターは猫。数十年前の生徒惨殺事件に衝撃を受け、トラウマを抱えている。誰にでも親切だが、特に子どもには優しい。
〇バーバ(Baba)―〈学校〉の守衛アンドロイド。コミュニケーション・ツールであり、戦闘にも使えるインターフェイス「ハエジゴク」を装備。閉鎖された〈学校〉を、人間のプログラムに従って、今も警備、保守・管理し続けている。
〇クロハ(Chroha)―盗人の少女。アバターは、自分と瓜二つの人形。作品世界には、人間が言語を使用していた時代を「LG(Langue Gained ラング・ゲインド)」、人間が言語を使用しなくなった時代を「LL(Langue Lost ラング・ロスト)」と略称する者もいる。クロハは「LL世代」であり、他者とのコミュニケーションに不毛感を抱いている。しかし、他のLL世代の子どもに比べて、好奇心が旺盛なほうである。


〈あらすじ〉
 近未来、人間が言語を使用しなくなった世界。人間は「化身(アバター)」と呼ばれるロボットを所有し、それが人間の代わりにコミュニケーションを行っている。人間の思考をコード化(言語化)し、対象のアバターに信号として送信。受信した方のアバターが解読し、所有者(主人)の脳に伝える。アバターは一種の言語機械であり、また、所有者の生命を守る護衛(ガーディアン)でもある。

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