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伊坂幸太郎「死神の精度」読後感


伊坂幸太郎さんの作品は、読んだだけで崇高な文化人にでもなれた気がする。
淡々とした無機質な文章と、心温まるストーリーのコントラストのお陰で、メッセージ性の強い作品特有の仰々しさが省かれて、どこにでもある日常なのだと思わせてくれる。

作品の主題のようなものは分からない。
でも、最終話の老婆の周りに不慮の事故で亡くなってる人が多い(=死神に"可"とされた人)のは、あまりにも偏りがあるのではないか、そもそも死神に選ばれてしまう人間の特徴って共通点があるのか?という千葉の疑問に対して同僚が「でも偏ってるって言っても、誤差みたいなもんじゃない」と答えた。
これは、世の中に起こる図られたような出来事も、人はあれこれと理由をつけたがるが、だいたいは意図せず発生した誤差である。あるいは多少意図されていたとしても、まあそういうのはほとんど誤差みたいなものなのかなと。

『微妙な嘘は、ほとんど誤りに近い』

そしてこんな風に、「作品のテーマってなんだったんだろう。。?」と考えること自体が無意味にも思えた。意図したテーマ、意図せず生まれたテーマ、それすら誤差みたいなものかなと。

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