泣く大人

32歳 Tokyo / 猫、本(ミステリー、SF)、海外、観葉植物、映画、アニメ、BL…

泣く大人

32歳 Tokyo / 猫、本(ミステリー、SF)、海外、観葉植物、映画、アニメ、BLACKPINK

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映画感想文「すばらしき世界」

刑務所から出所した反社系の人の社会復帰についてのお話。自分を認めてくれる場所が結局は組しかないという現実から、カタギに戻ることへの葛藤が描かれている。 ジャーナリストが放ったこの一言。 「どうして自分がそんなふうになったと思います?それってやっぱり生い立ちに関係があるんでしょうか?怒りや暴力を抑えられない人の多くは、子どもの頃に酷い虐待を受けて脳が傷付いているそうですね。でも子どもは、どんな酷い目に遭っても、たった一人の母親を慕うことはやめられない」 私はこの数年たくさん

    • 映画感想文「市子」

      一つ嘘をつくと、どんな小さな嘘でも、その後嘘に嘘を塗り重ねて生きないといけなくなる。 「離婚後300日に産まれた子ども」の規定、昔知り合いの夫婦にも同じことが起こってた。 男性側は前妻と離婚調停を挟んでいたから、実質もう関係は終わって実際に離婚が成立するまでのその間に新しいパートナーが妊娠。今度は「いつまでに籍を入れないと、父親と認められない」とかっていうタイミングにも気を遣ってた。 にしても本作に出てくる大人がひどい。取り巻く大人、全員クズ。 分かる。本人たちの気持ちは

      • アニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」

        2006年の作品。 戦後、ブリタニアという架空の国家の植民地下に置かれた日本人(11番目の植民地ということでイレブンと呼ばれる)や解放を願う解放戦線、ブリタニア総督府や王族の血縁関係者が、自国や民族のプライドを戦い合わせる話。 登場人物全員が、強い意志を持って生きている、行動を起こす、そんな戦後を感じる展開。 以下、登場人物たちの名言。 ドラマや現実世界では小っ恥ずかしくて言えないような数々のセリフが、アニメだとすんなりと受け入れられるのは不思議。 ルルーシュ「撃っていい

        • 映画感想文「ピノキオ」

          機会があり、先週ディズニーランドへ出掛けた。 10年ぶりでなおかつ日頃ディズニー映画を見ないので、パレードに出てくるキャラクターの大半を知らないという事態。 知らないが故に楽しめないって勿体無いなと思い、早速Disney+に入会して、美女と野獣、ラプンツェルなどのいくつかの新作(?)映画を見つつ、小さい頃にビデオが擦り切れるほど何度も見た「ピノキオ」をふと見つけた。 ピノキオで覚えているのは、おじいさんがくじらに飲み込まれるシーン(?)が毎回恐ろしかったなくらいのもので、幼

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        映画感想文「すばらしき世界」

          ドラマ「サンクチュアリ -聖域-」備忘録

          Netflix制作ドラマ。 相撲をテーマにしたドラマと聞いて、文化への興味で鑑賞。 こういう企画って誰が持ち込むのかな? 日本ユーザーにもだが、海外ユーザーウケがかなり良いのでは?と思った作品でした。 最近、外国人の同僚からは、「Old enough!(初めてのおつかい)」や、「ストリートグルメを求めて(居酒屋とよの紹介)」、「クイアアイ」など、Netflixで"Japan"を観た感想や質問が話題にあがることが多い。 今回のサンクチュアリでテーマとなっているのは相撲。

          ドラマ「サンクチュアリ -聖域-」備忘録

          F「20代で得た知見」の振り返り

          とあるきっかけで、「20代で得た知見」を読み返している。 著者のことは、店頭で「いつか別れる。でもそれは今日ではない」という本を手に取ってから、その文体に熱く惹かれて以来のファンである。 RADWIMPSの歌詞のような、伊坂幸太郎先生の小説のような、粗品のツッコミのような、昔から私の大好物であるwitに富んだ言葉を紡ぐタイプの人である。 これは、私が28歳の頃にAmazonに書いた本作のレビュー。 「著者の三作目。 書名の通り、著者の人生経験で得られた教訓が、具体的エピソ

          F「20代で得た知見」の振り返り

          ドラマ「ブラッシュアップライフ」備忘録

          本ドラマのテーマにもなっている「来世を、今世をよりよいものにするために徳を積む」という考え方。 一人暮らしが長くなると「誰も見てないしなぁ」と、自分勝手に生きる時間も長くなる。 食器を片付けなくたって誰も見ていない。ゴミの分別をしなくたって誰も見ていない。靴が揃っていなくても誰も見ていない。いつもそんな気持ちでいる。そんな私の来世はグァテマラ南東部のアリクイどころか、雑草にもなれない気がするなぁ…なんて思いながら観た。 また、これはドラマの本題ではないが、1991年生まれの

          ドラマ「ブラッシュアップライフ」備忘録

          ドラマ「Woman」備忘録

          全11話、坂本裕二脚本。 この人の作品を見ると、あぁドラマって本当に脚本大事なんだなと思わせられる。 私の中では小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」、「母性」と並ぶ、母と娘(子)との関係性を深く描写した作品。 10年前、20代前半だった当時も観ていたはずだけど、大人になって視聴するとストーリーそのものよりも、人の感情に想いを馳せられるようになったかな。 台本そのまま売れるのでは?と思うほど、いい台詞が多過ぎる。多くの人が言語化できないことを、言葉やシーンや人と人との関係性で表現

          ドラマ「Woman」備忘録

          映画感想文「ハケンアニメ」

          「人生には、大事なものを失っても、何かを成し遂げないといけないときがあると思うんです。最後の最後に奇跡が起きて失った音が戻ってくる、そんな都合のいいことありません。失ったから手に入るものだってあります。 この物語の十和子たちにはもう、誰かの都合で描かれたハッピーエンドはいらない。失った先にもきっと、ハッピーエンドはあると思うから。」 辻村深月作品の実写版。 小説全体を網羅しようとせずに、フォーカスすべきところを決めて細かい設定はカットして構成したこの脚本、とてもよかった。大

          映画感想文「ハケンアニメ」

          伊坂幸太郎「チルドレン」読後感

          「子供のことを英語でチャイルドと言うけれど、複数になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ」とよく言った。そういう性質なのだ、と。 まるで実在する話のように読めてしまう。 辻村作品の登場人物には、あくまでも"登場人物"としてえらく肩入れをしてしまうが、伊坂作品の登場人物はどことなく"居酒屋のその辺にいる人"、"知り合い"ぐらいの近さを感じる。小説というより、エッセイを読んでいるような楽しみ。 そしてその人たちは、そのシーンにはちぐはぐそうに見えるワードで

          伊坂幸太郎「チルドレン」読後感

          アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」

          辻村深月先生の「ハケンアニメ」を読んで、"魔法少女モノ"というアニメのジャンルを検索したところ、ダントツの支持率でまどマギがヒット。(魔法少女モノって、私は幼少期のおジャ魔女ドレミのイメージしかなかった) 確か大学生の頃流行ってたなあ…と思いつつ鑑賞。 結論、タイプすぎて驚いた。 キャラクターは皆、性格も画も、ゆるキャラかな!?と思うくらいのフワフワした造り。 それとド対照的な、ガチストーリー。エヴァか!?シュタインズゲートか!?ハルヒか!?!?となるレベルの理系ヲタ向け

          アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」

          ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」読後感

          読み進めることが苦しくなる物語。 知的障害をもつ32歳の男性が、脳外科手術によって知能を向上させる被験者に選ばれる。 人の悪意を知らず、他人のどんな言動をも善意だと捉えて生きてきた主人公。 知能が向上するにつれ昔の記憶が蘇り(人は無意識のうちに物事を覚えているという説を聞いたことがある)、周りの人たちの言動は自分を馬鹿にしていたものだったのだとか、邪魔者扱いされていたことに気付く。 お利口になれば友達が増えると信じていたチャーリーにとって、利口になればなるほど人の気持ち

          ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」読後感

          映画感想文「ゴジラ-1.0」

          全米での興行が好調との記事を見て鑑賞。 どちらかと言うと、戦争映画。 シン・ゴジラの時もそうだがゴジラがメタファーとして使われていて、原爆(=核を持つゴジラ)の落とされた人々が家族や住まいや街を奪われる悲しみの描写、それに対して「命を犠牲にせず(=全員が生きて帰ることをミッションに掲げた海神作戦)」解決する方法はなかったのかと問うようなストーリー。 印象的だったシーンを順に。 1.「日本はこれまで命を無駄にし過ぎた」的な話。 戦死者の多くが補給不足による餓死や病死により亡

          映画感想文「ゴジラ-1.0」

          筒井康隆「旅のラゴス」読後感

          登場人物や時代の設定があまりよく分からず、なかなか読み進められなかった作品。10日間くらいかかった。 政治や内戦、経済、法理論の整備、医学・科学の進歩など、これまでに世界が経験してきたであろう物事をストーリー化し、具体どのように詳らかにしてきたか的なことのように受け取った。 抽象度が高すぎて、半ば星新一さんのショートショートのような印象を受けるシーンも多かったが、まあ冒頭にも書いたように、今回一通り読んでみてやっと設定が理解できたなというところ。 いつの時代に書かれたもの

          筒井康隆「旅のラゴス」読後感

          映画感想文「E.T.」

          これが地球外生命体と人間の友情を描いた初めての作品なのかな? スピルバーグ作品をきちんと観たことないなあと思い立ち鑑賞。 "ET phone home"ってE.T.が言い出したのをきっかけに、エリオットがハロウィンの夜に森へ連れて行き、交信するE.T.に「僕と一緒に大きくなろう?」って涙を流すシーン、その後死にかけのエリオットとE.T.がNASAの看護の元「Stay with me」って言い合うシーン、子どもたちがBMXで必死になって警察を撒いてE.T.を森まで送り届けるシ

          映画感想文「E.T.」

          辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」読後感

          「息子と娘を育てていて、息子が泣きじゃくっていてもカワイイで済むのに、娘が泣いていると何となく腹が立つ。」 これは最近、子育て中の友人から聞いた言葉。 それくらい、「母親と娘」という関係性には、家族とは少し異なる感情が、どこの家にもあるのではないかと思う。 湊かなえ「母性」でも同じようなことを思った。 本作の、特にみずほと母の関係にも同じようなものを見たように思う。 そして私自身にも。 みずほの「ピアノの部屋」程ではないが、幼少期、母から特殊な嫌がらせ?八つ当たりを受けて

          辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」読後感