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日本人の心を解明するキーワードはこれだった。井沢元彦『逆説の日本史』②

■大国主命=最大の怨霊
日本の三大怨霊と言えば、「菅原道真」「崇徳天皇」「平将門」だが、それよりはるか前、最大の怨霊がいると井沢氏はいう。
それは大国主命(オオクニヌシノミコト)。
かつての日本の統治者であり、天皇家(大和朝廷)にどのような形かわからないが権力を奪われた歴史の敗者だ。
敗者なら敗者らしく、歴史から抹殺されるのかと思いきや、数千年の時間を彼は日本で一番大きい社(やしろ)を持つ出雲大社に祀られ、その神威は現代にまでいたっている。
出雲大社は日本で一番大きい神社というだけなく、かつては日本で一番大きな建物だった。東大寺より大きかった。
なぜ、大和朝廷は敗者にここまでしたのか?
それは「国譲り」という条件交渉の結果だけではない。それでは維持するだけでも大変なこの巨躯を千年以上祀り続けている意味が解らない。
怨霊だとするとどうだ。
大国主命は「国譲り」と称して自分の国を簒奪され、駆逐された。大きな恨みがあってしかるべきだ。大和朝廷はまさにそのように考えたであろう。そして、この元支配者が巨大な災いをもたらす怨霊にならないよう、空前の最大級の神社を作ってそこに祀った。と考えるのが妥当だろう。
最大の怨霊には最大の神社でないと封印できないのだ。
そう封印なのである。この出雲大社には独自の特徴があり、それがまた、大国主命の囚われの身である感を証明している。
・大国主命は拝殿に来る参拝者の方を向いていない。左を向いている。
・拝殿からみる正面は壁となっていて、時計回りに回り込むと大国主命の正面となる。
・回り込む途中、拝殿から見た突き当りには天津神の初期の特別な神様が5人いる。その神様に到達したら、右を見ると大国主命がいるのだ。

特別な神様は天之常立神・宇麻志阿斯訶備比古遅神・神産巣日神・高御産巣日神・天之御中主神。別天神(ことあまつかみ)と呼ばれる最初期の最も畏怖される神様たち。監視役にみえなくもない。
「稲佐の浜を向いているのだ」という説もあるがどうであろう。

◆日本人の心を解明するキーワードはこれだった。
井沢元彦『逆説の日本史』① https://note.com/mazetaro/n/ndeeea1229292

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