文系大学院教授

私立大学ビジネススクール教授・公認会計士・英国エジンバラ大学名誉教授・英国ケント大学名…

文系大学院教授

私立大学ビジネススクール教授・公認会計士・英国エジンバラ大学名誉教授・英国ケント大学名誉教授・博士(商学) 30代まではドメスティックな会計学研究者。40代に入って専門を公共ガバナンスに変更。研究対象とアプローチも100%海外にシフト。院生には英語を求めるけれど自分は英語は下手😅

最近の記事

文系博士課程後期課程2:指導教授を探す

 博士課程後期課程のへの進学目的が何であるにしても、少なくとも三年間は研究に集中することになるわけですから、指導教授が進学希望者の研究内容について理解をして効果的な指導を行うことができること。このことは指導教授を探す場合に、必須の要件です。病気になった時に、名医を探したいという気持ちを患者はきっと持つはずですが、これと同じような気持ちで名指導教授を探すことが大切です。このことは、博士学位の取得だけでなく、将来研究者としての就職や転職を目指す場合には、さらに重要になります。指導

    • 文系博士課程後期課程1:進学するのは誰

       学部を卒業したら博士課程前期課程に進学し、修士の学位を取得したら、今度は博士課程後期課程に進学する。後期課程の標準修業年限を修了したときには27歳。こうしたある意味典型的な大学院人生がある一方で、学部を卒業後は企業や役所に就職し、15年程度の実務経験を積んで、管理職あるいはその一歩手前で社会人大学院に進学し、後期課程まで終えて40半ばという人生もあります。  博士課程後期課程の進学目標が研究者になることである場合、それが特に社会科学系である場合には、私自身は迷わずに後者の道

      • ビジネススクールの学び4:成長から分配

         ケイト・ラワース先生の『ドーナッツ経済』は、経済学という学問が、成長を支える学問体系から、分配や社会的公正・地球環境保全を企図する学問体系への転換を求めている、と理解しています。経済的な不平等を解決(たとえば貧困)するためには、分配のパイを増やすという意味で、まず成長が必要であるという考え方は、これまで公共政策の領域でも、比較的支持された考え方であったと愚考します。  他方で、なかなか、私たちの給料が上がらない中で、企業業績が悪いにもかかわらず多額の株式配当を継続するファミ

        • ビジネススクールの学び3:医療経営

           私が勤務するビジネススクールには医療経営のプログラムがあります。医療のマネジメントに関係するプログラムを有する大学院は少なくありませんが、ビジネススクールの一つのプログラムとして医療経営を設けている大学院は少数です。  少子高齢化の時代を迎えて、医療や介護や介護予防に関するマネジメントとガバナンスは、多くの関係者の関心を集めています。私のゼミにもこれまで医師、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、臨床レントゲン技師、管理栄養士、それに、病院等の医事職の方が、在籍されていました

        文系博士課程後期課程2:指導教授を探す

          文系大学教授になる7:指導教授

           社会人が博士の学位を取得するケースが非常に増えてきました。そのまま、実務家として企業や官庁その他で活躍されるだけでなく、博士学位取得をきっかけに、大学教員としての転職を目指す方も増えてきています。人材の流動性が芳しくない日本では、学位を取得して、転職することを前向きに評価しない風潮があることは残念ですが、それでもこの流れは変えられないと思いますし、日本社会を良くするためには、この流れを強化すべきであると考えます。  リクルートや最近ではビズリーチなど、転職を支援するサイトの

          文系大学教授になる7:指導教授

          文系大学教授になる6:業績

           博士学位を取得するだけでは、大学の常勤ポストを得ることは相当に困難です。18歳人口は激減して、地方の私立大学のなかには収容定員を大幅に割り込む大学も少なくありません。大学経営の状況が悪化すれば、常勤教員の採用が減ることは当然のことと言えます。しかし、このような状況でも、一定の条件を満たせば、大学教員として採用される可能性は残されています。たとえば、専任講師としての任用をイメージして、その条件を簡単に列挙すれば、①博士学位または博士課程後期課程満期退学、②研究論文(単著もしく

          文系大学教授になる6:業績

          文系大学教授になる5:英語

           学部生の頃は、大学教授はみんな英語ペラペラと思い込んでいて、そんなこと自分には絶対に無理と思って、進路をまずは食べていくためにという発想で公認会計士に舵を取りました。大学院の5年間を修了(単位取得満期退学)した頃、オーバードクター(大学院研究員)になっていましたが、恩師から地方大学の専任講師のポストを紹介されて、あれこれと自分なりに努力をした結果(=本当は周りの支援がほぼほぼ全部)、無事に着任。公認会計士としてぼちぼち社会活動をして、この地方大学で教育に従事させていただき、

          文系大学教授になる5:英語

          ビジネススクールの学び2:経営戦略

           ビジネススクールにおけるマネジメント教育の根幹となるのが経営戦略です。企業等の組織の将来目指すポジショニングを明確にして、その内容を組織の構成員全員で共有することは、いかなる組織においても基本中の基本となります。将来のポジショニングを描く際に同業他社等の成功事例をケースとして学習し、その内容に沿って自己の組織のありようを描くこと、このこと自体は場合によっては非常に楽しいミッションとなります。  ところが、いくら多くの成功事例を学んでも、当該成功事例と同じような経済環境、経営

          ビジネススクールの学び2:経営戦略

          文系大学教授になる4:協学とは

           大学院の博士課程後期課程に入り、学会報告や査読論文を国内外のジャーナルへ投稿を始めだすようになると、いよいよ、研究者の卵としての学者人生のスタートです。学者人生とはいっても、理系とは異なり、文系は同じ研究室に所属していても研究内容はかなり異なります。私の研究室では、指導教授の方針で公共ガバナンスに関係する広範な問題を積極的に研究テーマに取り上げることを推奨しており、博士論文としての研究題目は、各人で本当に様々です。ゆえに、博士後期課程生や大学院研究員の研究テーマで重複する箇

          文系大学教授になる4:協学とは

          ビジネススクールの学び1:企業倫理

           専門職大学院の一つであるビジネススクールには、数多くの社会人大学院生が通学しています。慶応大学、早稲田大学、関西学院大学、神戸大学、九州大学をはじめ、研究科の名称は様々ですが、社会人を対象にしたビジネス教育が実践されています。  ビジネススクールに進学される社会人大学院生の多くは、実際に企業等で経営者あるいは管理職としての相当の経験を有していて、いくつもの実務的な問題を抱えた経験を持たれる方が非常に多いと考えられます。そのために、ビジネススクールで人気のある講義は、実務へ速

          ビジネススクールの学び1:企業倫理

          文系大学教授になる3:教員組織

           大学の教員組織が助手・専任講師・助教授・教授とされたのはすでに過去の話です。現在は、助手・准教授・教授が基本で、シニア助教を専任講師として処遇するケースも一般的です。なので、大学の教員組織は、助教・専任講師・准教授・教授と理解している方が、大学生のなかにも多いと思います。この理解は大学の教員組織を理解するときの基本です。  最近はこれに第三の職種とでも言うべきでしょうか、教員と職員の間のミッション(主として研究や研究支援業務)を担う教職員がおられます。職員サイドではたとえば

          文系大学教授になる3:教員組織

          文系大学教授になる2:博士課程指導教授

           大学院に進学して(新卒と既卒のいずれが適当かという問題は後日ノートします)、大学の教員(大学教員組織についても後日ノートします)を目指すと意思決定をした場合、まず大切なことは、大学院での指導を受ける指導教授を見つけるということです。博士論文の指導から大学教員への就職まで色々と親身になって指導を行うのが、博士課程後期課程指導教授です。博士課程後期課程指導教授は、博士課程後期課程を設置している大学院研究科に所属(通常は学部とのダブルカウント)し、教授に昇任してかつ博士の学位を取

          文系大学教授になる2:博士課程指導教授

          文系大学教授になる1:進路決定

           最近ではあまり薦められることもありませんが、学部の新卒・既卒を問わず、大学院に進学して大学等の教員になるという進路があります。それは、18歳人口の激減と大学経営状況の悪化などで、助教や専任講師として新たに大学院の修了者(博士学位取得者や博士課程後期課程満期退学者)を採用する数は、特に文科系大学の場合、非常に厳しくなっているという現状があるからです。それでも、JRECという大学教員等の公募サイトには、時期にもよりますが、相当数の公募案件が掲載されていますし、弊研究室でも福知山

          文系大学教授になる1:進路決定

          大学院進学の理由(修士・博士前期課程・専門職学位課程)

           これまで多くの大学院生に接してきました。修士課程や博士課程前期課程そして専門職学位課程(何れも修士の学位を取得できます)に進学される理由も、人それぞれです。最も進学目的が明確なのは、専門職学位課程(専門職大学)のロースクール(LS)やアカウンティングスクール(AS)への進学者で、この方たちの多くは弁護士や公認会計士の資格取得を目標にしています。一部の博士前期課程や専門職学位課程には、中小企業診断士の第一次試験合格者を対象にしたプログラムがあり、この課程の修了者には第二次試験

          大学院進学の理由(修士・博士前期課程・専門職学位課程)

          専門職大学院の魅力

           大学院と比較したときの専門職大学院の魅力は、非常に多くの講義科目の中から進学目的に沿っての学習プランの形成が可能になるという点です。大学院博士課程前期課程(修士課程)では、近年でこそ履修可能な講義の数が増えてきましたが、講義科目の絶対数は、専門職大学院の比ではありません。実際の講義(不開講科目を除くという意味です)が、その大学院の専任の先生方によってほとんどが行われているようなケースでは、なかなか、院生として希望する講義等の科目をチョイスすることができません。  博士課程前

          専門職大学院の魅力

          オーバードクター 博士浪人

           1970年代の田宮二郎さんのタイムショックで「オーバードクター、日本語で言うと」という出題がありました。当時は博士浪人と言ったそうですが、オーバードクターは博士学位を取得した後の、就職等の浪人という意味ではなく、博士課程後期課程の3年という修業年限を経たものの学位を取得できず、大学等の就職先も見いだせていない大学院生(正確には大学院研究員)を指す言葉です。私もオーバードクターでした。博士課程後期課程の3年間を終えたものの、学位も取得できず大学にも就職できずという状況で、在籍

          オーバードクター 博士浪人