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ビジネススクールの学び3:医療経営

 私が勤務するビジネススクールには医療経営のプログラムがあります。医療のマネジメントに関係するプログラムを有する大学院は少なくありませんが、ビジネススクールの一つのプログラムとして医療経営を設けている大学院は少数です。
 少子高齢化の時代を迎えて、医療や介護や介護予防に関するマネジメントとガバナンスは、多くの関係者の関心を集めています。私のゼミにもこれまで医師、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、臨床レントゲン技師、管理栄養士、それに、病院等の医事職の方が、在籍されていました。
 医療職の多くは、たとえば、病院の決算書を読むことができません。それでも、公立病院等に勤務する医師は、いずれ院長や副院長として、担当する診療科以外の広範な組織を対象にしたマネジメント能力が求められます。代表的な手術ロボットのダビンチの購入一つをとっても、その購入に際して経済性の計算は、単なる医師の確保や患者へのアピール以外にも重要な論点となります。
 最近話題になっている医療職のタスクシェアの問題にしても、職種別の勤務形態の現状を把握することなしに、感覚でタスクシェアを行っても失敗します。ここでは、ハーバード大学ビジネススクールのキャプラン教授らが開発された Time-Driven Activity Based Costing などの手法を理解しておく必要があります。
 このほかにも例えば、院長のリーダーシップや中堅看護師の離職への対応、個人病院経営におけるSNSの評価など、経営の視点でなければ取組むことのできない内容は、多くのヘルスケア関係者にとっての重大関心事になっています。経営の視点から医療のあり方をマスターできる大学院は意外と少ない状況で、医療経営の学ぼうとする医療関係者や医事関係者が多いという現状があります。
(2022.06.01)

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