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生物系退役研究人。をんながすなるにきというものををとこもしてみむとてするなり。

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生物系退役研究人。をんながすなるにきというものををとこもしてみむとてするなり。

最近の記事

  • 固定された記事

普通の人の普通の人による普通の人のためのデータ解析

「リスクコミュニケーション」とは特定のリスクについての情報を、利害関係をもつ人たちの間で共有することだそうです。 この言葉を聞くようになったのは福島の原発事故ぐらいからです。福島の原発事故では発生する放射線の健康影響について専門家と普通の人々での間で認識を共有することがいかに難しいか経験しました。 放射線のリスクを理解する為には放射線の物理、生物学、病理学などを理解しなくてはなりません。専門家はその分野で長年研鑽を重ねてきた人たちです。生物学、物理学、数学の基本的知識に関

    • サモアのはしか

      前回、ワクチンとADHDの相関について議論した論文$${^{1)}}$$を紹介しましたが、著者のLyons-Weiler氏はコロナパンデミックが始まる直前の2019年に流行ったサモアの麻疹 (はしか) についても彼のブログで議論していました$${^{2)}}$$。 当時まだウィルスの話など話題にもならなかったのであまり印象にはありませんでしたが、なぜ南の島の楽園で麻疹などという当たり前の感染症で死者がたくさんでているのか不思議に思った記憶があります。2019年12/6の記

      • ASIA

        この暑い中、未だにマスクをしている人が多いのですが、日本では毎年春先になると花粉症の対策でマスクをすることが常態化しているので、欧米と違ってマスクには抵抗感がないのかも知れません。その意味では日本はマスク先進国なのです。 それにしても、なぜこんなに花粉症が多いのでしょうか?半世紀程前には花粉症等で悩まされていた子どもはほとんどいなかったように思います。喘息持ちはいましたが、たいていは缶入りピースを吸う老人で子どもの喘息持ちなどほとんど見かけなかったような気がします。アトピ

        • コンタミDNAのPCR定量は過剰評価?

          前回、定量PCRはDNaseでランダムに分断したDNAを定量する場合にはあてにならないと書きましたが$${^{1)}}$$、実はぶちぶちに切れた標的部分のDNAを自己修復して存外正確な値を示す可能性があることを東京大学の新田剛氏から指摘されました。 McKernan氏が検出したファイザーワクチンのコンタミDNAは7,810塩基対(bp)の発現プラスミドですが、これをDNaseで平均200bpの断片に分解するとスパイク蛋白をコードする遺伝子上にある定量化PCRのための標的遺

        • 固定された記事

        普通の人の普通の人による普通の人のためのデータ解析

          あなたは誰?コンタミDNA物語

          多くの問題点が指摘されていながら緊急承認ということで導入された遺伝子ワクチンを接種してから我が国の超過死亡が異常に増え続けており、ワクチン接種に反対する声が高まる一方、東京都は高齢者と医療従事者に6回目のワクチン接種を開始しました$${^{1)}}$$。 そんな中、ワクチンの危険性を訴え続けてきた荒川央氏がモデルナやファイザーのワクチンにDNAが混入している報告を紹介しました$${^{2)}}$$。オリジナルはアメリカのKevin McKernan氏の一連のブログです$$

          あなたは誰?コンタミDNA物語

          普通の人のためのDNA解析

          荒川央氏が先日亡くなったモンタニア氏の論文を紹介していました$${^{1)}}$$。 モンタニア氏はフランスの分子生物学者でエイズウィルスの発見でノーベル賞を受賞した研究者でコロナのmRNAワクチンに常に警鐘を鳴らし続けていました。 この論文でフランスのコロナワクチン接種後のクロイツフェルドヤコブ病 (CJD)、すなわちプリオン病の発症について述べており、26の症例がワクチン接種後11日程度で発症し発症から数ヶ月で死亡したことを報告しています$${^{2)}}$$。

          普通の人のためのDNA解析

          オミクロンの感染力

          オミクロンは非常に感染力の強い変異株だそうです$${^{1)}}$$。 オミクロンは武漢型や2021年までの変異株に比べると圧倒的に多くの感染者を出しています。しかし、その感染波の解析をすると基本再生産数 ($${Q_0}$$) の平均は2.16と第I-III波の武漢型の平均の2.36よりも低くなっています。今流行っている第VIII波は1.50と36%も下がっています (表1)$${^{2)}}$$。 再生産数($${Q}$$)は「感染者1人が増やす新たな感染者の数」で

          オミクロンの感染力

          うつべきか、うたざるべきか:ワクチン死者数の推定

          ここにきて超過死亡が激増しています (図1)。 各年度の2月〜11月の超過死亡数を比較してみると、コロナパンデミックの始まった2020年は2019年に比べて死亡者は6,652人減っていました (表1)$${^{1)}}$$。コロナが流行ったため厳しい感染対策を行いインフルエンザなどの他の感染症が激減したためだと考えられます。 しかし、ワクチン接種を開始した2021年は逆に58,682人増え、ブースター接種を始めた2022年はさらに増えて102,235人となり超過率は全死亡

          うつべきか、うたざるべきか:ワクチン死者数の推定

          ウィルス干渉

          今回のパンデミックで一番不思議なのはインフルエンザが世界中から消えてなくなったことです。2019年は流行が第45週から始まり第54週までの感染者は402,862人にも拡大したのに、2020年の同時期の患者数は469人と前年度の0.1%ほどでした (図1)$${^{1,2)}}$$。 今回のパンデミックではインフルエンザばかりでなく、他の感染症も激減しています。呼吸器感染症RSウィルス感染症ばかりでなく、口や手足に発疹がでる手足口病やロタウィルスによる胃腸炎なども激減していま

          ウィルス干渉

          オミクロン波のシミュレーション

          今年も残すところわずかになりコロナの騒動が始まって3年になろうとしています。たかが風邪に世界中がまきこまれた気違いじみた狂騒曲でしたが、さすがに民衆はアタマにきてマスクをかなぐり捨て、ワールドカップに狂乱し、普段の生活を楽しむようになってきました。 それでも相変わらずメディアは毎日のようにコロナの感染者と死亡者の数を民衆につきつけてワクチン接種と自粛を押し付けてきます。さらに今年はインフルエンザが増えると恐怖を煽り、政府はコロナだけではなくインフルエンザも、ついでに子宮頚

          オミクロン波のシミュレーション

          プリオン病とイベルメクチン

          最近は牛肉が安くなりました。牛肉が安くなったのはオーストラリアやアメリカの牛肉が入ってきたせいでしょう。それに対抗して国産肉も手が出る値段になってきたように思います。 輸入肉が手に入るのはひところメディアが煽っていた狂牛病の報道を全くしなくなったせいでしょう。メディアが煽って狂牛病パニックを作ったという点では今回のコロナ騒ぎと似ています。 危険部位を除去した牛肉を食べてプリオン病になる確率は200兆分の1なのに、それでもメディアはよろめいて歩く牛の映像を繰り返し流して

          プリオン病とイベルメクチン

          アベノマスク

          「ウィルスの大きさは約0.1μmしかない。スカスカのマスクではウィルスは筒抜けだからマスクをしても意味がない」 このような主張をしている人が「専門家」を自称する人の中にも見うけられますが、彼らは微生物学においては「素人」であると言わざるをえません。 細菌の大きさはウィルスの10倍の1μm。これを除菌する為にはポアサイズ0.1-0.5μmの薄いメンブレンフィルターを使います。 培養液等を除菌する時は圧力をかけてこの膜を通過させるのですが、0.5μmならまだいいのですが0.

          アベノマスク

          オミクロンの由来

          日本人がインドや東南アジアに旅行して生水を飲むと必ず下痢をするようです。もちろん、地元の人が同じ水を飲んでも下痢などしません。 生物はその土地の環境の中で適応して生きています。地元の人間は土地のウィルスや微生物と共生して生きています。ですからよその土地から新しいウィルスが入ると病気になるのです。 ウィルスは人の体で増殖します。増殖すると変異します。例えば、1回の感染で20回程度分裂するとウィルスの数は100万倍に増えます。もし、1回の分裂で100万分の1の確率で塩基に変異

          オミクロンの由来

          第6波の減衰が緩慢な理由

          オミクロンの流行による第6波はこれまでの波に比べると格段に大きな流行波です (図1)。第5波が収まった2020/2/1-2021/12/1までの22ヶ月間の感染者数 (PCR陽性者) は1,722,786人ですが、2021/12/1-2022/3/1の3ヶ月の感染者数は3,333,413人にもなります$${^{1)}}$$。第6波では短期間に2倍の感染者をだしていることになります。 しかしこの流行波の基本再生数はこれまでのものと大きな差はありません$${^{2)}}$$。

          第6波の減衰が緩慢な理由

          超過死亡率と接種率の相関関係

          前回はオミクロンインデックスとワクチン接種率との相関関係について解析しました$${^{1)}}$$。人口密度、ワクチン接種率、感染率、死亡率、致死率を説明変数として重回帰解析を行うと、欧州の国々では感染率オミクロンインデックス(iOI)にワクチン接種率は正の寄与をするのに対し、日本では負の寄与をすることを述べました。 死亡率オミクロンインデックス(mOI)や致死率オミクロンインデックス(fOI)では欧州でも日本でも有意な寄与はありませんでしたが、超過死亡率を指標にすると有意

          超過死亡率と接種率の相関関係

          オミクロンインデックスの重回帰分析

          前回$${^{1)}}$$はオミクロンインデックスとワクチン接種率との相関関係について述べましたが、前に述べたように相関関係には交絡因子が隠れている可能性があり$${^{2)}}$$、ワイラー氏はその1つとして人口密度を組み込んでいました$${^{3)}}$$。 このように一つの目的変数と複数の説明変数との相関関係を分析する手法を重回帰分析といいます。 感染率はワクチン接種率と人口密度に影響をうけ、3つの変数を座標軸とする3次元空間に分布する個々のデータに対する多重相関関

          オミクロンインデックスの重回帰分析