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螺旋IV「コード」



八角家・やさしい味わい螺旋IV「コード」無事に終演しました。会場まで足を運んでくださった皆様、応援してくださった皆様本当にありがとうございました。

今回、所属している劇団ポポポの主催さいけさんから「螺旋」のことを教えて頂き応募・参加へ。ずっと大衆演劇寄りのお芝居をして来た私が今までと全く違うジャンルのお芝居に飛び込んできました!

日常に寄った会話劇というものに触れて来ず、ずっと苦手な分野と距離を感じていたのですが「もっと知りたい、会話劇が出来るようになりたい」と、5月のポポポ公演「とぐろ、或いは揺らぐ」の時に思ったのでした。自分に役を寄せて演じる、嘘を付かないというお芝居の方法が面白くて気持ちが揺れ動くのがとても楽しくて…

そんな中の八角家さんの研究公演「螺旋」、飛びつかずにはいられませんでした。言葉通り飛びついたな…。板状でもっと沢山の会話をしたいと願っていたところに八角さんの元で学べるですと!?最高!と応募メールを送信。

あのとき教えてくださったさいけさんに感謝です。


さて、まだまだ終わった実感もないですが、数日後にロスる予感が…。そこで書いても良いかなぁと思ったのですが気持ちや脳内の景色が色褪せないうちに振り返りをさせて頂きます。

「コード」過去に八角家さんで上演されていた脚本、今回は再演となります。初演を見たことが無いので完全初見。初めて読んだときはロマンチックな儚くエモくキレイな物語だと思いました。沢山の人や人生が交差していく、実際に板の上に乗ったときにどんなことになるんだろうと想像がめちゃくちゃ膨らみました。

そして八角さんの演出が入り、全く違う作品へ。ロマンチックさや儚い色合いではあるものの、「良い話にはしたくない」という八角さんの言葉であのラストへ。どの人物がどんな想いを抱えていたのか、それを考えて頂き余白を楽しんでもらえる作品なのであまり語りすぎな言うように気を付けねば…。


衣津さん(甲山万友美さん)
尊敬する師匠。衣津さんはとにかく懐が深い。アシスタントにも気さくに接してくれて、そして馴れ合いにはならないよう、お仕事の所はきちんと締めるところは締める(と思う)。君子は衣津さんの漫画をバイブルとして生き延びてきた女子です、尊敬する漫画家さんがとても素敵でお茶目な方だったので懐いて懐いて懐きまくってました。君子があの場で自然に居られたのは衣津さんの人柄のお陰です。家族ではないけれど身内として受け入れ接して学ばせてくださった衣津さん、あの物語の後にどんな道を進んだにしろずっと君子の師匠は衣津さんなんだろうなと。
万友美さんとはめちゃくちゃ話し合いをしました、アレがしたいコレはどうだと稽古前に話しては終わった後にああじゃないこうじゃないとウンウン唸りあったりして。稽古場から駅までの道もご一緒することが多くて、凄く密な時間を共有していたなと感じます。万友美さんご自身も素敵な方で、凄く皆を見てくださっていました。お芝居に対して本当にストイックで、きっと心情的にも一番つらいのは衣津さんであったのに稽古場や小屋の中では笑顔を絶やさず優しくあの場を照らしてくれていました。お話しする時間がとても楽しかった。あの空間に居るべき方、背中や眼差しがとても綺麗。真摯な姿にたくさん引っ張ってもらっていました。また是非ご一緒したいし、その時にもっともっと成長した私を見てもらいたい、少しでも追いついていたいと思います。



寧子さん(安達菜都さん)
君子のずっと気になっている人。妄想しすぎて勝手にねこさんって愛称まで付けちゃってます。空想上の人物だったのに今回の物語の中で衣津さんの中にずっと居続けていると知り、一気にその興味が加速。けどまさか実際にお会いしてるとは夢にも思ってません。一瞬だけだけどお話ししたねこさんは友人(と君子は思ってる)の衣津さんのことで初対面の私たちと一緒に一喜一憂してくれる凄く可愛らしい方。にこにこ楽しそうで優しくて纏う空気が凄く澄んでて綺麗、音叉の話もねこさんの口から聞くと全くクサイ言葉に聞こえなくて沁みいる素敵な言葉に。Twitterのご感想でお客様が書いていましたが、本当に儚く美しい人でした。
菜都さんはめちゃんこ可愛らしい方。お茶目でちょっとおっちょこちょいらしくて優しいお姉さん。私は板上での絡みがほとんど無かったので打ち合わせなどは本当にちょこっとしか出来なかったけれど、もっともっとお喋りしたいなぁって思ってました。同じラブコメ小説を読んでいたり、たまたま同じ舞台を観劇してその話で盛り上がったり…。仲良くなりたいなぁ、と思いつつ八角家の方々とはまた絶対お会い出来る!と次回を虎視眈々と狙っています。そして次こそはもっとお芝居も一緒にと願望を抱いてます。真正面から向けてくれる笑顔がとてもきれいな方。



秀彦(イツキさん)
可愛い弟分。弟”分”てとこがミソ。衣津さんの弟さんで夢探しをしながら一緒に暮らしてる若者。姉の脛を齧っているけどなんか憎めない可愛げがある子、君子だけじゃなくて皆なんだかんだ彼を可愛がってました。凄く根っこからいい子で、お姉ちゃんのことを人一倍思ってる。けどちゃんと自分の人生にも向き合おうとしていたりもして、衣津さんの言葉通り「ええ弟じゃ。」
イツキくんはまっすぐって言葉が凄く似合う俳優さん。眼差しもまっすぐ、取り組み方もまっすぐ、意思もまっすぐ、そして思いもまっすぐ投げてくれる。ちょっと意地悪したいなぁなんて遊び心を擽られる可愛い魅力を持っています。私がブレてしまったとき、道を見失ったときにイツキくんの持つ引力で何度も何度もコードの上に引き戻してもらいました。かっこかわいく頼れる男の子、また今度はちょっと違う関係性でのお芝居とかもしてみたいなー、たくさんの顔を見てみたいです。



桜晴くん(アンディ本山さん)
衣津先生の元アシスタントの先輩で友達の亜珠の旦那さん。今はアシスタントを辞めてサラリーマンをしています、立派な社会人。君子の尊敬する先輩です。年上だし先輩ではあるけど凄く気さくで、距離を感じさせないお兄ちゃんのような存在の人。けれど近いからこそ、同じものを目指していたから沢山の悶々を桜晴くんには感じていました。
アンディさんにはたくさんのことを教えて頂きました。どうやって人と向き合うか、お芝居をするための気持ちだったり頭の使い方。そして稽古中も小屋に入ってからも私たちに色々なボールを敢えて投げてくださってました。日々変わっていく関係性を大切にすること、相手をよく見ること。八角さんからの言葉を形にして実践させてくださいました。二人のシーンなんかは色んなこと試させてもらったり…。本当に桜晴くんのように距離を感じさせることなく相談させていただけて、指導もアドバイスもしっかりしてくださるかっこいい先輩。もっともっと私もお芝居上手になって再会させて頂きたいなと願います。精進していくぞ!



亜珠(森川菜未さん)
大好きな友達。本当に好き、大好きな女の子。一緒に居ると何より楽しいし、桜晴くんも大好きな先輩ではあるけど亜珠が取られちゃった気がしてちょっとしたジェラシーを抱いてます。私のが亜珠が好きだし!と思いつつ、あの夫婦のことは大好きなので一緒になってくれて嬉しくも思ってます。複雑ぅ…。
もうこれは亜珠へ、というよりなみのすけ本人に関してになるけども本当に可愛くて日に日に大好きになっちゃって…。おうちゃんの話をする亜珠がめちゃんこ乙女の表情で、幸せそうなときは本当に花が咲いたようだし不安な時はすごく抱き締めたくなるような顔をするんです。なみのすけとは稽古初期に話したときにお互い「役者としての性質が似てるね」って話になって、そこから転がるように距離が縮みました。本当に亜珠がなみのすけで良かったし、なみのすけの亜珠のおかげで冒頭からラストまで、たくさんの気持ちを繋ぐことが出来ました。最後におうちゃんと一緒にいるときに見せる可愛い笑顔、ずっとあのまま幸せでいて欲しいと心から願います。



君子(笠原芽吹)
自分のやりたいこと、目指すことに貪欲でガサツ。図々しいところがあって、割と気持ちのままに行動してました。君子を掴むまでは凄く苦しくて悔しかったけど、稽古終盤辺りからストンと腹の中に落ちてきて演じるのが凄く楽しくなりました。
今までとは全く違う役作りをした君子。過去演じた役たちは私の中に友人として存在しているんですが君子はもう一人の私という言葉が近いのかな。普段なら「これはやったらダメだな」「口にしちゃいけないな」という31年生きてきた中での理性のようなものを取っ払ったらああなった、嘘のない私が君子です。君子目線で見るあの空間や皆が愛おしくて大好きで、けれど勿論自分の想いも大切。会話劇は日々少しずつ違うから「安心できることはないよ」と八角さんから言われていた通り、毎日毎日不安や緊張を抱えながら嘘をつかないように必死にアンテナ伸ばしてました。
初めてしっかり会話劇を学ぶ場で君子を演じられたのは本当に良かった、「自分」というものに嘘をつかず取り繕う必要もないと気付くことが出来ました。本当に苦しかったけど楽しかった。



螺旋に参加できて本当に良かったです。論理というものも何も知らずにぼんやりとした知識と感覚を頼りにお芝居をしてきましたがきちんと頭で考えて組み立てていくことがこんなにも大変で楽しいのかと、新しい感覚を知りました。もっともっとたくさんのことを知りたい、もっともっとお芝居をしたい、上手くなりたい。今のめぶきは欲だらけです。

けれどこう思えたのも螺旋を紹介してくださったさいけさん、そして演出や講義をしてくださった八角さん、たくさん支えてくださった八角家の皆さん、一緒に相談して話し合いをしてくださった共演者の方々。そして私を役者として生かしてくださっている皆様もおかげです。

今後ももっとたくさんの表現をしていきたい、もとたくさんのことを出来るようになりたいので皆様こんなめぶきに今後もお付き合い頂けると幸いです。
恩返し出来るように全力で精進してまいります。

本当にありがとうございました。


螺旋Ⅳ 「コード」
team-A 君子役 笠原芽吹

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