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AI (Iverson Cut) オフェンスの要諦

こんにちは、現代バスケットボール戦術研究(MBTR) @MBTResearch です。(ブログ / togetter/YouTube
[ ※これまでの記事はマガジンから→「現代バスケ戦術研究ノート」、「プレイブック・マガジン」 「バスケットボール・ドリルまとめ」 ]

今回はマガジン第32回として、AI(Iverson Cut)を軸ないし起点としたオフェンスに関して整理して論じていきたいと思います。

既に人口に膾炙されたところですが、AI(Iverson Cut)はかつてAllen Iversonが愛用したカッティングプレーとして知られています

特に主流なのは上図のように左右のエルボー付近に2枚のスクリナーを置くタイプのAIで、Blocker 2枚 (4, 5)と残り3枚のMover (1, 2, 3)でオフェンスを構築するという意味ではFloppyWheelといったBlocker-Mover Offenseに構造的に通ずるところがあります:

過去にもブログ記事の方で、代表的なAIセットまとめと題してAI起点のセットオフェンスを紹介したことがありますが、今回はそこからさらに踏み込んで、AI / Iverson Cutを通じて「誰に」「どのように」攻めさせるかについてより一層体系的に整理することとします。


⓪AIのエントリーと対策へのカウンター

AIは特にSLOB等で積極的に利用されますが、AIオフェンスを展開しようにも、AIに移行することそれ自体を妨害されてしまっては元も子もないので、相手のディフェンスに応じたAIの展開方法を整理しておきます:

一般的に多くのSLOB AIは、Zipper Entryから展開することが多いと思われます
(* 4, 5のStagger+1のGut Cutを用いるケースも多いです)


Zipper Cutへのパスが(例えばZipper Switchなど)によって妨害される場合は、Zipper Screener(ここでは4がElbow Flash)してボールを受け、Cutter(ここでは1)にボールを出してからAIに入ります。


ZipperでCutterもScreenerもうまくDenyされるようでしたら、Weakside Big(ここでは5)がNail Flashしてパスを受け、1にDHOなどでボールを入れてAIに入ることが可能です。


次に、AI自体に対してBumpやTop-Lockなどで妨害してくる場合に対するカウンターを用意しておきます:

 Top-Lockで通常のFace Cutを塞いでくる場合は、Dと真正面から戦わず、その脇へと"躱して"(Elude)、本来とは異なるコースへカッティングすることで、Dを剥がすことが可能です。

参考:Eludeの例:


D側がEludeを嫌って、真横からBumpしてくる場合は、ContactしてDを押し込みつつスクリーンを使ってCurlすることでDを外すことが出来ます。


Dが先回りしてくる場合は、逆方向に切り返すことで、AIをしたのと同じ形でボールを受けることができます。(周りはこのRejectに合わせます)


①AI Cutterを軸に攻めるオプション

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バスケットボール戦術についての研究ノートを掲載。 月1-3回程度更新。

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