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トランジションからアーリーオフェンス①

こんにちは、現代バスケットボール戦術研究(MBTR) @MBTResearch です。(ブログ / togetter/YouTube
[ ※これまでの記事はマガジンから→「現代バスケ戦術研究ノート」、「プレイブック・マガジン」 「バスケットボール・ドリルまとめ」 ]

これまで過去にトランジションやアーリーオフェンスについて数々の記事を書いてきました:


また、TransitionからEarly、そしてPistol Offenseまでを動画化しYouTubeプレイリストにまとめています: 


今回は過去のコンテンツを総括する形で、マガジン第36回として、トランジションおよびアーリーオフェンスを整理して論じていきたいと思います。



⓪トランジションとアーリーの考え方

トランジション / ファストブレイク、およびアーリーオフェンス / セカンダリーブレイクの重要性については、既に巷間で再三強調されてきたところかと存じますが、ここで改めて論じています。

個人的にTransition〜Earlyを重視すべきと考える理由を箇条書きすると:
・ディフェンス側の布陣が整っていないところをアタックできる(CoverageやRotationが不十分なところを攻められる。Zone相手なら、Zoneを組み切るまでに攻撃できる)。
・個々のディフェンスにとっても体勢が整っていないところを攻めることができる(ハリーバックした後にさらにフィジカルにDするのは難しいか、少なくとも大きなストレスがかかる)。
・上記に関連して、短時間かつシンプルなプレーやアクションで得点を狙うチャンスが生まれやすい。

Transition / EarlyとHalf Court Offenseを例えるなら、Transition / Earlyはいわば高速道路で移動するようなもので、シンプルかつ容易に素早く得点できるが、当然それはディフェンス側が閉鎖してくるわけで、閉鎖されたなら下道(一般道)の攻め方=Half Court Offenseが重要になるわけです。

裏を返せば、Transition / Earlyのチャンスがあるのにそれを見落としてわざわざスローダウンしてHalf Court Offenseを展開するのは、高速道路が空いてて通過可能なのにわざわざ下道を走って遠回りしているのに近いわけです。こうしたアナロジーで表現すると、あり得ない馬鹿馬鹿しいことに感じられるかも知れませんが、しかし実際には、緻密なハーフオフェンスを練習しているチームほど、TransitionやEarlyを攻め損ねるPitfallに陥りがちであり、非常によくあるエラーですので重々注意する必要があります。


①トランジションの原則

トランジションにおける原則は、過去記事で言及したように、ある程度の多様性があります。

その一方で、多くのコーチで共通する普遍的な原則もあります。

ここでは、可能な限り普遍的な原則を集約しつつ、個人的に重要と思われる原則を強調していこうと思います。

・リムラン(特にビッグマンの)

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バスケットボール戦術についての研究ノートを掲載。 月1-3回程度更新。

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