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ひと夏の高校生活、みずみずしく~子供はわかってあげない

編集部のエイミーです。
「映画館で見る映画の良さを多くの人に伝えたい」
そんな思いで映画と映画館愛を語ります。

ひと夏の高校生活を描いた「子供はわかってあげない」(沖田修一監督/138分)を見てきました。

広島のまちなか映画館「サロンシネマ」での鑑賞です。

席

高校2年水泳部の朔田美波(上白石萌歌)は、書道部の門司昭平(細田佳央太)と大好きなアニメが同じという共通点を発見し、意気投合します。門司くんの家へ遊びに行った美波は偶然、「謎のお札」を発見。そのお札は、幼い頃に別れた実の父が以前、美波に送ってきたものと一緒でした。このことをきっかけに美波は父親を捜すことに。門司くんのお兄さんの助けを借り、意外とあっさりと見つかります。美波は家族に内緒で会いに行くことに。海辺の町で暮らす少し怪しげな父と過ごすうち、美波の心には不思議な感情が湧き上がります。

映画冒頭、クオリティーの高いアニメーションの映像が流れます。「あれ? 私はアニメを見に来たんだっけ」と勘違いしてしまうほど話は長々と進み、起承転結でエンディング音楽が流れます。そして実写場面に切り替わり、アニメオタクの美波は物語に涙し、父親と共にエンディングの歌を歌いながら踊ります。こんな風に、長い時間をかけて丁寧に描く場面が多々あります。カメラの位置を固定し長回しで撮影することで自然な「間」が生まれ、まるでのぞき見しているような感覚に。美波と門司くんがお互いを尊重しながらマイペースで会話するシーンや、美波と行方知れずだった実の父のぎこちない会話など、とても味わい深く、スクリーンの中の役者たちを応援したい気持ちになります。上白石萌歌の肩の力が抜けた自然体な演技と、怪しげな実の父役の豊川悦司の哀愁漂う姿などが物語に深みを与えます。

チケットshuusei

・映画館が日常になりますように・

【サロンシネマの醍醐味】
スクリーン1と2の間にある空間は、まるでハリウッドスターが歩いてきそうなレッドカーペットが敷き詰められています。両端には、重厚な額の中に入った今後上映される映画のポスターがずらり。次はどんな映画をみようかな。考えただけでワクワクします。

サロンレッドカーペット

(編集部・エイミー)

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