「マスクマン」か「逆整形手術」か? 「自分であること」をやめることはできない。

■成績より容姿? 潮田玲子さん、現役時の違和感「否定できない」でも
(朝日新聞デジタル - 06月20日 12:35)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=7002759

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自分が注目してほしいポイント(成績や技)と他人が注目するポイント(容姿)は別物だ。一般大衆のゲスな一部が「汗ぬぐい」「前かがみ」「下着の紐」に注目するなんてーのは制御したいと私も思う。

だが、残念ながら「ほぼ不可能」だ。一般大衆が何に注目するか?これはその一般大衆の制御領域にあることであり、見られる側がコントロールすることは不可能に近しいからだ。

多少声を上げたところでどうにもなるまい。「店が売りたいもの」と「客が買いたいもの」は別物ということだ。一致させるには「店が売りたいもの」の魅力を爆上げするのが理想だが極めて難しい。となると手っ取り早いのは「客が買いたいもの」の魅力を減じることだ。

・・・我ながら揚げ足取りのようなひどい書き方をするが。どうしてもイケメンや美女というように「容姿で注目を浴びたくない」のなら、マスクマンになるとか逆整形手術しかない。

彼がイケメンであるとか、彼女が美女であるということは、既にして彼や彼女の一部である。「自分であること」をやめることはできない。

人は見た目が9割だ。特に浅い付き合いだとか初対面の状況ではそれが顕著だ。中身勝負に持ち込むにも、清潔感などの「最低限の見た目」は必要ということだ。

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現役時代に容姿で注目されることに違和感を覚えたというバドミントン元日本代表の潮田玲子さん(38)に話を聞いた。

「オグシオ」。2000年代、バドミントンを世間に広めた小椋久美子さん、潮田玲子さんペアの愛称は、本人たちがつけたものではない。

2人は、「アイドルのような扱い」を受けた。

そう、潮田さんが振り返る。

「社会人(三洋電機、02年入社)の1年目くらい。週刊誌に載りました。まだ何の実績もない時です。『美女アスリート発掘』というテーマでした」

「嫌」ではなかったが、「なんだろ、これ」と思った。最初の違和感だ。

それまで空席が目立った国内の大会が、満員になった。小椋さんと潮田さんが試合をするコートに人が集中した。

国際大会の出場権を得た時、こんな場面を見た。先輩選手たちが日本バドミントン協会に、「顔がいいから(小椋、潮田を)選んだんですか?」と迫っていた。

「アスリートとしてではないところで注目されるのはつらかった。負けたのに、『カメラの前では、もう少しニコニコした方がいいな』と言われて」

プレーとは直接関係がない場面で、カメラのシャッター音が激しくなった。

例えば、インターバルで汗をぬぐったとき。シャトルを拾おうと前かがみになったとき。下着の肩ひもがずれたな、と感じたとき。

他の選手と顔立ちを比べてランク付けされたり、胸囲のサイズを「推定」されたりする報道もあった。母から「こんなのが載っている」と言われたときは、恥ずかしくて、悔しくて、悲しかった。

「『そういう見え方がするユニホームを着ている方が悪い』と言う人もいました。でも、それはいじめられている人に『いじめられる方にも原因がある』と言うのと同じです」

04年の全日本総合選手権ダブルスを初めて制すと、08年まで誰にも日本一の座を譲らなかった。

「私たちは日本一だから注目されている」。そう信じるために結果が必要だった。「プライドでした。だから負けられない。恐怖心は(12年に)引退するまでずっとありました」

なぜ、成績よりも容姿がフォーカスされるのか。現役時代にずっと胸中にあった違和感に、いまも向き合っている。同協会で競技普及に努める立場になり、こう思う。「競技を知ってもらうには、アスリート本人を好きになってもらうのがとっかかりになる。私も『あの人、カッコいいよね』と言って、競技に興味を持ったことがありますし。自分で苦しんだはずなのに、全部が全部を否定できないというか。この問題は、本当に難しい」

でも、肯定はできない。

昨年、「Woman’s ways」という一般社団法人を立ち上げた。

女性アスリートの体の変化や生理の問題を発信し、選手本人や指導者ら周囲に考えてもらう。根っこは、我慢するしかなかった自身の経験につながっている。

現役選手は声を上げづらい。自分の役割だと思っている。

「今までの当たり前は、当たり前ではありません。『当たり前じゃないんだよ。あなたはどう思う?』。そんな問題提起を、みんなでできるようになっていってほしいですね」(鈴木健輔)

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。