関西人は酢だこを知らない
関東地方に移り住んで、間もない頃でした。お正月近くになると、青いバケツに謎の赤い物体が入れられて売られているのを見かけるようになりました。関西では見かけなかった代物です。
「あれ、何なん?」 母に尋ねても、分かりませんでした。
私の目にはとても不気味な物として映っていたので、それっきり興味を失ってしまっていました。
でも、ある時ふとあの謎の物体の事が思い出され、友達に尋ねてみました。
「お正月になると出てくる、バケツに入った赤い物体はなあに?」
質問の仕方が悪かったのか、関東出身の友達も首をかしげます。
その年の12月、やっと待望の赤い物体が売られるようになりました。
近寄ってバケツの表示を見てみると「酢だこ」と書いてありました。
「えー!これタコなん?」 驚きました。
どうしてわざわざ、赤く染めているのか理解できませんでした。
後に聞いた話では、関西は明石で新鮮なタコが捕れるため、酢に漬けて保存する必要がなく、酢だこの文化が発達しなかったのだそうです。
ある魚屋さんで試食させてもらいましたが、どうもあの硬い感じのタコは苦手で、それっきりとなってしまいました。
住む場所によって、食文化も様々です。
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