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デザイン×サスティナビリティセミナーレポート 第2回「環境」編

3 月17 日に行なわれた「デザイン×サスティナビリティセミナー」について、このブログでは、「環境」「デジタル」「社会」のテーマごとに、全3 回の連載形式でおさらいしていきます。
今回は、「環境」のパートについて取り上げたいと思います。

企業のあるべき姿として、経済成長だけ考えていてはいけない、というのはもはや当たり前とも言えますが、現状の環境資源を維持するだけではなく、さらに、未来をより良いものに変えていく、というグリーン・サスティナブルな価値観に従っていなければ、本当にサスティナブルなプロダクト・サービスを提供することにはなりません。

「デザイン×サスティナビリティセミナー」では、一見 エコ に見えても、別の角度から見るとサスティナブルとは言えないプロダクトやサービスについて、世界中から集めた事例をご紹介しました。

多角的に見てサスティナブルか?

▼新興国のシェアサイクルビジネスの課題

一時、新興国で人気のあった自転車のシェアエコノミー。「成功イコール、他の企業を潰すことだ」と言われたほど、競争が激化していきました。いかにも エコ なイメージ“ ”のシェアサイクルビジネスですが、大量のプロダクトをより安く売って勝ち抜く、そんなビジネスモデルが破綻した時、必要とされなくなった大量の自転車の行方は?という点が問題視されています。

▼CO2排出量に応じて利用が制限されるクレジットカード

スウェーデン発のCO2制限付きクレジットカード。このカードを使って商品・サービスを購入すると、その商品・サービスの購入によってどれだけの CO2が排出されるかが自動計算されます。CO2排出量が一定の限度を超えると、カードの利用が制限されるという追加機能も。消費者をよりローカーボンな行動へと導くための急進的なツールとして関心を集めていますが、一方で、ユーザーだけに責任を委ねてしまうのはいかがなものか?と、企業側の課題放棄とも言える側面が指摘されています。

あたかもサスティナブルに配慮しているかのように見せる「グリーンウォッシュ」

▼カーボンオフセット=カーボンニュートラル?

実態を伴わないのにも関わらず、企業があたかも環境に配慮した取組みを行なっているように見せることが、「グリーンウォッシュ」と呼ばれています。世界有数の炭素基準管理団体である「Verra」を調査した結果、Verraが認証した多くの「熱帯雨林の保護活動による効果のオフセット」は、環境保全活動にほぼ影響を与えていなかった、という調査結果が発表されています。名だたる大手企業がこれらのクレジットを購入し、アピールとして利用していましたが、90%以上が「幻のクレジット」であり、本質的な炭素削減量ではない可能性があることが判明しました。

▼実はリサイクルしないほうがサスティナブルなケースも

某スポーツウェアメーカーと海洋保護団体が、リサイクルした海洋廃棄プラスチックでできたスニーカーを販売し話題になりましたが、実はこのスニーカーは「環境保全」の観点ではあまり影響がない、ということが言われています。海に捨てられたペットボトルをファッションの材料に使っても、本質的な環境保全にはつながらず、それどころか、ペットボトルを細かい粒子にダウンサイクルすることで、リサイクルができなくなってしまい、結果的に焼却や埋め てが必要になるのです。スニーカーにさえしなけ立れば、ペットボトルはリサイクルされ、他のさまざまな方法で使用することができたのに 、という見方も。

消費者が持つ影響力が高まってきたことで、企業は以前にも増して多くのものが求められるようになりました。

提供する製品・サービスの価値だけにとどまらず、環境に対する責任、企業としての行動や文化に至るまで、あらゆる段階で組織が生み出すものに配慮することで、初めて本質的にサスティナブルな状態がかなう、と言われています。

セミナーでは他にも多くのサスティナブル事例を紹介しています。

https://www.youtube.com/watch?v=QckTTMQZ_bI

次回は「デジタル」のパートについて紹介します。

・株式会社mctについて

mctは、世界が認める最新の手法、人々に感動を与える創造力、そして障害を乗り越え、実行するチームづくりを通じて人間中心イノベーションのお手伝いをしています。


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