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患者と家族の不安を和らげる「オンライン診療体験」

Work illustrations by Storyset

今年に入って、急に春めいてきたり(というか初夏に近くなったり?)、急にまた冷え込んだり、と緩急激しすぎる三寒四温が続いていましたが、さすがに四月に入ると春めいてきました。まあ「四月」と認識しただけで人は「春が来たと思い込もうとする」のかもしれませんね。

さて、今回の【勝手に分析!Good CX】は、そんな三寒四温の「寒」の時期に子どもが受診した「オンライン診療」について分析していきます。



深刻モードは突然やってくる

三月上旬の金曜日、寝る間際に小学校低学年の子どもが「今日は寒っ!」とふざけながら私の布団に入ってきました。年がら年中「暑い」と言って布団を蹴飛ばすのに何だかおかしいな?と思いつつ眠りに落ちました。

深夜二時、子どもの大泣きで目を覚ますと、39°Cの高熱と吐き気、腹痛で苦しんでいます。「胃腸炎・・?インフルかな・・・?」と調べている間に、少し落ち着いて眠り始めたので、とりあえず翌朝に病院に行くことにしました。

翌朝、かかりつけ医を予約。受診の準備をしていたのですが、子どもは立ち上がっただけで「気持ち悪い!」「歩けない!」「病院は無理!」と泣き叫びます。「おんぶも無理!」「車は酔うからいや!」と取り付く島もないので、ひとまず病院の予約をキャンセル。いろいろと調べたり、市がやっている健康医療相談ダイヤルに電話して思案した結果、すこし不安があるものの、初めて「オンライン診療」を試してみることにしました。


オンライン診療で「先生の助手」になった感覚

コロナ禍では「いざという時の手段」として認識だけはしていたものの、幸いお世話になることはなかったオンライン診療。コロナも落ち着きはじめてからは、私にとって「急を要さない症状で受診して、薬がもらいやすくなるもの」といったイメージ。特に使ってみようと思ったこともありません。

いろいろ検索する中で、小児科診療に特化したオンライン診療サービスを使ってみることに。アプリの登録も、予約も、症状の問診記入も、すべてアプリ上でスムーズに進みます。その後、最短で診療できるのが10分後ということで待っていると、ほぼほぼオンタイムで我が家の順番に。専用アプリにビデオ通話が着信して診療開始です。

事前の問診情報を確認しながら、先生が気になることを確認していきます。主訴のひとつに「腹痛」があったのですが、画面越しに「お父さん・お母さんが、ご本人のお腹を押してあげてください」と促され、痛いところや張ったところはないかを遠隔で確認します。どういう基準で報告してよいかわからないので質問すると、具体的な例を出しながら説明してくれます。突然、先生の助手になった感覚です。

その他に、こちらからの疑問や質問を適宜確認してもらいつつ、先生の見立てた病名候補に加えて、見立てた理由まで丁寧に説明してくれます。結果的に「ウイルス性胃腸炎」が濃厚との診断で、吐き気止め、解熱剤、整腸剤を処方されました。「インフルエンザは発熱後24時間経たないと判断できないので、気になる場合は、明日の朝にドラッグストアで検査キットを購入して検査してください。陽性だったら、改めて予約をしてもらえば、抗インフル薬も処方できます」との補足説明で不安も和らぎます。

その後は、指定していた薬局にオンライン診療サービスからFAXが届くので薬を受け取りに行く、という流れです。胃腸炎、インフルエンザ、溶連菌、他にもいろいろと流行っているこの時期、確定診断はそもそも難しいと思っていましたが、とりあえずは納得のいく見立てと説明にひとまずホッとしつつ、薬局に向かうことができました。


リアルの病院と併用がベター

週が明けて火曜日になっても高めの熱が続いたので、改めて最寄りのかかりつけ医を受診。問診や触診、視診をしてもらった結果、「おそらく胃腸炎とインフルエンザのダブル感染だったかもしれませんね。少しずつずれる形で高熱の波が来たのかも」という診断で、お薬をもらい、その後は快調に向かっていきました。「オンラインだけでは、なかなか難しい面もあるな」と思いつつ、「初期対応としてリアルの病院と使い分ければ、いいサービスかもしれない」とも思いました。

ちなみに、かかりつけ医に行く際にも、オンライン診療サービスの配慮がありました。利用の1-2日後に、領収書pdfが発行されるのですが、同時に「かかりつけ医への紹介状pdf」を作成してくれているのです。問診記入時にかかりつけ医の記入欄があったものの「なんでかな?」と考える余裕もなく入力をして以降すっかり忘れていたので、紹介状のダウンロードURLが送られてきた時は驚きました。おかげで申し送りもスムーズに済みました。


コロナ渦で急速に浸透してきた感のあるオンライン診療サービスですが、CX(カスタマーエクスペリエンス)の観点で考えると、オンライン受診の前後までしっかり考慮して安心感をもたらしてくれるサービスとして組み立てられていることがわかりました。


・受診検討時:真冬に子供の体調が芳しくない時、病院に行くと逆に何かをもらいそうで軽いうちは敬遠することもあるが、オンライン診療だと気にすることなく受診できる。(いわば「プレ受診」によってもたらされる安心感)

・オンライン受診中:通常の受診に比べて、オンライン診療では気持ちにゆとりをもってやりとりができる。(待合がなく後の患者さんに気を遣わずに済む安心感)

・オンライン受診後:受診後すぐに、薬局で処方してもらえる。(市販薬で必要以上の症状を広くカバーするのではなく、症状に応じた処方薬がある安心感)

・リアル受診前:紹介状など、リアル受診に備えての配慮がある。(プロ同士の橋渡しによる安心感)


例えば、このような配慮が行き届いているのは、ただでさえ不安な患者や家族にとって、とても素晴らしいCXだなと思いました。


子どもの症状がひと段落した後、「そういえば24時間対応って書いてたな。どうやってるんだろう?当直制?」などと思って調べてみると、子どもがかかった先生は現在なんと海外留学中。「時差」を利用して24時間体制を整えているようでした。

いろんな意味で、「オンラインのベネフィットをフルに活用しているサービス」なんだな、と思いました。


(執筆者:エクスペリエンスデザイナー 小幡 友)

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