手鏡 おひや

みじかいお話を書いたり、日記を書いたりしています

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最近の記事

【日記】他人のお家の前に置かないでください

今日はお茶を淹れる元気があんましなかった。そんな日もある。 近いうちに引っ越しをしようと思っていて、家探しでてんやわんやしている。まだ引っ越しの時期まで余裕があるので、めちゃめちゃこだわって探している。 そんな家探しの中、少し気になる家があった。 家賃が他と比べてちょっと安い家。元々かなり古い家なのもあって、2DKで家賃が4万円を切っていた。 「実は、ちょっと安いのには理由がありまして……」 不動産屋さんのお兄さんが言った。もしや、これが噂に聞く事故物件というやつなの

    • 【日記】日焼け止め

      まだ4月だというのに、日差しが強い。はちゃめちゃに強い。慌てて家を出たせいで、日傘を忘れてきてしまったことが悔やまれる。私は残り少なくなった日焼け止めのチューブを端を摘まんでぶんぶんと振り、適量手に出す。 この「適量」、私は未だによくわかっていない。先日見たサイトには「パール2粒分」と書かれていた。なんだよパールって、パールなんて貧乏社会人の家にはねーよ、と多分誰もが思うであろうことを私も例外なく思う。ちなみに、そのサイトには下に小さく「※パール1粒約1cc」と注意書きがあ

      • それは非常に巨きい箱であった。箱と云うには余りにも巨大であり、然し箱としか表現の仕様がない。 「あの、済みません」 箱に近付く男性に声を掛けるが、此方に視線を向けることなく通り過ぎて行く。先程からずっとこうであった。誰に話し掛けても、誰一人として返事を寄越すことはない。まるで私のことなど視界に入っていないかの様に。 「そんな訳無い」 他所から移り住んだ私に対する嫌がらせだろう。再び箱に目を戻し乍ら呟いた。兎に角巨大な其れには繊細で煌びやかな模様が彫られているが、何処と

        • ピルクルと唐揚げ

          「前田、割引券いる?今日までなんだけど。1000円以上買い物でどれかひとつ15%オフ」 仕事終わり、先輩が近所のスーパーの割引券をくれた。先輩は、私が以前に「豚肉は高いから基本的に鶏むね肉で生活してます」と言ってから、ちょくちょくご飯を奢ってくれたりとかこうして割引券をくれたりとかする。何度か「私、別に生活苦ってわけじゃなくて……」と伝えたが、先輩は決まって「好きでやってるからいいんだよ」と私の頭を撫でる。うーん、子ども扱いされている気もするが……ま、じゃ、遠慮なく。 そ

        【日記】他人のお家の前に置かないでください

          【日記】推しどこメモリアル

          皆さん、推しはいますか? いる人もいない人もいるとは思いますが。 私には推しがいます。バンドが好きなので、推しはほぼバンドマンです。 ただ、崇拝しているバンド「己龍」は活動休止中です。 また、はちゃめちゃ好きなバンド「オメでたい頭でなにより」もじきに活動休止予定です。 本人たちからのコメントから、恐らく正式な復活はないであろうことを察しました。 さらに、最近好きになったバンド「リバイバルクロニクル」のドラムさんが脱退してしまいました。 悲しい。 生きる原動力が、

          【日記】推しどこメモリアル

          【日記】八方美人な友人と私

          先日、「我が儘は君が為」という短いお話を書きました。これは実話を元にしたフィクションですが、私なりに「心」について考えたお話です。 私は、えらい八方美人です。全ての人に良い顔をしたい、良く言えば「社交性がある」悪く言えば「コウモリ」。 でも、よく聞くこの「良く言えば」「悪く言えば」、これ、どっちもあんまし納得いかない。 だって、周りに良い顔をしたいってそれ、社交性かな? goo辞書によると、 少なくとも私の場合は、全ての人に良い顔するコミュニケーションに少なからず疲れ

          【日記】八方美人な友人と私

          我が儘は君が為

          「来週さ、ディズニー行かない?てか、行こ。チケット取っとくね」 みこからのLINEは、いつだって少し強引だ。私は少しだけ笑ってから、どう返すか頭を巡らせる。 「そう言いながら返事くるまで待ってるくせに。笑」 「もちろん行こ!超楽しみ!!」 返信を終えるとスマホを机に伏せ、小さくため息をつく。実は、人混みはあまり得意ではなかった。それに、ディズニーも実はそんなに知らない。せっかくみこが誘ってくれたのを無下にはしたくなくて、LINE上では快諾してみせたが、やっぱり少しだけ気

          我が儘は君が為

          【日記】GO!GO!MANIAC

          今日は少しギターの話。 私が最近使っているギターはピックアップ(下の画像の真ん中らへんにある、2つの銀色の四角)がワンタッチで交換できるという中々見ない機能がついている。 (ピックアップとは、弦の振動を電気信号に変えてくれる、ギターにとってのマイクみたいなやつ。これが変わると音が変わる) 購入の決め手は見た目のかわいさ、芯のあるじゃきじゃきした音、24フレット、2ハム、弾きやすさ等々たくさんあるが、一番の理由は好きなバンドのギターの方が使っていたこと。 こちらのバンド。

          【日記】GO!GO!MANIAC

          【日記】買ったはいいものの、全然飲んであげられていないお茶たちを飲む日【ティーバッグ編】

          買ったはいいものの、全然飲めてないお茶たち、通称「積み茶」。私これめっちゃある。 お店行くとつい嬉しくなって何でも買っちゃうけど、自分の消費スピードを考えず収集してしまうので、家の総茶量は増えるばかり。 我が家の積み茶代表は個包装のティーバッグ。「いつでも気軽に飲めるし」とか思って一生飲まない。あと個包装のティーバッグは知人などからプレゼントとして貰うことも多いので、どんどん積まれていく結果に。 今までずっと目を背け続けていたけれど、ちゃんと飲まなきゃお茶たちがかわいそ

          【日記】買ったはいいものの、全然飲んであげられていないお茶たちを飲む日【ティーバッグ編】

          【日記】前田優季をよろしく

          今日も少し日記を書こうと思います。紅茶を飲み終わるまでの少しばかりのお時間、お付き合いいただけますと幸いです。 今日のお茶はLUPICIAの「跳ねて龍」。新年のお茶ということで味からもう賑やか。でも余韻はくどくなくてすっと消えていく、まるでお正月の騒がしさと終わり際の寂しさが浮かんでくるようです。そんな紅茶。 ◇ ◇ ◇ 先日友人が結婚したそう。超めでたいよ。すごいよ。よかった。本当によかったね。私ちょっと泣いちゃったよ。 ただそれよりすごいなと思っちゃったのが、相手が

          【日記】前田優季をよろしく

          同じ穴の川獺

          その日はなぜかいつもより少しだけ早く目が覚めた。昨夜、休みの前日だからと久しぶりに酒を口にしたせいだろうか、どうやら眠りが浅かったらしい。大きくあくびを2回、その勢いで 「Alexa、おはよう」 と我が家の働き者に声をかける。彼女(?)はいつも通り抑揚の乏しい言い方でおはようございます、と返事した後ニュースを読み上げてくれる。いつものルーティンだ。 流れるニュースを8割方聞き流しながら、電気ケトルにたっぷりの水を注ぎセット。そのまま食器棚からホットサンドメーカーを取り出

          同じ穴の川獺

          訪問者

          友人とzoomで話していると、突然友人が部屋の電気を消した。理由を問うと、 「この時間帯、電気消してないと来ちゃうんだ」 と言った。 「……来るって、虫?」 「いや、何だろうね……インターホンが鳴るんだ。出ちゃうとだめらしいから、息を潜めてやり過ごすの。それ、耳は聞こえないらしいんだけどね」 でも私も半信半疑よ?だって親からそう聞いただけで見たことないしね、と彼女は事も無げにそう言って、からからと笑った。 それから十分ほどして、画面上の彼女は光を取り戻した。 彼

          【日記】会話ってなんだろう?

          最近、思考することが増えた。 というより、余計なことを思考する余裕が出てきたというべきなんだろうか。 とにかく、ここ数日の私は日々様々なものに思考を巡らせながら生活している。 先日、反出生主義について知った。存在そのものは知っていたんだけど、別に興味なかったし、「つーか今ウチらが生きてるっていう事実が大事じゃね?」って思ってた。ていうかまだ思ってるんだけど。 でも、「ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語」を読んで、面白い考え方だなって思った。そんで読んでみるまで知ら

          【日記】会話ってなんだろう?

          【日記】紅茶が冷めるまで

          久しぶりにじっくりと紅茶を淹れてみた。すると、今のもやもやとか感情を吐き出してみたくなった。ので、紅茶を飲み終えるまで文字を打ってみよう。もし良ければ、お付き合いいただけますと幸いです。 そんで早速感情とかじゃないんだけど、今日がクリスマスイブであることに、さっき気が付いた。パートナーのいる友人にめっっっちゃめちゃにどうでもいいLINEを送ってしまったのを今すごい後悔してる。邪魔してごめん。どうぞ無視してくれ。 当の私はというと、浮いた話のひとつもない。それどころか、反出

          【日記】紅茶が冷めるまで

          縊鬼

          想いは零れ、螢の如く揺らめく。 其の軌跡が首に纏わり、音も無く締めた。 独法師でも彷徨い、踠く事は出来るから。 永い旅路に捧ぐ餞は、貴方が私に呉れた言の葉ひとつ。 「斃れ」

          恋慕

          貴方を恋い慕います。 其れは何処迄も穢い感情で、私の心は何時迄も晴れないのです。 貴方の視線の先に私が居ない事が苦しい。 貴方の笑顔を私が見られない事が悔しい。 貴方の心に、私の居場所が無い事が憎い。 如何して? 「……」 貴方を乞い慕います。 私には、貴方の幸せなぞ興味が無いのです。 唯、其の優しい瞳を私に向けて…… 朗らかな声を私に聞かせて…… 私を愛して。 私の為だけに生きて欲しい。 其れが叶わないのならば、殺して仕舞いたい。 如何か、貴方の記憶と私の「生きた証」を