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25歳、日本人、紆余曲折あり冬が惨めなロンドンに別れを告げシンガポールに住んでいます。

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25歳、日本人、紆余曲折あり冬が惨めなロンドンに別れを告げシンガポールに住んでいます。

マガジン

  • 21歳、世間知らずが旅に出た

    洗濯機の使い方も知らなかったある女子大生が、1人でふらっと旅に出た話。 ※全てノンフィクションです

最近の記事

“ココシャネルという生き方”という本に11歳の時に出会った

シンガポールに引っ越す時に、本当に大切な本だけ持ってきた。ビンテージのシェイクスピアやフィッツジェラルド、チェーコフなどの書店で手に入らないもの以外はほとんど置いてきた。それなのに、この1000円もしない一冊の薄くてボロボロの文庫本は、そっとスーツケースの奥底に眠りはるばる東南アジアまでやってきた。 私がこの本に出会ったのは小学校6年生の時だった。義務教育全てが嫌いで嫌いで仕方なかった私は、とにかく日常のほとんどに飽き飽きしていた。少しでも人と違う事を言えば腫れ物扱いされ、

    • International Woman’s Dayについて思うこと

      難しい問題だし誰にもoffensiveにならないで表現するのは不可能かもしれないけどやはり今の時点で自分がどう思っているかをここに残そうと思う。 10代の頃その存在を知った時からなんだかなぁという気持ちをモヤっと抱いていた。私はおバカで呑気だから”男とか女とかじゃなくてみんな一生懸命生きてるだけで素晴らしいよ毎日セレブレーションしよう”って思ってるというのが表向きの理由だったけどどうやら今はそれだけではないらしい。 2020年から2021年にかけて、ロンドンの演劇学校に通

      • もう外国人風とかハーフ風って言われなくていい開放感、だって外国人だから

        ロンドンに戻ってきて2ヶ月半くらいが経った。といっても最初はヨーロッパをフラフラしていたので丸々2ヶ月半は経っていないけど。家があって、学校があって、友達がいて、すっかり日常がここにあるのもなんだか変な気分だが最近気がついたことがある。 日本にいる時、サロンや着物、コンテストなどのモデルをしていた。その時ハーフみたいとか外国人風と言われることに違和感を感じていた事はどこかに書いたことがあるかも知れない。日本語が下手くそかもしれないけど私は日本人だし、両親も祖父母もその先祖も

        • 子供の頃眠りにつけなかった時のことをふとロンドンで思い出した話

          「親知らずが痛くて向かい合って眠れないんだ、ごめんね。」 親知らずのせいで滑舌も普段と違う彼が私に背中を向けて申し訳なさそうにそう言った。あまりに痛そうで気の毒だったから、場所変わったら向き合えるよなんて単純な解決案はそっと胸にしまい込み、気にしないでとだけ伝えた。私も疲れていたからウトウトしていたら、彼が背中を器用にねじらせて、右手で私の左手を握った。それがなんだかとても懐かしくて、でもなんで懐かしいのかをしばらく考えたら、ふと子供の頃のことを思い出した。 私が7歳くらい

        “ココシャネルという生き方”という本に11歳の時に出会った

        • International Woman’s Dayについて思うこと

        • もう外国人風とかハーフ風って言われなくていい開放感、だって外国人だから

        • 子供の頃眠りにつけなかった時のことをふとロンドンで思い出した話

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        • 21歳、世間知らずが旅に出た
          7本

        記事

          表現するという運命

          世界的なパンデミックをもたらしている、新型コロナウイルス。世間の自粛や休校モードの影響を受けて、3/1-3/14の間、バレエのレッスンとリハーサルが中断を余儀なくされた。2週間スタジオから離れることは、おそらく生まれて初めてだったと思う。休暇をとってバケーションに行く時も、必ず現地でレッスンが受けられる場所を選んでいるし、バレエの夏休みや冬休みは、長くても1週間程度だからだ。それ以上は、バレエの性質上不可能と言っても過言ではない。”1日休めば自分がわかる、二日休めばパートナー

          表現するという運命

          Scotch Egg

          Preface to “Scotch Egg” As many writers in history have probably done, although this is called a preface, I am writing this after composing the poem itself. If you prefer to read the poem first to interpret in your own way, I highly rec

          Scotch Egg

          Parasiteを見て

          外国映画ながら、今年のオスカーでBest Pictureを受賞したParasite。韓国映画は見たことがなかったし、韓国ドラマだって、脳細胞の出番のないレベルの軽いラブコメをジムでランニングをしながら見るくらいなので、俳優陣も存じ上げないし、監督に対する印象もなしで、興味本位で見てみた。衝撃の不快感だった。 見終わった後の、簡単には表現しがたい胸糞の悪さが評価されているのか、あるいは違う理由で話題となっているのかは私にはわからないが、これを面白い!の一言で片付けて見ている人

          Parasiteを見て

          マーガレットサッチャーへのノスタルジーと現代フェミニズムへの疑問

          4年間国際関係学を学んできたけれど、政治は嫌いだ。見ているだけでうんざりする頭の悪い駆け引きと人間の醜い部分だけをハイライトしたような泥沼化した状況は、まさに地獄絵図と言っていいだろう。歴史的観点から見たフランス革命やロシア革命などには興味があっても、今日の政治には正直なにも期待していない。 そんな私にも尊敬する政治家がいる。イギリスの第71代首相、マーガレットサッチャーだ。とは言っても彼女に対する尊敬は政治家としてではないのかもしれない。彼女は保守派であり私は個人的に

          マーガレットサッチャーへのノスタルジーと現代フェミニズムへの疑問

          リアルである事の大切さ

          奇跡と言っていいかもしれないけれど、明日が初稿締め切りの卒論があと1時間もあれば終わるところまで来ている。急に気が抜けたので、少しこの4年間で、モデルの仕事を通して感じた事をここに書き留めてみる。 ありがたいことに、ひょんなことからサロンでモデルの仕事を始めさせていただいたのが大学1年の春なので、もうそろそろ丸4年が経とうとしている。サロンやスタジオでの撮影、着付けやヘアアレンジコンテストのモデル、ランウェイでのウォーキング、そして夢のようなパリでの撮影(上の写真)まで本当

          リアルである事の大切さ

          アバンチュールと創作活動の関係性

          あと2日で今年が終わる。今年の数々のクライシスと文学マイナーというバックグラウンドから学んだ面白い法則について、ここに残しておきたいと思う。ちなみに、卒論はまだ終わっていない。そっちを早く終わらせろという批判は喜んで飲み込む。 古今東西、どこに行っても作家という人たちが存在した。空を見上げて恋しい気持ちを歌にした和歌人や、王族に向けて芝居を書いた劇作家、はたまた混乱の時代に命をかけてストーリーを世に生み出した小説家など、その数は計り知れない。個人的な話をさせていただくと、私

          アバンチュールと創作活動の関係性

          理想に対する疑問

          “事実は小説より奇なり”という言葉があるが、全くその通りだと思う。詳しくはNoteを遡っていただければと分かるが、私は夏にある人のことが好きだった。その時は夏の夜の嵐が木に落とした雷のような感情が溢れて、確かにちゃんと好きだった。ところが4ヶ月の時を経て日本から6000マイル離れた地で再会した時、もうそれは真夏の夜の夢ではなくなっていた。不思議なものだ。 私たちは11月の終わりのロンドンで再会を果たし、素敵なデートをした。テートモダンの展望台からロンドンを見渡し、現代アー

          理想に対する疑問

          “マチネの終わりに”を読んで

          読書感想文なんて、中学生以来かもしれない。思えば昔から、書くというプロセスは、考えて考えてゆっくりと進めることができるから好きだったし、読書は子供の頃、身の回りのほとんどの事に飽きていた私に逃げ道を作ってくれていたから、宿題の中で唯一進んでやったのが、読書感想文だった。人から課題として与えられる事のほとんどを嫌っていたのに、いざ義務でなくなると好きなのにすっかりやらなくなってしまうのは、悲しい事だったのかもしれない。 さて、7ヶ月ぶりに読んだ選ばれし日本語の小説、マチネの

          “マチネの終わりに”を読んで

          割れたマカロンとフランス人の働き方

          私の大好物は、ピエールエルメのマカロン。日本にも複数店舗あるけれど、どこに言ってもこれ以上ないくらい日本式の接客を受ける。律儀で、腰が低く、隙がない。パリのピエールエルメは違った。おもてなしなんて必要ない。対話こそが接客であり、彼らにはそれが接客という意識もないのかもしれない。 オペラ座通りのピエールエルメ。オペラ座でバレエを観た帰りだったので、お気に入りのドレスで着飾っていたからかもしれない。何となく晴れ晴れとした気持ちで、ハイヒールをコツコツ鳴らし、お店に入った。店員

          割れたマカロンとフランス人の働き方

          パリのアメリカ人

          それは、パリに着いた日のことだった。パリでアメリカ人と夜中にエッフェル塔を見た。三色旗色にライトアップされたエッフェル塔の下のベンチに座って、ただただパリのシンボルを見つめた。 そもそも、引き寄せられるようにして迷い込んだジャズバーがその夜のジャックポットだった。ジャズバンドの奏でる音楽を聴きながら、ダンスフロアを見つめ、パリとジャズという化学反応に浸っていると、パリジェンヌが2人、話しかけてきた。フレンチ訛りだけれど流暢な英語を話す彼女たちは、私が1人で放浪していること

          パリのアメリカ人

          お金で買えたThank you

          フランス人がフランス語しか話さないのは有名な話。本当にわからない人もいるし、それ自体は何1つ悪いことではない。オペラ座などの外国人で賑わっている場所では英語が通じるけれど、一歩路地裏に迷い込めば耳馴染みのある言語は聞こえてこない。駅もバスも殆どがフランス語表記のみだ。そんなパリで乗ったタクシーでお金の力を見に染みて感じ、虚しくなった。 オペラ座でバレエを観て、オペラ座通りで買い物をし、夜ご飯をテイクアウトし、アパルトマンに帰ろうとした時の事だった。近くでUberが捕まらず

          お金で買えたThank you

          言えず終いのI love you

          ロンドンの中心部に位置するwarrant street。私が滞在していたアパートがある場所。I love youを置いてきた。盛大な忘れ物。 詳しく書いてしまったら溶けそうで、無くなりそうなので書かない。というか書けない。22年間生きてきて、こんなに夜が更けて欲しくないことも、朝が来て欲しくないことも、さよならを言いたくないこともなかった。いつも直感で生きてきたからこそ、自分の直感に従うしかないし、それが正しいかは誰にも分からないこと。ただ一つ言えることがあるとするならば

          言えず終いのI love you