リタイア候補地3 アイルランド

アイルランド

夫の母国がアイルランドなので、リタイア候補地としては有力なのですが、これまでアイルランドでリタイアなんて全く考えられなかったのは、ひとえに一年中雨で肌寒い天候のせいでした。でも最近考えが変わってきて、特に今回3年ぶりに訪れて確信したことがあります。温暖化でスペイン、ポルトガル、イタリアなどの暖かい国々の酷暑が年々深刻となる中、今まで夏でも寒かったアイルランド、イギリスの夏がとても快適になってきたのです。ここ10年で夏の天気は格段に暖かくなり、夏服で過ごす気温が夏中続くという昔からしたら考えられない状態になりつつあります。日本人がアイルランドでリタイアするメリットはそうないかもしれませんが、ご参考までに。ちなみにアイルランドの状況はダブリンとそれ以外の地域で全然違いますが、私の視点はダブリン以外のアイルランドのものとなります。
アイルランドのメリットといえば英語圏だということ。50歳過ぎてから外国語を一から学ぶ意欲はあまり無いので、英語圏というと結構限られます。また、ヨーロッパでは珍しくあまり高齢化の問題が深刻ではなく、若者が多いのでしばらくは三角形の人口ピラミッドが維持されそうです。自分がこれから老人になっていくのにこういうのは変ですが、老人ばかりの風景よりも若者や子供が沢山いる風景のほうがより気持ちがいいものです。2022年現在はドル高ユーロ安なので物価は比較的安く、外食もイギリスより割安です。物価的にはもうアメリカよりも格段に安いと感じます。伝統的には酪農が盛んな農業国で食料自給率100%以上なので、食料品、特に乳製品は美味しいです(Kerry Goldというアイルランドのバターは昔からある普通のバターですが、グラスフェッドバターとして外国でも人気の商品です。)。田舎はきれいで広々としていて素敵だし、何よりも空気と水が綺麗なのは高得点ポイントです。夫の実家は水道ではなく井戸水ですが、そこらで買うミネラルウォターよりも美味しいです。ドイツから来た友人はアイルランド(日本もそうですが)のレストランでは水(水道水)が無料なのを驚いていました。これから温暖化が進んでいくとどうなるか分かりませんが、アジアのアウトドアの難点である蚊が全くいないのは素晴らしいところ。特に夏は9時ごろまで明るいのでアウトドアを存分に楽しめます。又、年中雨が降っているので国中が緑であふれていて、降雨量は多いのに緯度のせいか湿気はなくカビもほとんど発生することがありません(香港なら2日で食べ物にカビが生えます)。又アイルランドは階級社会ではなく人は基本的にフレンドリーです。国自体も中立を保つスタンス(第一次世界大戦時はイギリス統治時代だったのですが、独立後の第二次世界大戦は参戦せず)で、紛争に巻き込まれる可能性は低いです。北アイルランド問題はまだ解決していませんが、昔のようなテロが横行する時代に逆戻りする可能性は少ないと思います。
こう書いていくとこんな素晴らしいところがあるのか!という感じですが、アジア人の私としては、ダブリン以外にはアジア人は少なく、アジア料理のレストランの数は限られるし、クオリティが低いのは寂しいところ。ダイバーシティという意味ではポーランド人移民が目立つぐらいで、圧倒的なアイルランド人社会です。でもこれは必ずしも悪いことではなく、他民族の大量流入によって社会が大幅に変化してしまうリスクは低いです。外食はここ10年で格段に改善しましたが、以前は不毛の地でしたし、今もどこでも美味しいごはんが食べられるとはいえません。そして夏は快適になってきたというものの、冬の惨めさが改善したわけではなく、温暖化のせいか以前にはみられなかった台風のような嵐が来るようになり洪水リスクも高まっています。税金も高く、所得税40%のレートはなんと年収38,000ユーロ(約450万ぐらい)から。これにプラスいろいろな社会保障等が上乗せされほぼ50%になります。税金が高い割に行政サービスはいいとはいえず、ゴミ収集は有料(年間380ユーロ程度)、日本の介護保険のようなきめ細かい高齢者サービスを無料(又は微々たる料金)で受けることは出来ません。基本的にはイギリスのNHSのような国民皆保険制度がありますが、保険で受ける医療は順番待ちが長く、ある程度の収入がある人はほぼ民間の保険に入っている状況です。又、東南アジアと同じようにアイルランドの業者は皆がきちんと真面目に仕事をするわけではないので、信頼できる業者を見つけないと苦労することになります。治安は悪くはありませんが、麻薬問題は深刻なので女性の夜独り歩きは無謀ですし、長く留守にしていると空き巣リスクは高いです。
ということで、アイルランドは夏季限定で住むには素晴らしいところだと思いますが、通年で住むのはクエスチョンマークという感じです。

まとめ

プラス点
比較的物価が安い
英語圏
田舎は比較的安全
豊かな自然
綺麗な空気と水
人口が少ない(500万)のでごみごみしていない
食料自給率100%以上
基本的には中立国なので、紛争に巻き込まれる可能性が低い

マイナス点
冬は惨め
公共サービスはあまりよくない
税金が高い
若者の麻薬問題は深刻
2022年現在住宅の供給不足で不動産価格高騰、賃貸物件不足
長期自宅を留守にすると空き巣リスク有
アジア食は不毛の地(ダブリン以外)
マニュアル車が主流(私はオートマしか運転しないので)


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