コロンビア

コロンビア
 
コロンビアではメデジンとカルタヘナに滞在しましたが、諸事情で一か月半以上滞在し、予定よりもメデジンに長居することになりました。コロンビアはパブロ・エスコバルのような麻薬カルテルのイメージが強く、治安も悪そうだしあまり期待値は高くなかったのですが、ボリビアからメデジンに到着したときは空港から市内に向かう時に長いトンネルがあり、それだけでもびっくりしましたが、トンネルを抜けたら大都会の夜景が広がっていて、こんなに発展している国なのかと驚きました。チリから来たらそう違和感はないのかもしれませんが、高級モール、おしゃれなカフェやレストラン、整備された公園等々、ボリビアから来ると雲泥の差でした。物価も安く、ご飯は美味しく、しかもメデジンは常春の国と言われているだけあり、毎日丁度良い気温で湿度も低く、大変過ごしやすい所でした。メデジンは欧米人のデジタルノマドに人気があるようで、カフェはラップトップで仕事をしている若者でいつも満員でした。
こう書いていくと素晴らしい所のようですが、コロンビア最大の問題は治安です。私達はメデジンでLaurelとEnvigadoという比較的治安がいいと言われているエリアの民泊に滞在しましたが、Laurelではちょっと道を外れると治安が不安なエリアで、歩く時も緊張感がありました。夫はランニングが趣味で近くのEl Voladorというハイキングも出来る丘に毎日ランニングに行っており、私も一度一緒に行って景色を楽しみました。が、後日コロンビア旅行に関するFacebookグループで外国人がそこで強盗に遭ったという投稿があり、それに対するコメントが全て“なんでそんな危ない所に行ったんだ、自業自得”、“日曜日の大勢の人がいる時間帯以外行くべきではない”というもので驚きました。私達は携帯や財布を持って行ったにも関わらず何の被害もありませんでしたが、これは運がよかったとしかいいようがありません。観光地として挙げられている植物園に行った際も、帰りにUberを呼ぼうと夫が携帯を出したところ、通りがかりの現地の人にこんなところで携帯を出すものではないとたしなめられました。結局流しのタクシーに乗りましたが、安全とされているUberを呼ぶのに携帯を使うリスクと流しのタクシーに乗るリスクのどちらが高いのか微妙でした。Envigadoのエアビーは24時間警備員常駐のマンションで、以前住んでいた香港のマンションもそうでしたが、コロンビアでは警備員常駐の安心感とメリットが段違いにありました。コロンビアに数年住んでいる日本人にも会いましたが、彼はスリや強盗は未遂を含めると何回も遭遇しているとのことでした。中南米旅行中、マネーベルトを使った唯一の国はコロンビアでした。
そうはいってもコロンビアの治安は以前に比べて劇的に改善しています。長い間カルテル、左翼ゲリラ、右派武装集団等々の抗争で治安が最悪だった国が、政府の麻薬カルテル対策に加え、様々な革新的な都市再生計画が効を奏し、観光客、デジタルノマドが来るまでになったのは素晴らしいと感じました。例えばダウンタウンの治安が悪かったエリアにアーティスティックな照明を多く置き、図書館や公民館を立て、人々が健全に集まれる場所に作り替えたところ、治安が格段に向上したそうです。かつて悪名高かったコムナ13というスラムエリアは今では観光地となり、エスカレーターで高台に上りながらカラフルな壁画やストリートパフォーマンスを楽しむことが出来ます。コムナ13にある公立学校はとてもモダンで素敵な建物でしたが、それは学校嫌いの子たちが通いたくなるような場所にするという意図で建てられたそうです。このような施策のお陰でコムナ13ではギャングになる若者は激減し、今では皆コムナ13を案内する観光ガイドになりたがるそうで、今はコムナ13から引っ越したがる人は少ないとのことでした。メデジンはすり鉢状の盆地で、貧困層ほど中心地から遠い高台に住みますが、ケーブルカーが公共交通機関として設置されて以来、貧困層の人達が仕事に通い易くなり(ケーブルカー以前は中心地に行くのに片道2-3時間かかった)より就業率が上がったそうです。ケーブルカーには何度か乗りましたが、本当に険しい急斜面で、上り下りはさぞ大変だっただろうと想像できました。メデジンにはコロンビアで唯一メトロ(地下鉄ではなく電車)が通っていて便利なのですが、メデジン市民はメトロを誇りに思い心から大事にしているということで、駅も電車車両もグラフィティひとつなく綺麗で、車内で飲食をしている人もいませんでした。ギャング、マフィア、麻薬中毒者や軽犯罪者が多い中、これは奇跡的なことで、市民のメトロ愛が伝わってきました。
カルタヘナは観光地なのでメデジンとは全く違い、観光客目当てのぼったくりビジネスも盛んでしたが、その反面治安はメデジンよりは良いと感じました。旧市街は美しく異国情緒溢れていますが、湿度が高く暑いので過ごしやすいとは言えませんし、観光で1週間ぐらい滞在するだけで十分だと感じました。又、騒音レベルは中南米滞在地No.1といった感じで、騒音が大嫌いな夫はオートバイの爆音、クラクション、大音響の音楽に常に悩まされていました。これはメデジンでも同じです。
コロンビア人はとてもフレンドリーで人当たりがよく、サービス業に向いていると思いました。現地でツアーに何回か参加しましたが、メデジンのガイドは皆コロンビアの悪いイメージが改善してこのように観光客が来てくれるようになって嬉しい、コロンビア=麻薬でなくなってほしい、と言っていました。個人的には治安はまだまだ改善の余地ありですが、他の国と比べてコロンビアでは治安改善に政府、自治体がありとあらゆる努力をしている印象があり、是非これからもいい方向に進んでほしいと心から思います。治安がネックなので自分が住むか、といわれればノーですが、短期、長期滞在には十分快適な所ですし、治安が改善すれば第二のコスタリカのようになること間違いなしの国だと思います。
 
プラスポイント
物価が安い
スペイン語は習得が比較的容易
食べ物が美味しい
国内旅行先が豊富
人はフレンドリー
メデジンは気候が良く発展している

マイナスポイント
治安は良いところでも微妙、所によっては危険
騒音(車、音楽)

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