17-18

小さい頃は、深夜2時や3時は存在しないものだと思っていた。夜はばけものとおもちゃたちの時間だと思っていた。いつからだろうか、深夜を誰かと通話して過ごし、眠剤を飲み、朝方に眠る。白み始めた空は、白み始める、より朱色の方があっているかもしれない。朱色に滲んだ空は、あの夏の、隣の家に住む女の子の頬を彷彿とさせる。
好きな曲を一曲再生した。二曲目からは似たような、知らない曲が流れ始める。数曲その時間があった後に、なだらかにピアノで演奏されるクラシックが流れ始めた。わたしはそういう人になりたい。

今日で17歳が終わります。これまででいちばん苦しい一年でした。記憶がすっぽ抜けてる所もあります。記憶しかない所もあります。死ぬ時、17歳のことを思い出すのではないでしょうか。大好きだった友達が3人減り、生きがいだった部活を辞めて、自殺未遂を何度か繰り返し病院に運ばれ、精神科で喚きました。本当に辛い一年だった。この先の人生で、17歳よりもっと辛い一年が来たら、わたしは、その年がわたしの最期です。
18歳になってなにが変わるのか。煙草も酒もどうどうと出来ない。クレカも、いらない。1000円あればなんとか生き延びれます。結婚もしません。わたしは女の子が好きだから。
どこかで、18歳を わたし の節目にしていた。18歳で死のうとふんわり思っていた。でも実際18歳が近づくと、こんなにも呆気ないんだなあ、と。結局17歳のわたしも18歳のわたしもなにも変わらなかった。確かにあの時、わたしは、一緒に死のうね、と約束をしたはずだった。

もう希死念慮はかなり無くなりました。夜寝る時に死んだあとのことを考えて、入眠するのも無くなりました。授業中に泣かなくなったし、昼休みにカミソリと絆創膏を持って手首を切ることも、せんせいのことを思い出すのも、随分減りました。でも、唐突に襲ってくる不安や後悔、せんせいへの気持ちが、わたしを薄黒くさせます。
せんせいのことは、まだずっと大好きで、愛してる。せんせい以上に好きな人ができたら、わたしはどうなっちゃうんだろう。喜怒哀楽すべてがわたしのせいであってほしい、と昔は思っていたし、せんせいだけは、誰のものにもならないでとも思っていたけれど。今は、わたしの中からせんせいとの記憶が、嬉しいことも悲しいことも、ひとつも無くならないで、と祈るばかり。

観たい映画リストをつくる。思いつくだけ書くと、ざっと30,40くらいに上る。いちばん最初に候補に上がった映画を、Amazonprimeを開いて、観る。5分で飽きる。
好きなアーティストが新曲を出す。YouTubeを開いて、聴く。前奏で聴くのをやめる。
新しいものは、疲れてしまう。半年くらい経って、色んな人が聴いて、観た後の程よく使い古された辺りでわたしがそのコンテンツを享受する。何故かするっと、身体に入っていく。わたしに新しいものは、向いていない。だから、100,200年前のクラシックを聴く。ブラームスが好き。エルガーが好き。サンサーンスが好き。身の丈に合っていないことは分かっているけれど、わたしはわたしを確立するために、これからもクラシックを聴く。昔からずっと好きなのは、『死の舞踏』。なにかの小説で、女子高生が教師を殺す場面で流れていた。あとは、『愛の挨拶』。素敵。最近は、『水の戯れ』『ワルツ第十五番変イ長調』をよく聴いている。やっぱり、ロマン派が、好き。

ここ最近ずっと元気だった反動か、急に鬱が襲ってきました。それか遅れてやってきた冬季鬱か。
あの時を思い出しそうでつらいので、ずっと映画を観てクラシックを聴いて、綺麗な文章を読み続けることにする。究極スマホは要らないな、といつも思っている。人間関係とか面倒臭いし、人との繋がりを断ちたいな。人と話すのは大好きだけど、できることならずっと本読んでたかった。
教室で、休み時間も昼休みもずっと本読んでるけどそこそこ友達がいる立ち位置になるまで、かなりの時間がかかった。本が、小説が好きなの、というと似合わない、意外すぎる、ほんとに言ってる?とよく言われるし、実際ブってるように見えるのかな。わたしは本当に小説が大好きで、そこら辺にいる人には絶対負けたくないな。プライド低いから人より劣っていても気にしないけれど、小説だけは負けたくない。

本当に好きなものは、手に入らない。なんでも手に入る世の中だから、手に入らないもの、入りづらいと感じるものに執着して、好きになるのかもしれないね。簡単に手に入るものなんておもんないからずっとせんせいのことが好きなのかも。3年前のせんせいがくれた言葉をまだ馬鹿みたいに信じて、もう会えないのに、せんせいはまだわたしのこと考えてくれるのかなって、ずっと信じてる。

twitter せんせいのツイート 気持ち悪いほど多い中の一部

もう3時になってしまった。
お葬式プレイリストでもつくって、目を瞑る。




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