マガジンのカバー画像

学校に関する諸々

27
教育や勉強法などについて書いた記事をまとめました。
運営しているクリエイター

記事一覧

知識の残し方いろいろ

こんばんは。今日は記憶のこと。 塾で暗記科目を教えていると、私の記憶法を改めて考えざるを得なくなります。いわゆる丸暗記が苦手な私は、なんとなくの位置関係で物事を覚えがちなのです。特に、単語帳はこの辺りにあった単語だ、みたいな覚え方をしてしまうせいで、肝心の意味とスペリングの結びつきがうまくいかないことがありました。 私の中にある記憶の付け方は、マッピングに似ている気がします。どちらかというと既有知識であるとか、誰かの発話とか、あるいはノートやプリントの文言など、そういうも

いつの間に学んで、いつかどこかで繋がって

こんばんは。今日は大学院の話です。 研究をしていると、いつまでも「あれもこれもやらないと」という気分になるし、「勉強が足りない」と思います。これはまあ自然なことだといえば自然なことのはずです。でも、実はちゃんとアカデミックの思考形式みたいなものはちゃんと自分の中に培われてきているんだな、と思うきっかけがありました。ごく簡単に言えばTAなのですが、受講生の提出した課題にコメントを入れると、今の話大事だよ、みたいな先生からのコメントが入ったのです。 例えば、意味の捉え方がふん

読みのアプローチ、記述のアプローチ

こんばんは。今日は国語の記述答案に関する話です。 久しぶりに大学受験の国語に触れて、受験生時代を懐かしく思いました。大量の文献を読むようになって、受験生の時に実践していた「問題を解く」ための読解ではない読みをしていたからか、少し変な感じがするものでした。 以前書いた気もしますが、いわゆる受験生としての私は、傍線部を部分に分けて都度言い換えるタイプの記述を得意としていました。解答に必要な要素は、ほとんどが傍線部に入っているという謎の信頼のもとにあったのです。もちろん、大体こ

異なる世界を見る面白さ

こんばんは。今日は私の知的好奇心の話です。 昨日ハイフレックスの授業を教室で受けていたことがきっかけで、同じ授業を受けていた留学生の方と教授と三人でコーヒーを飲みに行きました。私が全く知らなかった中国文学の一ジャンルの日本移入とその文学的影響を専門にされている方で、初対面ながらすごく面白いお話を聞かせていただきました。 人と話すことが好きだというのもあると思うし、知的好奇心が強いということもあると思いますが、私は他の人の研究の話を聞くのが結構好きです。あるときはフランスの

自分の進路選択を語った日

こんばんは。いつもより少し長めです。 昨日、母校でお話をする機会をいただきました。高校1年生向けの進路イベントで大学の学部選びのヒントになるように各分野に所属する大学院生や学部生のOBOGを呼ぶものです。私は文学分野の担当として呼んでいただきました。 50分話して10分質疑応答するのを2セット。事前にスライドを作って、どうせアドリブも入るだろうと軽く練習してから臨みました。内容としては、私が比較文学という学問領域に関心を持って大学で専門にするまでと、大学院での研究内容、文

ファンタジーで作問?

こんばんは。今日は思い出話からスタートです。 高校1年の頃古典を習っていた先生が、このような話をしていました。 「いつかファンタジーでテストの問題を作るのが目標なんだ」 彼はものすごい人で、「私は悪魔だから年齢を聞くな」とか、「私の発話は9割が反語と皮肉」「漢文とドイツ語を混ぜた日記を書いている」など、とにかく伝説が多く、進学校に進んだ1年生に洗礼を浴びせるタイプの先生でした。年に3回ある実力テストでは恋愛小説を出してきて、生徒が解けないと「朴念仁」と講評を返すような人

悪問の存在

こんばんは。今日はテストの話。 妹の共通テスト演習を見て、久しぶりに化学基礎の問題を解きました。謎の定義されていない言葉が出てきて、それを含む文について正誤判定する問題で、いまいち納得できなかったのでした(妹も納得していなかった)。 問題文を読んで、内容は理解したつもりだったけど、定義されていない言葉(教科書や資料集などには掲載されていなかった)を使うのはどうなのか、みたいなことを考えてしまい、ああ私も大学生の論理に染まってしまったなと思ったのです。 文学の用語にせよ文

勉強が楽しくなるとは

こんばんは。今日は授業中の一言から。 昨日、古典教育の実践に関する授業に参加しました。教授はおそらく「古典は本当に必要なのか」、通称「こてほん」で古典必修擁護派の1人として動いていた方なんだと思います。「こてほん」については以下の記事が参考になります。 この問いについては、授業を通じて自分の考えが見えてきたら書くつもりです。 今回はここではなく、「勉強や研究を楽しむこと」というテーマで書きます。 昨日その教授がおっしゃっていたことがありました。引用文の形にしていますが聞

睡眠不足とパフォーマンス

こんばんは。 久しぶりの夜更かしでした。バイトで時間がない上に、学習指導案を今日の朝8時までに提出しなければならなくて、とてもじゃないけど夜寝て朝やってたら終わるかわからない状態だったからです。学習指導案は作業時間が読めないことが多いので、仕方なく夜作ることにしました。 完成したのが夜中の1時。そこから色々準備をして寝たのがその20分後。起きたのが朝の7時なので、日頃11時すぎ就寝7時半起床の私にとっては、3時間近い睡眠時間の短縮になります。 結果、今朝どうなったかとい

人の学びから学ぶ

こんばんは。本当は、昨日のワクチン接種からの経過を書く予定だったのですが、拍子抜けするくらい三角筋の筋肉痛以外の副反応が出ないので、今日は書かずに、別のことを書こうと思います。 今日、教育実習のまとめの会がありました。今年はオンライン開講。教科ごとに集まって、それぞれの実習で何を学んだか、実習校の様子などを報告し合う会です。 それで気づいたのは、やはり学校が違えば雰囲気も変わるんだなあということ。例えば、都立高校は緊急事態宣言下で分散登校になり、オンライン授業も行われてい

「手で書く」コミュニケーション

こんばんは。今日は手書き文字の話。 学級日誌や授業で回収したワークシートなど、教育実習中に「手書きされたものに対しコメントを手書きで返す」ということが増えたように思います。 大学に入ると、基本的にレジュメやレポートはWordを使って書くのでフォントが整っていますよね。しかも手で書くというよりは(これもそうなのですが)指で書くという感覚が強いです。唯一しっかり手書きで書いていたサークルのメッセージカードも、互いに一方通行なので、何かが違う気がする。 そんな中、まずは学級日

教材が定番になるのは

こんばんは。今日は「定番教材」のお話。 国語科教育法の授業で、漢文の授業体験について話す機会がありました。事前にWordファイルで小レポートを提出し、それを元に話すのですが、そこに私はこう書きました。 1年と3年の先生はどちらかというと文法重視で、漢文の句法語法をかなり意識して解説していたように記憶している。3年は毎週漢文の文法書である尚文出版さんの『明説漢文』、通称「パンダ本」のテストをしていた。 先生からのコメントで、「『明説漢文』懐かしいですね。」とあり、しかも別

辞書の使い分け

電子辞書か紙辞書か。 これには賛否両論あると思うのですが、私の持論は ある程度両方使えるような訓練をした上で、便利な方を使えばいい です。 バイトで電子辞書を取り出した時、生徒さんから 「学校では辞書使えって言われるけど実際電子辞書持ち歩いているならそれでいいじゃないですか」 と言われました。その時にも同じことを伝えています。どっちかを否定する必要はないと思うからです。 大学でこそ電子辞書をメインで使っていますが、高校までは英語でしか電子辞書を使っていませんでした

なぜ翻訳文学が国語の教科書に載るのか

こんばんは。 今日は昨日の思い出話から、国語や現代文と翻訳文学のことを書こうと思います。 昨日のnoteはこちらから。 教科書と翻訳文学小学校だとアーノルド・ローベルの「おてがみ」やレオ・レオニの「スイミー」。ハンス・ウィルヘルムの「ずうっとずっと、だいすきだよ」なんかもありますね。 中学校だとヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」。 高校ならティム・オブライエンの「待ち伏せ」「レイニー河で」。カフカの「掟の門」が採用されている場合もあるとか。 教科書には大体1作