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テオブロミンとチョコレート


昨日、JRA競走馬向けのサプリメントに禁止薬物である「テオブロミン」が含まれていたというニュースが流れた。

(ふーん、馬も薬物とかあるんだ)と軽く受け止めていたが、テオブロミンはココアやチョコレートにも含まれているというコメントを聞き、普段飲食している食品なので心配になった。

テオブロミンが含まれる食品

いつも飲んでいるココアとチョコレートの原材料名を確かめると「テオブロミン」の記載がなかったので安心したのだが、それは私の勘違いだった。
調べてすぐ分かったが、テオブロミンとはココアやチョコレートに入れられる成分ではなく、ココアやチョコレートのカカオに含まれる成分だったのだ(栄養成分側に記載される成分名)。

Wikipediaによると、お茶やコーラにも含まれる。
動物によっては、摂取量によっては死に至るほどの毒性になってしまう。

人間にとっては大丈夫とのことだけど、それって本当?
心配なのでもう少し調べることにした。

テオブロミン(theobromine)は、カカオなどに含まれるプリン塩基と構造が似たアルカロイドの1種である。カカオ以外にもチャノキやコーラと言った植物にも含まれるため、チョコレート以外にも茶などのほかの食品中にも存在している。

チョコレートに含まれるテオブロミンの量は、人間にとっては害になるほどの量ではないが、犬や猫や鳥類のようにテオブロミンの代謝速度が遅い動物にとっては害になりうる。

小型犬で50g程度、中型犬で400g程度のチョコレートを摂取すると、犬はチョコレート中毒を起こし、消化不良、脱水症状、過度の興奮、心拍数の増加などの症状が表れる(カカオ含有量の多い製品では、これよりもずっと少ない量で症状が出る)。酷くなるとてんかんのような発作を起こして死に至ることもある。
アメリカグマがチョコレートを摂取して心不全で死亡した事件が何例か報告されている。

(引用)Wikipedia テオブロミン

ココアのテオブロミン

バンホーテンココアのHPでは、「テオブロミン」は低刺激で心が落ちつくカフェインと似た働きをする、という紹介がされている。

一般的なココア5gにつき、テオブロミンは0.1g含まれているそうだ(※1)。
普段飲んでいるココアはティースプーン山盛り4杯(約23g)なので、テオブロミンは0.46g含まれていることになる。

(※1)バンホーテンHPより。
日本食品成分表2015年版<七訂>から引用と記載されている。

チョコレートのテオブロミン

Wikipediaの記載割合で計算すると
チョコレートであれば100gあたり0.5~2.7g、
コーラであれば100gあたり1~2.5g
含まれる。

ココアやチョコレートなどのカカオ加工製品にも含まれている。例えばチョコレートには0.5-2.7%のテオブロミンが含まれる。またコーラ(1.0-2.5%)やガラナの実や茶にも若干含まれている。

(引用)Wikipedia テオブロミン

平成20年と少し昔のデータになるが、一部の市販チョコレートのテオブロミン含有量の調査結果が公表されていた。
そしてテオブロミンは気管支拡張薬の医薬品を使用している人は注意が必要とあった。該当する方は多分、医師から伝えられているとは思うのだが、ここでも紹介しておきたい。

100gあたりのテオブロミン含有量
・明治 ミルクチョコレート:250mg
・森永 ミルクチョコレート:270mg
・ロッテ ガーナミルク:220mg
----------------------------------------------------
・明治 チョコレート効果 86%:990mg
・明治 チョコレート効果 99%:1100mg
・カレ・ド・ショコラ カカオ70:610mg
・リンツ・チョコレート 85%:840mg
・リンツ・チョコレート 99%:1100mg
・コードドール 70%:580mg
・コードドール 86%:720mg

気管支拡張、利尿、興奮などの生理作用があるテオブロミンやカフェインを普通のチョコレートの4倍くらい含むものもあり、健康な人が嗜好品として楽しむ分には問題ないが、これらの成分に感受性の高い人やテオフィリンなどの気管支拡張薬を使用している人およびこれらに敏感な幼児やお年寄りなどは摂取量に注意が必要である。

(引用)厚生労働省HP
平成20年6月 独立行政法人 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート」より抜粋(※一部表現変更)。

上記の厚生労働省HPには、高カカオチョコレートに多く含まれるカフェインやニッケルについての懸念事項も記載されていた。
その懸念事項としている成分も気になるので、よく確認することにした。

チョコレートとカフェイン

100gあたりのカフェイン含有量
・明治 ミルクチョコレート:25mg
・森永 ミルクチョコレート:36mg
・ロッテ ガーナミルク:28mg
----------------------------------------------------
・明治 チョコレート効果 86%:93mg
・明治 チョコレート効果 99%:120mg
・カレ・ド・ショコラ カカオ70:110mg
・リンツ・チョコレート 85%:84mg
・リンツ・チョコレート 99%:98mg
・コードドール 70%:81mg
・コードドール 86%:91mg

(引用)厚生労働省HP
平成20年6月 独立行政法人 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート」

データを見ると、高カカオチョコレートのカフェイン含有量は通常チョコレートの3~5倍以上である。
チョコレートを食べる際にカフェインを気にしたことはなかったので、カフェインのワードが出てきたことに驚いた。

カフェインの1日あたりの摂取量は、各国各機関(※2)でだいたい同じであった。
(※2)農林水産省「カフェインの過剰摂取について」

【参考】チョコレートの重さの目安。
・ガーナミルクチョコレート(板チョコ)1枚:50g
・カレ・ド・ショコラ1枚:約4.8g。100gなら20~21枚程度。
・チョコレート効果1枚:5g。100gなら20枚。

米国や欧州の見解では、1日当たり400mgであれば健康リスクは増加しない。
妊婦さんは200mg以下とされている。

仕事中の睡魔解消法として、99%の高カカオチョコレートを飴のように口の中で溶かすという方法を実践している。
2枚も食べると眠気がなくなるので高カカオチョコレートのストックは切らさないようにしていた。
目が覚めるのは苦いからという理由のほかに、カフェインの効果もあったのだろう。カフェイン摂取を控えるため、コーヒーから高カカオチョコレートにシフトしていたのに、結局カフェインで目が覚めていたことが分かって残念な気持ちになった。
カフェイン含有量を見ると大量に食べない限り危険性は感じられないが、夜寝付けなくて悩んでいる人は、コーヒーやお茶以外に高カカオチョコレートの摂取も控えたほうがよさそうだ。
自分も夜、高カカオチョコレートを食べるのをやめようと思う。

チョコレートとニッケル

ニッケルは金属アレルギー物質。
高カカオチョコレートは通常チョコレートと比較してニッケル含有量が高かった。
金属アレルギーを有する方は要注意とのことだ。

WHOの報告によれば、ヒトが一生涯摂取しても健康に影響がない1日当たりの摂取量は11μg/kg・体重と算出されている。
体重50kgあたりの上限摂取量は、550μg/1日。

また日本人は食品から1日あたり150~250μgのニッケルを摂取していることが報告されている。

100gあたりのニッケル含有量
・明治 ミルクチョコレート:180μg
・森永 ミルクチョコレート:140μg
・ロッテ ガーナミルク:150μg
----------------------------------------------------
・明治 チョコレート効果 86%:560μg
・明治 チョコレート効果 99%:590μg
・カレ・ド・ショコラ カカオ70:360μg
・リンツ・チョコレート 85%:470μg
・リンツ・チョコレート 99%:590μg
・コードドール 70%:320μg
・コードドール 86%:300μg

(引用)厚生労働省HP
平成20年6月 独立行政法人 国民生活センター「高カカオをうたったチョコレート」

まとめ

テオブロミンを調べているうちにカフェインとかニッケルとか他の成分についても話が広がってしまって、記述が長くなってしまった。

大事なことは、健康な人であれば、嗜好品として食べるくらいなら問題ないけれど過剰摂取はよろしくない、ということだ。
(どんな食材でも同じことが言えそうだけど)

高カカオチョコレートについて
カフェイン、テオブロミン、脂質(※3)、金属アレルギー物質のニッケルが通常のチョコレートより多く含まれる。
ニッケルアレルギーを有する人は注意すること。

(※3)本記事で脂質については触れなかったが、厚生労働省HPに高カカオチョコレートはカカオ分に由来する脂質が多く含まれているとの記載があった。

テオブロミン
・一般的にカフェインが多く含まれる食品に多く含まれる。
・低刺激で心が落ちつくカフェインと似た働きをする。
・気管支拡張、利尿、興奮などの生理作用がある。
・気管支拡張薬の医薬品使用者や幼児や高齢者は摂取に注意すること。

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