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アイドルが最強のコンテンツである理由

個人メディア台頭の時代

SNSやYouTubeなど個人が情報発信できるメディアの発達によって、個人のエンパワメントが高まっていると言われて久しいです。実際に、YouTubeのチャンネル登録数が100万以上のチャンネルは大抵個人、もしくは個人が集まったグループ単位のチャンネルであり、テレビ局や制作会社などが手掛けるチャンネルにおいて100万人を超えるチャンネルというのは非常に珍しくなっています。
YouTubeチャンネルのみならず、インスタグラムにおいても数百万以上のフォロワーを獲得しているのは、大方個人のタレントやインフルエンサーなどの個人になっています。
メディアの個人化ともいえる状況ですが、その個々の人が提供するコンテンツの内容と、フォロワーの受け取り方によって、個人メディアのあり方は変わっていきます。
個人が発信するメディアのタイプについて構造的に考えると、発信者本人ーセルフと、発信者がメディアを通じて提供するコンテンツの重なりで説明することが出来ます。

発信者とコンテンツの重なりによって異なる、3つのタイプ


左側の円がセルフ-発信者本人、右側がコンテンツ-発信者がメディアを通じて提供するコンテンツそのものになります。
個人メディアは、この両者の円の重なり具合によって、メディアのあり方が変わってくるのです。
例えば、セルフとコンテンツが完全に重なっている場合は、発信者本人そのものがコンテンツであるということです。例えば、セルフィーや自身の動画、ダンス動画や歌唱する系の動画が該当します。これは、アイドルやタレント、歌手、俳優、Vtuber、モデル、インフルエンサーなどが該当します。

では、セルフとコンテンツが少し離れるけれど、少し重なっている場合、これはセルフ-自己の延長にあるコンテンツということになります。例えば、ママインフルエンサーが投稿するお弁当のコンテンツ等がこれに当たります。ゲーム実況動画も、自己がプレイする実況動画ということで、これに該当するでしょう。これは、ママ、コスメ、美容系インフルエンサーや、実況系YouTuberなどが該当します。

セルフとコンテンツがかなり離れている場合、これは発信を行う個人とコンテンツの重なり具合が少ないということです。これは、解説系動画などが該当します。例えばYouTubeのビジネス系YouTuberなどが該当します。特定の専門領域について解説を行いますが、フォロワーはそのコンテンツの内容に興味があるのであって、発信者本人に対する興味は希薄です(ただし、発信者がカリスマ性のある人物であった場合は、セルフとコンテンツの距離が縮まります。)
ということで、セルフ(発信者)とコンテンツの重なりについて3つのパターンがありますが、これを順に完全一致型、やや重なり型、不一致型と仮に呼ぶことにします。この3つのパターンは、個人メディアとしてのあり方が変わるともに、マネタイズの方法も異なってきます。

まず最初のセルフ(発信者)とコンテンツの重なりにおける完全一致型は、フォロワーの興味は発信者そのものに向いており、恋愛感情に近いプリミティブな感情です。これは、エンゲージメントの高さに現れます。ジャニーズ事務所の所属タレントがSNS解禁となり、インスタやTwitterを開始していますが、数万以上のいいね、数千以上のコメントがつくことが珍しくありません。人気のVtuberも同じです。フォロワーは発信者に恋愛感情に近しいプリミティブな感情を抱いて「推して」いるので、フォロワーへの直接課金が可能な状況です。つまり、投げ銭、グッズ、ライブ動員等の発信者=コンテンツへの課金を行う状況が出来ています。
次のやや重なり型は、フォロワーの興味はコンテンツ起点であるものの、発信者そのものにも向いています。これは、憧れや共感の感情に近いでしょう。ママインフルエンサーであれば、自分と同じ子育て中のママという立場への共感とともに、ファッションや料理、育児などインフルエンサーに対して憧れを持っている状態です。フォロワーは発信者自身にプリミティブな感情を抱いてはないので、本人そのものへ課金することはありませんが、共感を抱いているので、本人が提供するコンテンツには課金はします。情報(書籍やサロン等)やプロデュース商品、紹介しているプロダクトなどです。共感をしているので同じくエンゲージメントは高めに出ますが「推しているファン」がついている完全一致型にはかないません。
最後の不一致型は、フォロワーの興味はコンテンツの情報そのものに向いています。例えば、発信者が投資系の情報を発信しているのであれば、興味は投資情報についてです。発信者本人には興味がなく、コンテンツの取得そのものが主目的なので、エンゲージメントが低いことが多いです。100万人以上フォロワーがいるビジネス系のインフルエンサーでも、自分のプライベートの投稿は、極めてエンゲージメントが低くなることが珍しくありません。ですので、マネタイズの方法としては、コンテンツに紐づく情報コンテンツの販売(note、サロン、書籍)や有益なプロダクトの紹介料(投資であれば、投資商品)等が挙げられます。

プラットフォーマーへの依存度が高い不一致型


このように3タイプを比較すると、フォロワーとの吸着力は、強い完全一致型、やや重なり型、不一致型の順番に並びます。フォロワーの吸着力が強ければ強いほど、発信者はプラットフォーマーに依存しなくなります。発信者がTwitterを止めたとしてもインスタに移動するし、YouTubeを止めたとしてもTikTokに移動します。発信者 > プラットフォーマー という力関係が出来ているのです。一方で、不一致型はプラットフォーマーの依存度が高くなります。一致型は複数のSNSや動画配信プラットフォームを初めても数日で数十万~100万登録に上ることもありますが、不一致型はプラットフォームのロジックをハックして地道にコンテンツを積み上げて伸ばす必要があります。配信プラットフォーマーのロジックが変わった場合は、一気にメディアパワーを失う可能性もあります。
ゆえに、フォロワーの吸着力の強さという観点でいうと、一致型=アイドルが最強のコンテンツと言えるのです。




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