7月11日(火)メディア日記

 NHKの「ラジオ深夜便」は11日未明、俳優の山本學(86)のインタビューを約45分間放送した。インタビュアーは迎康子アンカー。話は、山本學自身の「戦争観」を中心にした内容だったが、明け方の放送にしては、我が身を一気に覚醒させてくれた奥の深い内容だった。冒頭の話題は、RKB毎日放送の名ドキュメンタリスト木村栄文が1981年に制作したドキュメンタリー「絵描きと戦争」。この番組は数々の賞を受けた話題作で、坂本繁二郎と藤田嗣治の二人の画家を中心に、芸術家たちが戦争と芸術の狭間に苦悶しながら戦中をどう生き抜いてきたのかを実証した作品。山本學は、この二人の生きざまを自分の経験に照らし合わせながら説明した。なにより山本がこの番組を鮮明に記憶しているのには驚いた。また山本學は、詩人・彫刻家の高村光太郎が、戦争開戦時、戦争真っ最中、終戦後に作った三つの詩を番組中に朗読したが、高村の開戦時の戦争高揚感、終戦の喪失感など、役者らしい味でそれぞれの詩の違いをだしていた。山本學、見直した!

57年前の強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌の裁判をやり直す再審公判で、静岡地検は10日、有罪立証する方針を決め、同日、書面を静岡地裁に提出した。11日の各紙朝刊はほとんどが1面トップか準トップ。トーンは各紙とも検察に対する怒りがにじみ出ていた。

朝日新聞は「天声人語」に「無罪確定がほぼ確実とされた裁判なのになぜ87歳にもなる人の審理を長引かせるのか。巨悪を倒すべき検察官が小さなメンツに固執し、組織防衛に汲々としているようで何とも情けない」。東京新聞は社説で「検察は袴田さんを再び収監し、死刑にすべきだと本気で考えているのだろうか」。社会面では静岡地検の奥田洋平次席検事に対して、高齢の袴田が90歳近くになっていることをどう思うかと静岡地検の奥田洋平次席検事に質したのに対し、次席検事は数秒間沈黙した後「当然承知している」と語った。日経新聞も同紙にしては扱いが大きく、総合面と社会面に「審理はさらに長期化の可能性」と危惧を表明、「再審制度の不備浮かぶ」と見出しをとった。

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