糖尿病の数理Ⅰ


糖代謝に関わるの2つの要素

 
糖尿病において、重要な因子は、血糖値と血清インスリン値である。
この2つの要素の増加・減少に着目することで、糖代謝異常は4つに分類される。

  1. 血糖値増加、血清インスリン値増加

    1. インスリン抵抗性の2型糖尿病

    2. インスリン受容体異常症

  2. 血糖値減少、血清インスリン値増加

    1. インスリノーマ

    2. インスリン自己免疫症候群に伴う低血糖

  3. 血糖値増加、血清インスリン値減少

    1. 1型糖尿病

  4. 血糖値減少、血清インスリン値減少

    1. 下垂体副腎不全症

    2. 飢餓状態

  • 詳しくない人にもわかるように説明すると、

  • ご飯など、炭水化物を摂取すると、それに含まれているデンプン(グルコースの塊)が、消化管の中で分解されて、グルコースとなる。それが小腸で吸収された後、血液に入ってくる。

    • なので、ご飯を食べていない人は、グルコースが血の中に入ってこないので、血糖値が低い。

  • 血液中のグルコースは、全身の組織に送り届けられる。血液から取り込むために、インスリンという物質がある。インスリンは「グルコースを血液から取り込め!」というメッセージと考えられる。ご飯を食べた後、このメッセージが多く出るから、血液中のグルコースの量は増えすぎない。

    • インスリンが多く出過ぎる(インスリノーマ)だと、その分グルコースが取り込まれて、血糖値が低くなる。

    • インスリンのメッセージが聞こえない(インスリン抵抗性、インスリン受容体異常)だと、グルコースが取り込まれないから、血糖値が高くなる。

    • インスリンが出てこない(1型糖尿病)だと、グルコースが取り込まれないから、血糖値が高くなる。

ここまでで、血糖値とインスリンについて大雑把には理解して貰えただろう。では、数理の言葉に直すとどうなるのか、数理で糖代謝を考えるとは、どういうことなのか。皆さんの疑問を解決していこう。

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