薄毛治療は”嘘”ばっかり⁉最近注目されている頭のアートメイクとは

皆さんは薄毛治療には嘘と本当が混在していることまではご存じかと思います。
近年、広告などの影響で「薄毛はクリニックで治療ができる」という知られるようになりました。
ところが、患者さんは治療に満足されているかというと「はい」と答える人は少ないでしょう。
しかし、どこまでが本当で嘘なのかは区別がつきにくいものです。
そこで、AGAクリニックで勤務経験、毛髪診断士認定資格保有の私が治療の本音を解説します。
また、最近注目されている頭皮のアートメイクにも解説をします。

1.「ハゲ」になる本当の理由

一般的に男性ホルモンは骨や筋肉の発達を促したりヒゲや体毛を生やす作用があり男性にはなくてはならない大切なホルモンです。
男性ホルモンの中の1つにテストステロンがあります。テストステロンは毛細血管を通して必要な栄養素や水分と一緒に細胞内に取り込まれます。
毛根では5αリダクターゼⅡ型という還元酵素が分泌されており、それは主に前頭部、頭頂部に分布しています。
血液中から取り込まれたテストステロンは5αリダクターゼⅡの作用によりDHT(ジヒドロテストステロン)に変化します。DHTが毛根にある男性ホルモンの受容体(アンドロゲンレセプター)と結合することによって毛根にある細胞を委縮させてしまいます。これによってヘアサイクルが乱れ抜け毛の原因、幹細胞分裂を抑制し休止期が続く原因となっています

このように薄毛になる理由は、ほとんどが遺伝と男性ホルモンの影響だということが分かってるにも関わらず誤った情報が出回っています。
ですので、「安いシャンプーを使っているから」「毛穴に皮脂が詰まっているから」「ヘアカラー、パーマをやり過ぎたから」「ストレスでハゲた」というような理由は薄毛とはほぼ関係がありません。

2.薄毛治療看護師が考える効果のある治療

結論からお伝えすると薄毛の状態や進行状況によって変わってきますが内服薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル)、外用薬(ミノキシジル)、SMP、自毛植毛が実際に患者様から効果実感を頂ける治療法でした。この他にもメソセラピー療法(成長因子導入)、市販育毛剤、ミリオンヘアー、カツラの着用はあまりお勧めできるものではありませんでした。

初期段階であれば薬物療法(フィナステリド)とミノキシジルの外用薬がメインとなってきます。

フィナステリドは主に抜け毛の原因となる5αリダクターゼⅡの生成を阻害することで抜け毛を防ぐ効果があります。発毛するというよりは、抜け毛が減るということになるので進行を遅らせて現状維持ができます。
副作用の発現率も極めて低く、どこのクリニックでも取り扱いがある薬剤で第一選択薬となっています。

ミノキシジルは発毛効果が期待されています。個人的にはミノキシジルは内服が一般化されていることが多いですが、稀に副作用が出やすい方がいることがデメリットです。多い副作用が全身の多毛化、血圧低下などが多いこと、また、内服を辞めてしまうとまたすぐに元に戻ってしまうことなどが挙げられます。
外用薬の方が内服より効果の出現が遅いが、副作用が少ないのがメリットとなっています。また、日本皮膚科学会のAGAガイドラインではミノキシジルの評価は最低評価であるD評価(行うべきではない)、しかし、ミノキシジルの外用薬はA評価(推奨する)となっています。

自毛植毛は施術を行う医師、看護師の技術によって定着具合に差が出ますが、改善が難しい生え際、M字に改善に適しています。しかし、日本で自毛植毛を行っているクリニックが少ないこと、施術者の技術の差があること、費用面が高いことがデメリットとなっています。また、発毛効果がある訳ではなく、あくまでも毛のお引越しであるため毛の本数が増える訳ではありません。

メソセラピー注入療法やHARG療法などをされている方も多いですが、この両者は効果が不明確であるためあまりお勧めは私個人的にはオススメはしていません。「生えた」という方もいらっしゃいますが、一緒に内服しているミノキシジルの効果であることがほとんどです。
また、自社開発の薬剤やクリニック以外で販売されている育毛剤は効果が期待できないことが多いです。

2.最近注目されている頭のアートメイク

アートメイクと聞いて多くの人が眉毛を連想する人がほとんどだと思います。実は最近注目されている新しい薄毛治療法SMP(Scalp Micro Pigmentation)、ヘアラインアートメイクがあります。
SMPはもし、頭頂部の透け感を今すぐにどうにかしたいという場合は、頭のアートメイクSMP(Scalp Micro Pigmentation)をオススメします。SMPは気になる薄毛部分の頭皮に色素を定着させることで頭皮を濃く見せることが可能となっています。一度定着したら1~3年ほど持続し、皮膚のごく浅い部分へのアプローチになるので今生えている毛髪、頭皮に及ぼす影響がないのが特徴となっています。従来の治療より効果に即効性があり、コスト面でも範囲に応じて料金が変わってきます。メリットとしてはダウンタイムがなくその場で効果を実感することができ、水に濡れても落ちない為、坊主の方にも馴染みやすいです。また、自毛植毛に比べて費用面で安く抑えつつ内服の治療と併用ができるため、患者様の満足度はとても高いです。
男性だけでなく女性も分け目の透け感を隠すためにSMPをやる人が年々増えてきています。施術も痛みが少なく是非、男性にも受けて頂きたい施術です。まだ、日本ではあまり普及されていませんが、海外では一般的な治療として用いられる技術です。
デメリットとしては、SMP自体は発毛効果がある訳ではないということ、施術者の技術によって大きく予後が変わってしまうことです。ある程度症例を積んでいる医師、看護師でなければ失敗例も多く報告されているのが現状です。施術者を指名して受けることを強くオススメします。
ヘアラインアートメイクは、生え際に毛並みを一本一本書くことで「小顔に見せたい」「すぐに見た目を変えたい」「発毛の治療薬を使いたくない」「部分的に薄毛をカバーしたい」という人にオススメです。生え際のみの施術となるので、男性は生え際の後退するスピードが早いので最終的に線だけが残ってしまうので原則男性のヘアラインアートメイクは不可です。

3.AGAクリニック、発毛サロンの実際

結論からお伝えすると
AGAクリニックは効果は期待できるところもあるが費用が高い
発毛サロンは発毛に関しては効果がない
というのが薄毛治療の実際となります。
頭皮が荒れている人はまずは皮膚科を受診すること。頭皮環境が悪いので発毛サロンに行ってきたという人も見かけますが、サロンになると医学的知識がない人たちの見解になってきますのでお任せするのはリスクが伴ってきます。頭皮が荒れている場合はまず皮膚科を受診することが優先になります。
もし、状態や病名によっては保険診療で賄えることがあります。
その次にAGAクリニックに相談をして治療をしていくのが一般的な流れとなります。最初から頭皮荒れをAGAクリニックで治療することも可能ですが、自由診療となるので料金が高くなってしまいます。
また、薄毛自体も保険診療で賄えるものもあるため一度皮膚科に相談するのもいいでしょう。

以上となります。
これから薄毛治療を受ける方などの参考になればと思います。

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