不育症治療をしても流産してしまったら

※再度流産してしまうという不安をあおってしまう可能性もあるため、不育症治療をしたのに流産を再度したときに読んでもらうとよいと思います。

絨毛染色体検査をしてみよう(流産したことがある人は保険診療です)

不育症や流産のリスク因子を治療しても流産してしまった場合、検討してもらいたいことがあります。それは、「絨毛染色体検査」です。流産した胎児を染色体検査で確認することです。図のように、23対46本あるはずの胎児の染色体数を確認することができます。

絨毛染色体検査は、染色体検査のため流産の手術をする日にしか提出することができません。また流産した既往のある方は、2022年4月から保険適用が認められた病院において保険診療内で絨毛染色体検査を受けることができるようになりました。

流産の原因が、母体なのか胎児なのかがわかる

絨毛染色体検査は、流産の手術の時に胎児の組織が非常に少なかったり、母体の組織が混入してしまったりすると検査結果が出ないこともありますが、結果が出れば今回の流産が母体側の問題なのか、胎児側の問題なのかを明らかにすることができます。一般的な染色体の数が多い異常(トリソミー)をもった胎児だった場合、ダウン症などの例外を除けばほとんどの胎児の寿命は妊娠10週までに終わります。
絨毛染色体検査を行い、染色体の数の異常を認めるようであれば、胎児側の問題でもともと回避できない流産であるため、現在の治療方針を変更する必要はありません(図)。

血液をサラサラにするような低用量アスピリン療法など、むやみに新たな治療を増やすことで、逆に次の妊娠がうまくいかなくなることもあります。染色体の構造異常を認める場合には、夫婦いずれかの染色体異常が原因の場合もありますので、夫婦の染色体検査を行っていない時は一度確認しても良いかと思います。

絨毛染色体検査で異常がなければ、再度精査が必要です

ただ、絨毛染色体検査で正常な染色体の結果であれば、母体側の問題の可能性もありますので、流産や不育症について再度精査と治療法の再検討が必要になります。もう一度産婦人科医、できれば不育症を専門としている医師とよく相談してください。

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