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「エモい」の本質は、千と千尋の神隠しの「一度あった事は忘れないものさ。思い出せないだけで」にあるのかもしれない

こんにちは。先日、街中で卒業式帰りらしき女子高生を見かけ「もうそんな時期か…」としばし感傷に浸った、medien-lienライターのちひろです。
いよいよ本格的に卒業シーズン。
春は出会いと別れの季節と言いますが、そんな季節には「エモい」という言葉がぴったりかもしれません。

ラジオ番組「ケロケロ見聞録」の3月放送では、「エモいってなんなん〜どこまで伝わる!? 私たちの感情表現〜」をテーマに、「エモい」という言葉について大学生3人でトークしました。

「エモい」って気軽に使ってるけど、自分の感情は「エモい」という言葉ひとつで表せているのか。「エモい」と感じるのはどんな場面なのか。そもそも、「エモい」って何なのか…
そんな疑問を深掘りしました!


この記事は、九州大学の現役学生が制作するラジオ番組「ケロケロ見聞録」(ラブエフエム国際放送、毎月第1日曜よる10時から)をより深く楽しめる情報を提供するものです。この記事に興味をもって下さった方は、ぜひ各種サービスでケロケロ見聞録をお楽しみください!

1,3月放送振りカエり!

放送の中で、3人は「エモい」という言葉が使われるようになった背景や、『エモい』という言葉を使うことによる効果について話し合いました。

りさ「『エモい』という言葉を使うことで、とりあえずの共感を表すことができると思う。全く同じ感情を持って『エモい』を使っているわけではないかもしれないけれど、大体のところは同じことを思っているから、みんなある種の『ノリ』みたいな感じで『エモい』を使ってるんじゃないかな。『エモい』を使う意義は、その共感性にあると思う。」

たしかに、『エモい』という言葉を使うことで、複雑な感情を相手にすっきりと伝え、共有することができている気がします。

続いてかえでは、また別の視点からの意見を述べます。

かえで「私は、『若者感』を表現できることも、『エモい』という言葉が使われるようになった理由の一つにあると思う。『エモい』という言葉を使うことで、私は『若者』というコミュニティに属しています!という自己開示になる気がする。(略)年代の差別化をするはたらきも、『エモい』という言葉にはあるんじゃないかな。」

なるほど!自分とは全く違う背景や考えを持つ存在である他者とコミュニケーションを図り、分かり合うには本来多大なエネルギーが必要。それが一対一ではなく、複数の人間からなる集団になれば、さらに多くのエネルギーを消費することになりますよね…!
そんな時に「気軽に自己開示できる言葉(例えば『エモい』など)」があれば、年代や背景の異なる人とのコミュニケーションがより円滑になるのかもしれません。

めいも、「エモい」という言葉の持つ効果について次のように指摘しました。

めい深刻にならずに、自分の気持ちを印象的に表現できるのが『エモい』という言葉の良さだと思う。例えば、類似する言葉である『しみじみとする』とか『切ない』を使うと少し重く感じることがある。その点、『エモい』という言葉には良い意味での軽さがあると思う。」

さらに、めいは『エモい』という言葉の持つ社会的な側面にも、考察を深めます。

「『エモい』という言葉には広告的な役割もあると思う。バラバラの言葉で表現するより、『エモい』という一つの言葉に統一されることで、より多くの人に届けやすくなるんじゃないかな。そのことが『エモ消費』という新たな消費行動につながっているのかも。」

3月放送出演者のりさ、かえで、めいの画像
3月放送出演者の3人(左から、りさ、かえで、めい)

3人はこの他にも、大学生に実施した「エモい」に関するアンケートをもとに、「エモい」という言葉への考察を深めていきます!

気になった方は、radikoの聞き逃し配信から是非チェックしてみてください♪

2,「エモい」の本質は、千と千尋の神隠しの「一度あった事は忘れないものさ。思い出せないだけで」にあるのかもしれない

放送内では、「エモい」という言葉への考察として、

自分の経験とリンクするものがあってこそ『エモい』と言えるのではないか」
「喜怒哀楽といった一瞬の感情ではなく、「エモい」という感情に行きつくまでには、過去の経験や感情などの様々なプロセスがあるのではないか」

という意見があがりました。

このnoteを書いている私も、これを聞いて納得するとともに、ふとあるセリフが頭に浮かびました。

それは、ジブリ映画作品「千と千尋の神隠し」に登場する、

錢婆「一度あった事は忘れないものさ。思い出せないだけで」

「千と千尋の神隠し」より

というセリフです。

引用:https://twitter.com/kinro_ntv/status/1479457147188826114?s=20

(以下、少々「千と千尋の神隠し」のネタバレになってしまうかもしれません。ご注意ください。)

このセリフは、「ハクと昔会ったことがある気がするけど、思い出せない」と悩む千尋に対して、銭婆がかけた言葉です。

ハクと千尋の関係性とはどのようなものなのか_「千と千尋の神隠し」の物語のラストシーンへの橋渡しとなる重要なセリフだと思います。

「忘れない」ことと「思い出せない」ことは、一見矛盾するようにも思えます。
私自身、幼いころに初めて「千と千尋の神隠し」を見たときは、このセリフをいまいち理解することができませんでした。
しかし、大学生になった今(まだまだ若輩者ですが…)は、この言葉にささるものがあります。

年を重ねるにつれて多くのことを経験し、多くの人や感情と出会うなかで、強く印象に残るものもあれば、一方で忘れてしまうものもあると思います。(というより、忘れてしまうことの方が多い…)

「忘れてしまう」というのは仕方のないことですが、私はそれをどうしても「悲しい」と感じてしまうことがありました。
人にかけてもらって嬉しかった言葉や、夢中になって観たドラマやアニメ、目を奪われた夕焼け空、その全てを一言一句、鮮明に思い出すことができないなんて、そんな悲しいことはない…と思っていました。

この銭婆のセリフは、そんな私の我儘をそっと肯定してくれるような気がして、今では大事に心に留めている言葉のひとつです。

話を戻して、今回の放送を聞いて、「エモい」という言葉もこの銭婆のセリフに通ずる部分があるのではないかと感じました。

たくさんの経験や出来事を通して抱いた感情や感覚は、すべて覚えておくことはできないけれど、それでも時に何かの拍子に、それと同じもしくは類似する感情が思い起こされる。
その感情(とプロセス)のことを、私たちは「エモい」と言っているのかもしれないなあ…と思います。

銭婆の「一度あった事は忘れないものさ。思い出せないだけで」という言葉は、「エモい」という短い言葉に込められた物語を、私たちに気づかせてくれるのかもしれません。

どちらも、記憶と忘却のジレンマ(?)を肯定してくれるものなのかも、と思います。

みなさんは「エモい」という言葉をどう考えますか。
是非コメント欄等で教えていただけると嬉しいです!

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