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ミッションの再言語化に込められた想い、このタイミングで刷新した理由とは?

こんにちは、Mediiの山田裕揮です。株式会社Mediiでは、2023年にミッションの再定義を行いました。

事業拡大が続き、組織が成長する中でミッションの再定義になぜこのタイミングで取り組むことになったのか。そこには私が組織に対して日頃から大切にしていることと根底の考え方があります。

今回は私が組織づくりをどのように考えているのかを、ミッション再言語化の理由とともにお伝えします。


ミッションの手前にある組織の本質


まず、私が仕事において常々考えているのが「ひとりでできることは、めちゃくちゃ限られている。」ということです。
これは、誰にとっても同じだと思うんですよね。ひとりではできないことを、組織・チームで大きなことを成し遂げていくということが、チームや組織、企業といった形で事業に取り組む意義だと考えています。

一方、ひとりの人間で事を進めるだけでは起き得ないコンフリクトや課題が組織においては生まれてきます。これは、違う人間同士が集まる環境で活動する上では必ず起き得ることですよね。

そうした課題を乗り越え組織一丸となって事業を進め社会にインパクトを与えるためには「向かうべきベクトルを揃え、最大化する」ことが大切であり、これが組織の本質ではないかな、と私は考えています。

まさに組織において揃えて大きくするべきこのベクトルというのは数学で言うと、「向き」と「大きさ」という2つの要素でできています。 2つの要素と一言で言っても、企業によって、チームによって、もっと細かい話だと、人によって、目指したいベクトルの方向性や大きさは違うはずです。

同じ大きさのベクトルを持つ2人が、同じ方向を向けば2倍の力となりますが、正反対の方向を向けば力は相殺されます。どんなに大きなベクトルの大きさを持っていても、みんなが“行くべき方向”を合わせていかなければ、同じ1つの目的を達成するということは難しくなると思っています。

そして、ここにおいてのベクトルの「向き」と表現した目指すべき方向性を共通認識として言語化したものが、企業におけるミッションだと私は考えています。


ミッションの再定義、その過程でメンバーとMediiの「ベクトルを揃える」

「誰も取り残さない医療を」

これが新たなMediiのミッションです。
ミッションを決めていく際、大切にしていたことが一つあります。それは一方的に山田が考えたミッションを覚えてもらう、ということではなく、リーダー陣全員で一緒に考え抜き、”納得感”を持って皆で意思決定すること。それぞれのチームを率いてもらっているリーダーが自分たちの言葉でこれから入ってきてくれる新しいメンバーにも伝えていく必要があるため、このプロセス自体がメンバー全員とMediiの「ベクトルを揃えること」に繋がっていくんだ、ということを強く意識しました。

人は言われたことより、自ら考えて納得したことがその人の行動変容に大きく影響する。この考え方を根底に、Mediiが取り組む課題と事業についてメンバーととことん一緒に考えて、議論を繰り返し、”ともに作り上げる”ことでチーム全体のベクトルが揃ってきているのだと実際に感じています。

そしてこのベクトルが揃うことで「向かうべきベクトルを最大化する」という組織の本質が力強いものになっていくはずです。そんな力強い、アツい組織になることで、種々乗り越えていかなければならない多くの課題を一緒に解決できる。その結果として「誰も取り残さない医療を」実現するために一歩ずつ着実に進めるのではと考えています。

ミッションを決定するまでのプロジェクトの過程や込めた意思についてはMediiのnoteで紹介していますので、こちらをご覧ください。

では、そもそもなぜそのミッションの再言語化をするに至ったのか。この理由は大きく二つあり、組織面・事業面の視点でそれぞれ課題がありました。


再定義を行った2つの理由

①向きが明確になるほどの“シンプルで強いアイデンティティ”とは言えなかったから
Mediiの以前のミッションとビジョンはそれぞれ、「専門医偏在問題を解決する」と「どこにいてもより良い医療をすべての人に」と言語化をしていました。
2つの言葉をお伝えした時に、ほとんどの方が「うん、わかる」と賛成してくれ、この世界観を否定する方に出会ったことは今までありませんでした(忖度されていた可能性はあるが笑)。
この言語化に大きな間違いや課題があったわけではありません。ただ、ミッションには「なぜ、私たちだからこそやるのか?」の存在意義を社会に示す役割があるため、この言葉によって、みんなが「Mediiはこの方向を向いているよね」と明確なベクトルを意識させられるほどのアイデンティティと、それを誰もがすぐ考えずとも言えるようなシンプルさが足りないと感じていました。

ミッションを言語化する上でとても重要な要素としてあるのは「私たちはどの方向に向いてるのか」、つまりベクトルの「向きの明確化:アイデンティティ」です。 かつ、言語化した時に頭の中でぱっとみんなが浮かべられるシンプルな状態にすること。
つまり、「どっちに行くんだったっけ?」と悩む時に「あっち!」と全員がすぐに言えるようにすることです。

社会に向けてのメッセージとしてだけでなく、これは一緒に働く仲間、メンバーに向けても同様です。心に刺さりはするんだけれども、ぱっとみんなが間違うことなく迷いなく同じミッションを一言一句間違えずに言えるかというと、前の言葉のままだとできなかったのではないか。そう考えたことが再言語化の理由のひとつです。


②事業を進めるなかで見えてきたファクトフルネスから
もうひとつ、事業を進めていく中で見えてきたファクトフルネスの観点が再言語化の2つ目の理由です。先入観や思い込みを排除したデータに基づいた視点で見ると、「昔からのイメージとしてなんとなく捉えているもの」が実は事実とイメージが異なっていた、ということをファクトフルネスと呼びますが、これがMediiの事業領域でも見えてきました。

どういうことかというと、専門医偏在問題、と聞くと医師数が多い東京や大阪を含めた都心部はそこまで課題は大きくないよね?というイメージがあるかと思うのですが、実際は異なります。都心部でも全国に数人ずつしか居ない疾患のエキスパート専門医がその地域にいなければ、診断が遅れてしまったり、革新的な新薬が出てきていてもなかなか使いこなされていない、という事実が見えてきたのです。そのような疾患が7,000-8,000種類あり、合計すると人口の5%、日本だけで600万人もいるのです。

一例として下の図をご覧ください。
こちらは家族性地中海熱という指定難病の厚生労働省の年度別/地域別の診断患者数のデータを示しています。

出典:Medii 日本リウマチ学会(2021年)での学会発表内容

ご覧いただけますように、人口当たりの診断患者数の伸び率が北海道と九州・沖縄において他の地域に比較して年々増加していることがわかります。

前提として、家族性地中海熱という疾患は診断がとても難しく、診断されるまでに平均8.8年掛かっていて、全国でも詳しい研究機関やエキスパート専門医が北海道と長崎県に限られています。その結果、エキスパート専門医にたまたま診察を受けることができれば、早期に診断がつけられている可能性が高まりますが、東京大阪を含めて都心部だとしてもエキスパートが少なければ、疾患がそもそも早期に診断されない状況が生まれてしまったり、診断がついたとしても革新的な新薬を適切に使用するのが難しく治療の選択肢に差が生まれてしまうこともあり得ます。

そうすると難病や希少疾患という専門性や個別性が高く難しい病気を持つ患者さんは、たまたまエキスパートがいる病院に近い地域に住んでいない限り、苦しみ続けてしまう。そのような疾患が数千あり、それぞれに詳しいエキスパート専門医は、疾患ごとにばらばらの都道府県・地域に点在している。

確かに「専門医は偏在」しているのですが、東京など医師数が多い場所は対象外となるイメージとなるメッセージでは不十分な表現とも言えるのです。まさに専門医偏在問題の解決は目的ではなく手段であり、より上位にある目指すべき世界線を、よりアイデンティティをクリアに、皆が一つになれるような真っ直ぐなミッションがMediiには求められていました。


ベクトルが揃い、加速する組織と事業

Mediiにとって欠かせなかったミッションの再言語化を経て、今のMediiは中核となるメンバーと共に「誰も取り残さない医療を」という明確な方向へベクトルの向きを揃えることができてきました。次は、揃ったベクトルの大きさを「最大化する」ために、メンバー一人ひとりの可能性とバリューを最大限に発揮できる組織へとさらに進化していきます。

まだまだこれからも成長とアジャストを続けるMediiでは、この急成長と変化を一緒に楽しんでもらえる仲間を探しています。変化はあるけれど、向かうべきベクトルの向きは揃っており、ここから一気に駆け抜けるフェーズに入ったMediiに少しでも興味をお持ちいただけた方はお声がけいただけますと嬉しいです。

今回はミッションを起点に私が考える組織や気づきをお伝えしましたが、次はMediiの組織体制に対する私の考え方をお伝えしたいと思います。
長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。これからもMediiをよろしくお願いします。

ではまた、次のnoteで。


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