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メダップの経営スタイル確立とMVV刷新

近年、スタートアップが盛り上がって、多様な人材がスタートアップ業界にはいってきてくれるようになって、スタートアップ側の経営スタイル、いわゆる勝ち筋(=事業戦略と組織戦略)というのが多様化してきている気がします。サッカーでいうならば、スタープレイヤーを中心としたスタイル、チーム一丸となったハードワークのスタイル、みたいな形でチームの戦術と、メンバーにフィットした形にスタイルが変化を遂げてきていると思います。

例えば、下記のような経営スタイルと言えるのかな、と。

  • LayerXさん: 大きなVisionを掲げ、シリアルアントレプレナーの両代表取締役を軸にして、高い目標へごりごり道を切り拓いていくスター軍団

  • ユーザベースさん: Founder 3人を中心に築いた強固なカルチャーと、事業ポートフォリオ、事業部長クラスを巧みにマネジメントする経営陣

  • SMSさん: ヘルスケア業界に特化し、圧倒的なExecution力と、新規事業立上げ量産を仕組み化するマネジメント
    ※ 外からみている勝手なイメージなので、ものの例えです。

ひるがえってメダップの経営スタイルとはいうと、「複雑性の高く大きな病院市場に対して、Multi product戦略で、チーム一丸となって挑む」ことです。この経営スタイルが確立されてきたことに伴い、Mission、Vision、Valueの刷新やロゴ・コーポレートサイトのリニューアルを行いました。

Mission・Vision・Valueと経営スタイル

そもそもメダップにおけるMission、Vision、Valueの定義は下記のようにしています。

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メダップにおける、MVVイメージ図

Mission:  創業者が創業した思い / 打ち出しの方向・確度
Vision:  メダップのいまの目的地
Value:  Vision達成と戦略実行のために、日々こうやって考えよう/動こうという指針
経営スタイルは、Vision達成ための事業戦略と組織戦略で、その戦略を実行するための行動指針がValueという関係です。

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Mission、Vision

メダップのミッション

医療の可能性を、テクノロジーで開放する。

ミッションは、創業者(柳内)の設立時の「プロダクトを触媒として、医療従事者の方がポテンシャルを最大限発揮できる世界を作りたい」という想いから決めました。下記のような体験や感じたことが背景です。

  • 多くの医療従事者の方々とお話しさせていただき、熱い想いと高い能力を持っている方が多いと感じたこと

  • 同時に、多くの課題を聞く中でもっと活躍していただけるのではないか?とも感じたこと

  • 過去から受け継いできたシステムやオペレーションという構造的な負が原因で、ポテンシャルに気づいていない・発揮できていないのではという疑問

  • 多様な業態や職種が存在する複雑な医療業界に対して、テクノロジーやビジネス界の知恵を病院に最適化した形で提供することで、解決できるのではないかという仮説

メダップのビジョン

経営から、病院を変える。
病院から、医療を変える。

ビジョンは、メダップがいま目指している目的地です。病院の課題を、経営の視点から捉えてツールによって解決することを目指します。病院の経営陣やマネージャー、企画職 (事務職) の人々へメダップがSaaSツールを提供することで、効率的・高度・無理のない病院マネジメントを実現し、病院で働くすべての人々が、より活躍してもらう世界の実現が目標です。
現在は病院向けCRM (顧客管理) ツール、foro CRMを提供しており、その事業拡大に注力しています。

メダップの経営スタイル

メダップの経営スタイルは、「複雑性の高く大きな病院市場に対して、Multi product戦略で、チーム一丸となって挑む」スタイルです。メダップの目指すミッション・ビジョンと、下記のような市場・事業の特性から、チームで挑むのが最適な経営スタイルだな、と思っています。

  • 病院業界では、SaaSツールの活用度が低く、また現場主導でのツール導入実績が少ないため、メダップが先陣を切ってSaaSの活用事例を作っていくにあたり高度なオペレーションが求められること

  • The Modelの分業により、チームのオペレーション領域の限定による高度化は必須であること

  • とはいえ、チーム分断によるハレーションを最低限にする仕組みが必須であること

  • 複雑で巨大な病院市場の理解するためには、全員で知恵を出し合う必要があること

メダップの場合は、VC出身でGeneralistな能力を持ち、社会貢献に強い思いのあるCEO(私)が、長期に渡って課題を解決しようと立ち上げたスタートアップです。業界の圧倒的なインサイダーはおらず、シリアルアントレプレナーも当然いないので、チームで挑むのは自然な選択でした。

メダップのValue

チームで課題を解決するという戦略を実現するために、3つのValueを決めています。こういった行動を意識してもらえると、よりVisionに早く達成できるよね、という話をしています。

人の脳みそを借りよう - Leverage others
複雑な病院のオペレーション・法制度、SaaSのProductからビジネスサイドまでを、一人で理解する必要はない。どんどん社内外の詳しい人からインプットを得ることで、アウトプットの質を速さを高める狙い

意思決定を楽しもう - Enjoy making tough decisions
前例や知見の少ない病院経営のSaaS、Multi product戦略に加え、課題解決が難しいからこそ大きな課題が存在しているのが病院。難しい意思決定は多くなるが、その先には大きな社会インパクトがあるはずで、困難なことも楽しんでやっていこうという想い

他の領域に踏み込もう - Overlap with other roles
特にThe Modelによる分業が進むと、部門間のハレーションや、ボールが溢れることが起こりがち。そこで、多少のリソース効率性は犠牲にしてでも、他の部門やレイヤーのボールを拾いにいくことで、抜け漏れなく、かつ、やりとりをスムーズに進めたい

コーポレートアイデンティティに即したロゴやコーポレートサイト刷新

このように自分たちのスタイルが定まってきたことで、MVV(コーポレートアイデンティティ)をより体現するように、ロゴやコーポレートサイトを刷新しています。

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新旧ロゴ比較

ロゴのコンセプト: 経営の視点を医療の現場に持ち込むことで、流れを変え、医療そのものの歩みを進めるのがメダップ。医療の着実かつ大きな変化を、躍動感のある矢印という象徴的な形でデザインし、メダップの社名の一部でもある “Up” にもかけて表現しています。ブランドカラーは医療から想起される赤の補色である「緑」です。医療に従事されるみなさまが主役であり、あくまでメダップは補佐する存在である、という思いを表現しています。

新コーポレートサイト
https://www.medup.jp/

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新コーポレートサイト

今後の課題

MVVの刷新により、なぜやるのか (Mission) 、なにをやるのか (Vision) 、どうやるのか (Value) は定まった点は非常によいのですが、どういうメンバーでやるのか (Culture) の言語化も必要になってきています。Cultureは、メダップのメンバー全員が持つべき特性と定義しています。メダップは全員が採用に関わっており、採用においては、Cultureにフィットしなさそうであれば互いに一緒にやらないほうがよいよね、という判断が誰でも簡単にできるようにして、双方にとって貴重な時間を使わないように、よりWin-Winな面談とできるようにしたいと思います。
また、事業成長・新規事業立ち上げに向けて、より強いチームを作るニーズが高まっています。そのため、メダップが挑んでいる病院の経営課題解決の面白さや現状をより多くの人に知ってもらい、一人でも多くの方に、なにかの形でお力をお借りしたいと思っています。
そういった背景で、多くの職種で積極的に採用しています。
採用サイト
https://jobs.medup.jp/

スタートアップ経営者の方向け、MVV設定のTips
- Mission, Visionを、自社にとってどう定義するかが重要。メダップのMissionは抽象度が高く、一般的な「Mission = 果たすべき使命」と定義よりも、「Mission = 創業の想い」としたことで、Visionとの違いや意味が整理しやすくなりました。
- Valueも、定義が重要でした。メダップの場合は、「Value = 行動指針」と定義し、メンバー全員が持っている価値観は、別途Cultureとして定義予定です。例えば「Customer success first」はメダップのCultureで染み付いており、そういう姿勢がない人は採用していないです。
- 経営スタイルやValueは、PMF後・シリーズA後にカルチャーモデルの7sを書いて整理しました。PMF前までは経営スタイル (経営戦略・組織戦略) も高い頻度で変えていました。Cultureにあたる、誰と働くかは、当初から大きくは変えていません。
- CI/VI刷新にあたり、わりえもんさんに協力をお願いしました。言語化・ビジュアル化することが得意なデザイナーさんと出会え、かつ経営陣で納得がいくまで議論すること (メダップだと3ヶ月ぐらいかけました) が、耐久性の高いCI/VIを作る鍵だと思います。
- 会社のMission・Visionと個人のMission・Visionの重なりが大きいことが、権限移譲・事業加速で重要なのではと感じています。会社がVisionへ近づくこと自身に達成感を感じられ、よいメンタルヘルスのままに、どんどん権限移譲が進められ、より優れたメンバーがExecutionしてくれるので。

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