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NY在住21年です。「アメリカの政界は最強の群像劇」をモットーにニッチな原稿書いたりし…

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NY在住21年です。「アメリカの政界は最強の群像劇」をモットーにニッチな原稿書いたりしてる、某日系メディアの元ニュースD。基本5000~1万字くらいの長い記事ばっかりですが、部分ごとの拾い読みも大歓迎です。村上龍、ムーミン、藤井フミヤ、パン、白くてもふもふしたものが好きです。

最近の記事

【速報】一平さん事件 裁判資料で分かったこと

**末尾に考察を加えました。 カリフォルニア州中央地区連邦検事局が、MLBドジャースの大谷選手の通訳だった水原一平さんを詐欺容疑で訴追しました。これまで450万ドルと散々言われていましたが、蓋を開けてみると「少なくとも1600万ドル(約24億5000万円)」とのこと。 450万ドルでも桁違いと言われていたのに、さらに桁が増えました。。。 あの一平ちゃんがすでに「水原容疑者」になり、明日にも「被告」になってしまうなんていまだにちょっと信じられません。が、捜査にあたったIR

    • ハンター・バイデンの疑惑が色々ありすぎるので整理してみた

      28日、バイデン大統領の息子、ハンター氏を議会に招いて行われる非公開証言が、米下院で行われます。現在、米東部時間の午前9時10分すぎなので、今頃ちょうど始まった頃でしょうか。ハンター側が公開証言でなければ応じない、と言ったり紆余曲折ありましたが、これまで下院の監視委員会などが1年以上かけて散々煽ってきた疑惑の調査も、ようやく本人の登場とあって、いよいよ大詰めです。 Deposition(証言録取)というこの証言では、まず共和党から質問攻めに遭い、その後民主党からの質問の時間

      • 「訴追されない」ダメージ 機密文書持ち出し事件”収束”は共和党がバイデン下ろしに本気出した証?

        バイデン氏が副大統領時代の機密文書を不正に自宅に持ち出した件について、8日、米司法省はロバート・ハー特別検察官(共和党。もともとトランプ氏の指名を受けたメリーランド州連邦検事長)がまとめた捜査報告書を公表。「バイデン氏は故意に書類を持ち出したが、疑惑を超えるだけの証拠がないので訴追は求めない」と結論づけたことが分かりました。 この件は、2022年夏にトランプ氏が大統領時代の機密文書をフロリダの自宅「マール・ア・ラーゴ」に不正に持ち帰ったことが発覚したことに端を発するものです

        • ハンター・バイデンの召喚状 弁護士の書簡に見る熾烈で執拗なバトル

          前回のブログの続きで、今回はトランプの選挙不正関連の裁判について詳しく書こうと思っていましたが、先週ハンター・バイデンが再び議会にサプライズ登場してメディアを騒然とさせる出来事があまりにインパクトが強く、ハンター応援団としてはそちらにアテンションを全て持っていかれてしまいました。 というわけで今回は、ハンター・バイデンのサプライズ、そしてそこから勃発した下院共和党とハンターの弁護士との書簡バトルについて書くことにします。(いつもに増してマニアックな内容になってしまいましたが

        【速報】一平さん事件 裁判資料で分かったこと

        • ハンター・バイデンの疑惑が色々ありすぎるので整理してみた

        • 「訴追されない」ダメージ 機密文書持ち出し事件”収束”は共和党がバイデン下ろしに本気出した証?

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          トランプの問題で司法がてんてこまいなので、一旦整理してみた

          前回、ドナルド・トランプ前大統領の大統領選予備選参加資格をめぐってアメリカの各州で司法判断が下され、連邦最高裁にプレッシャーがかけられているという件をお話ししました。 これとは別に、トランプの大統領選絡みの問題では免責特権をめぐっても司法判断待ちの状態で、これが今日、1月9日にワシントンDCの連邦控訴裁判所で審理が始まります。また選挙とはまったく別に、刑事事件で起訴されている件も複数あり、さらには民事で争われている件もあります。 これらの問題は、それぞれ動きがあったときに

          トランプの問題で司法がてんてこまいなので、一旦整理してみた

          トランプの被選挙権めぐる混迷ぶりがエグい件【アメリカ難解ニュース解説】

          年の暮れから、トランプ前大統領の周囲が再び騒がしくなっています。1月15日にアイオワ州でスタートする大統領選共和党の候補者指名争いに最後の追い込みがかかった矢先、トランプの選挙参加資格を認めないとする州が出てきました。 12月19日、コロラド州の最高裁判所は、トランプの大統領選予備選参加資格を認めないと判断。28日には、メーン州でも州務長官が同様の判断を下しました。いずれも今のところは上訴の結果待ちで、その判断が出るまではトランプの参加資格が認められることになっています。な

          トランプの被選挙権めぐる混迷ぶりがエグい件【アメリカ難解ニュース解説】

          クリス・クリスティー  “カミカゼ式”追い落とし戦略でトランプと心中?〜米大統領選2024 立候補者ファイル②

          アメリカ大統領選、候補者が乱立した野党共和党も泡沫候補が徐々に撤退し、残るはフロリダ州知事ロン・デサンティス(45)、元国連大使ニッキー・ヘイリー(51)、実業家ビベック・ラマスワミ(38)、元ニュージャージー州知事クリス・クリスティー(61)、+ぶっちぎりのドナルド・トランプ(77)の、実質5人に絞られました。 当初こそトランプとの一騎打ちかと期待されたデサンティスの勢いは停滞気味。一方で、穏健派として高評価を得たヘイリーが大統領選の鍵を握る団体や有力政治家の支持を次々と

          クリス・クリスティー  “カミカゼ式”追い落とし戦略でトランプと心中?〜米大統領選2024 立候補者ファイル②

          ハンター・バイデンの快進撃 バイデン家怒涛の一日を追う

          2023年12月13日午前9時頃(米東部時間)、米CNNは突如、米議会議事堂の前から中継を開始。そこではハンター・バイデンが報道陣の前に立ち、“ゲリラ的”とも言える予告なしの会見を行っていました。 質疑応答などはなく、事前に準備された原稿を読み上げるだけのものでしたが、ハンターがこのような形でカメラの前に出てくるのは初めてのはず。あまりの不意打ちに私は度肝を抜かれ、米各局のニュースキャスターたちも同じように「サプライズ」としてこの会見を伝えていました。 この日はもともと、

          ハンター・バイデンの快進撃 バイデン家怒涛の一日を追う

          ハンター・バイデンまた起訴 今度は脱税でピンチ? 起訴状を分析してみた

          バイデン大統領の息子、ハンター・バイデンが7日、脱税や虚偽申告など連邦税に絡む9つの罪で起訴されました。9月に銃不当所持について3つの罪で起訴されたのに続き、2度目です。 来年の大統領選の最中に裁判となる可能性もあり、父親の選挙戦に影を落とすのではと懸念されていますが、父親の対戦相手になるであろうお方は4度に渡り計91の罪で起訴されているので、それに比べたらまだまだひよっ子というところでしょうか(違)。 ハンターの今回の起訴について、大まかな内容は、「2016〜2019年

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          「人より時間がかかるなら、かければいい」 ディスレクシアがギャビン・ニューサムに教えたこと

          前回のブログで、11月30日に行われたフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)と、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事による討論会について書きました。たびたびヒートアップした激論の中で、ニューサム氏が放ったこんな一言がありました。 「私は耐えられるよ。bully(いじめ)には慣れているからね」 いわゆる“マイノリティー”に属する人たちに対してデサンティス氏が圧力をかけている、と批判したものですが、ニューサム氏の“事情”を知っている人なら、意味深に響いたかもしれま

          「人より時間がかかるなら、かければいい」 ディスレクシアがギャビン・ニューサムに教えたこと

          不毛で魅惑の次世代バトル デサンティスvsニューサムの人気知事対決

          先月30日、少し前まで共和党のホープとして注目の的だったのに大統領選に正式立候補した途端に勢いを失い今やトランプ氏はおろかニッキー・ヘイリー元国連大使に抜かれつつあるフロリダ州知事ロン・デサンティス氏(45)と、民主党知事で人気トップクラス、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(56)が、一対一の討論会で初の直接対決を果たしました。 司会は共和党支持の保守系でメディアFOXニュースの看板キャスター、ショーン・ハニティー氏。デサンティス氏はもちろんニューサム氏とも個人的

          不毛で魅惑の次世代バトル デサンティスvsニューサムの人気知事対決

          共和党は及び腰 ハンター・バイデン「公開証言なら受けて立つ」の真意は? 

          外国との事業をめぐる疑惑が取り沙汰され、米議会下院監視委員会から証言録取のため召喚を受けていたバイデン大統領の息子、ハンター・バイデンが28日、代理人弁護士を通じて「公開形式なら議会で証言する」と表明しました。これに対し下院共和党のジェームズ・コマー委員長は、「みんな最初は非公開でやってるんだから、ルールに従え」ということで、ハンター側の要求を認めない意向です。 ハンターの召喚の日程は来月13日ですが、私はハンターがトランプと同様に日程を遅らせる戦法に出るんじゃないかなぁと

          共和党は及び腰 ハンター・バイデン「公開証言なら受けて立つ」の真意は? 

          バイデン氏が大統領に”ならなかった”ワケ【書籍レビュー】「PROMISE ME, DAD」 by ジョー・バイデン

          今回の書籍レビュー、バイデン家関連続きですが、今回は11月20日、バイデン大統領81歳のお誕生日おめでとう企画として、バイデン氏本人が2017年11月に発表した回顧録「Promise Me, Dad: A Year of Hope, Hardship, and Purpose」をレビューしたいと思います。(ネタばれあり) こちらは2021年9月に「約束してくれないか、父さん: 希望、苦難、そして決意の日々」というタイトルで(まんまですね…)早川書房から日本語訳も出ているよう

          バイデン氏が大統領に”ならなかった”ワケ【書籍レビュー】「PROMISE ME, DAD」 by ジョー・バイデン

          ハンター・バイデン 社説で共和党に反撃するも返り討ちに?

          バイデン大統領の息子ハンター・バイデンが、米下院の監視委員会から召喚されました。バイデン家の“金回り”をめぐる疑惑の調査に対し宣誓証言せよとのお達しです。 今までは代理人を介して声明で疑惑を否定するにとどまっていましたが、議会で直接追求を受けるということは初めてなので、調査が新たな局面を迎えると注目されています。 ハンターは主に2010年代、外国企業を相手にファンドマネジメント事業を行ってそれなりに儲けていたのですが、その利益が当時副大統領だった父親のジョー・バイデン氏の

          ハンター・バイデン 社説で共和党に反撃するも返り討ちに?

          依存症当事者の家族の普遍的な手記として【書籍レビュー】「IF WE BREAK」 by キャサリン・ビュール(ハンター・バイデンの元嫁) 

          今回の書籍レビューは、何かとバイデン大統領の足を引っ張り続ける次男ハンター・バイデンの離婚した元妻、キャサリン・ビュール氏の手記「If We Break」です。発売は2022年6月。日本語版は未発売です。 前年には夫のハンターによる手記「Beautiful Things」(レビューはこちら)が出ていますが、こちらと合わせて読むと2人が全く違った視点で生活していたことが浮き彫りになって興味深いです。 「If We Break」では、シカゴ近郊のごく一般的なワーキングクラス(

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          ジャニーズ問題とエプスタイン事件 vol.4〜性加害の立件、日本とアメリカの結果を分けた捜査機関の構造

          前回までのブログで、小児性犯罪者ジェフリー・エプスタインをアメリカの捜査当局がいかにして生きているうちに追い詰めたか、そして日本の検察がジャニー喜多川をいかにして死ぬまで追い詰めなかったか、について書きました。 この違いはどこから生まれたのか、というのが今回のテーマなのですが、その前に前回ミスしていたポイントがあるので、補足します。 エプスタイン事件は、被害届が出たことで警察が動いた点でジャニーズと異なります。ジャニー喜多川に対しては、知られる限りで正式に被害届を出した(

          ジャニーズ問題とエプスタイン事件 vol.4〜性加害の立件、日本とアメリカの結果を分けた捜査機関の構造