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詩 迷うな、師は高らかに

 眠り毛の満ちた中に疲れた顔で迎えに来る。
 正しくは安らかなる手、または微かな種
 傷付いて緑青色に変わったように続く命運

 イドの外側から、流行りの音を追いかけると迎えはずっと先の方に去る。
 ある王国が純真、または腹の中に蓄えた家老を耐えず揺すって許されない。
 初めてのことで分からねえな、続けよ。うらぶれた場所から次々に産み落とされた。
 続けば灰へ、届かぬ寒々しい空へ、ぐっすりと眠りを続ける。国の純真、その危うさに体は大きく不便なものへと変化を続けていく。

 彼らの首から下げた寒々しい札、心は遠くに置いてかつての栄光を待つ永劫に吹き荒ぶ砂嵐をものともせず苦役は続けられる。
 儀礼に豊かさを呼ぶため、そして正しさを履行する兵に体を預けるため。
 喰機は争わぬ為の儀礼。それによってのみ、豊かな生活は訪れる。
 やすまう。どこかへ、さすれば。多くの犠牲は大地に染み渡った。
 寂しい荒野に眠る主から豊穣を得るために、火は焚かれ陽は翳り沢山の焼け焦げた死がこの体に張り詰める。
 ギラつく光と共に現れては人々は生かされる。これは果たして幸福か。
 日々を食い、未来はとうに失われた。そうしたものか国を包囲し、それでも気付かずにいられる。皆生きるのに必死だった。
 足は血にまみれ、休まらぬ手は赤くひび割れた。沢山の食事、そのまやかしに集う。
 札が風に揺られ生じた冷気に顔を歪め、その皮膚は剥がれていく。

 或る時、師は現れ主を壊した。喰機は破られ、争うために生まれた。原来我々はそのようなもの。
 眠り、毛の逆立つ。純心の元に兵は集い、安らかなる迎えは怒り睨み踵を返しまた、やる気のない声援には檄が飛ぶ、集いし美少年のようなはにかむ姿さ。
 怒りの使い道は私たちとして、師はただパンを焼き、外を睨んで雪を待っていた。
 そのばにいるべきだ。慌てふためくなら、それが我々なのだから。
 雪は来るが、人は来ない。閉ざされるもの。
 閉ざされてしまったが、師事することで多くの辛さを忘れられた。体が大きく、不便な塊としてこの意志を離れる時、この身は柔らかくそして、砕けていく。
 ――元来はその姿が正当な物であり、儀式を繰り返すことで何もかもが都合の良い異常なものとして完成する。
 ❞❞主❝❝は壊されることが無い。それは旅立つ私達が知っていた。師はただ謳い、壊したように見せかけていた。
 喰機は破られたように見えた。冬眠のように、しらばっくれたままで。

 苦しい。というような感覚もやがては
  あの夏草たちのように、冬空に閉じ込められ
   断絶した思い出至る世界の声が届くように

 かつての懐かしみ、麗しの体 恥のない膠着
 赤展の卑劣、支持なく淫美も粘液もただ弾ける
 暗い空は人々の悲しみを望まない、歴史を知らぬ礫史に悲しむのは結構。
 僅かばかり募りその墓石、大地はただ広く霜の降りるまま閉ざされる。

 硬いパンは破け、それは大地となり葉を降らせ
  安らかに、獣の息絶える隙に奪い去る
国はそうして益々栄える

 師は先へ、国は離れて意思を待たず皿を振る。栄えても豊かとは違い、ただ壊した。それも、まやかしのままに。
 そんな誹りを受け、国はやわらかに懐柔する。一斉に印される我々、連れてイカれた。ひどいものさ。
 今となっては去れ、明日となっては雪は消え去る。
 苦しみの中で溶けていく。去らなければ、そんな言葉の後で、全ての冬に終わりがやって来る。


釘を打ち込み打ち込まれる。 そんなところです。